- [著]Richard Adams
- カテゴリ:
- ペーパーバック (480頁)
- ISBN:
- 0140306013
- 発売元:
- Puffin Books (1973/07/26)
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2008
09/22
Mon
よい組織、よいリーダーとは
サンドルフォードのアナウサギ、ファイバーは、ある時、群に迫る恐怖を感じる。その霊感を信じる兄のヘイゼルは、チーフ・ラビットに群の退去を進言するが、無視される。ヘイゼルとファイバーは、わずかな仲間とともに群を脱走。こうして新天地を求める長い旅が始まった。
児童文学界に名高いカーネギー賞、ガーディアン賞ダブル受賞の作品だが、質、量ともこの充実ぶりは、むしろ大人向け。南イングランドの美しい自然を舞台にウサギたちがくりひろげる波瀾万丈の物語は、冒険小説として一級品。命の意味、生きることの意味を問う力強い作品だ。
主人公、ヘイゼルには、ファイバーの洞察力はもちろん、ビッグウィッグの強さも、ブラックベリーの聡明さもない。だが勇気と決断力、仲間への信頼が彼の武器。しだいにチーフ・ラビットとして群をまとめ、すぐれた指導力をふるうさまが痛快だ。
人間もまた群の動物。同じ組織なら、ヘイゼルのような人の下で働きたいもの。だが実際には、カウスリップやウーンドウォートのようなリーダーのほうが多いのが、世のつね。ゆえに組織論、リーダー論として読みとくことも可能だろう。
一見平明な英語が取っつきのよい印象を与えるのか、英語学習者に教材として好まれるようだが、ウサギ語や動物共通語がひんぱんに挿入されるし、構文は案外複雑で難解。行間まで読みこなすには相応の英語力がいると思う。
