- [著]Nassim Nicholas Taleb
- カテゴリ:
- ペーパーバック (480頁)
- ISBN:
- 0141034599
- 発売元:
- Penguin (2008/02/28)
- 定価:
¥ 962 (税込)- 価格:
- ¥ 1,010 (税込)
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「非」最適化兵器親爺「相場セカイ」系
今更、私が何をレビューすると言うのか・・。
・・
取り合えず、「セカイ」系から。1980年頃に読んだ
池見酉次郎『自己分析』のレビューで書いたとおり
「生物にとっての環境世界は、その生物ごとに異なる」
のだが、特に人間の場合は生物「個体」レベルで
それぞれ別々の「世界像・世界モデル」詰まり「セカイ」を
もって生きているので、「世界認識」は自分の「世界モデル」を
通してしか行えない。結果、人間にとっては「世界」とは
それぞれの「個人」にとっての「セカイ」となり
これ等の「複数セカイ」が共同化されて、その時代のその文化圏での
「セカイ認識」となり、「みんな」がこれが「セカイ」だ、と
思って生きている。まあ、其処までは良い。
問題は・・また、図式化しちゃうが・・
純粋数学−応用数学−理論物理学−実験物理学−工学
と為るのだが、「ブラックショルズ・セカイ」は一番右側の
「工学エンジニアリング・セカイ」だが、基盤の一つ
ITOの公式は日本人数学者伊藤清氏による「純粋数学セカイ」の
産物である。この左右両端をくっつけただけで、中三つの
「複数セカイ」の部分を疎かにし過ぎだった。
NNタレブ自身は右から二番目の「実験物理セカイ」の
立ち位置で、盟友マンデルブロトは左から二番目の
「応用数学セカイ」と言って良かろう。別の「セカイ」の
住人には「別の見え方」をする、と言うのは当然の事である。
・・因みにフツーのシステムトレーダーは、デザイニングの
時点では「理論屋」であり、検証バックテスティング時には
「実験屋」となる。此れが「仮説検証法」だが、「ひとりで
できるもん」の「セカイ」である。そして、実際にシステム運用を
する時には「工学エンジニアリング・セカイ」で仕事をする。
更に、「変だな」と思ったら、左側の「数学諸セカイ」に
戻って「考え方」自体を「検証」する。以上、5つの
「複数セカイ」を全部「使う」のが「仕事」である。・・
・・
ガウス分布ボロクソであっても、結局のところ
べき乗分布では「セカイの見方」を変えるだけであり
「別の見方」は其れまでの「既知」を越えた「未知」だが
もう一つの「別のセカイ」に過ぎない。
「世界」とは、詰まる所「未知の未知」なのだ。
少なくとも、人間にとっては。
マートンとショールズはノーベル経済学賞を返上すべきだろう
オリジナルは2007年リリース。邦訳は、2009年6月18日リリース。筆者はデリバティブ・トレーダーであり作家であり不確実性科学の研究者というナシーム・ニコラス・タレブである。正に今の経済学のファイナンス理論を根底からぶった切っている内容で非常に面白かった。
氏の揺るぎない語り口は最後まで絶好調なのだが、それは自身がデリバティブ・トレーダーとしてファイナンス理論では割り出しきれなかったあの暴落で大儲けしたことも自信の根底にあるとは思うが、それ以上にノーベル経済学賞を受賞した経済学者2人を要しながら破綻したLTCMのことが最良の『エヴィデンス』となっていると思う。今のファイナンス理論では説明できないことが『大きすぎる』のだ。
つまりこれはLTCM破綻という事象に象徴されるように、今の経済学の根幹に多大なる間違いがあるのではないだろうか。『間違っている理論』がノーベル経済学賞という、ノーベル賞とは元々は全く関係なかった賞により、『格付付与』され『AAA』となる。つまりはノーベル経済学賞自体が誤った格付機関であるとタレブは言っているように思える。
で、あるとすれば今の市場は間違ったファイナンス理論の上に立っているのではないだろうか、と思えてくる。まさに『ありえないなんてありえない』だ。
洞察はよいがうんざりする
大変話題になっていた本なので一応読みました。100ページでかける内容を300ページに伸張させた感は否めないですが、世の中の一般人に対し、正規分布を眺めるとまず起こりえないと思われることが、実は非常に頻繁に起きるという警鐘を鳴らした事は評価されるべきでしょう。ただし、極めて感情的に大袈裟に書いてあります。市場の予測は(それしか数学的・ソフトウェア的ツールがないので)従来の分布に基づいた計算によって行われていて過信するのは危険である事はまさにその通りでしょう。しかし、この本の著者が言うように、正規分布の仮定では現実世界の分布を全てとらえきれないことや、モデルをどんなに精巧にしても組み込まれていないファクターが常に頭をもたげる可能性がある、という事を経済学者や統計学者が知的に理解できていないわけはありません。これはむしろ、理数系・経済系の学問を多少なりとも学んだことがある人にはごくごく当たり前のことです(当たり前なのに、あまり実践されてないことは著者の言うとおりなのですが)。
著者の英語はとても読みにくいです。英語のネイティブでないのに、こだわりを持って独特のスタイル(不思議な表現、重複の多用)で本を書き、そのうえ著者はエディターに編集させない(ことを本書中で自慢する)ことの結果です。律儀に全ての文字を読んだ自分が恨めしいです。ただし、内容自体の大筋は悪くないので三つ星です。前作のFooled by Randomness: The Hidden Role of Chance in Life and in the Marketsのほうが良かった。
テレビは見ない?
既知よりも未知の方がより大きな影響を持つ世界において、例外的な現象を誰も予測できないことの重要性を色々な事例を通して繰り返し主張。未知の世界が人間社会に如何に大きな影響を及ぼすか、人がこの未知について如何に無知であるか。リスクを考える上で大きな枠組みとなる正規分布が有効なMediocristanな世界とそうでないExtremistanの世界の分別。人間社会におけるExtremistan世界の拡大。心理学、脳神経学、投資心理学などを通した人の情報処理におけるバイアスからのExtremistan社会への不適合性を説明。
市場は試行錯誤を繰り返す人々に幸運の機会を与えることにより機能しており、この機会をより多く活かすことがブラックスワンの世界で成功する為の戦略と提言。「理論化しない」つまり早急な結論を避けて、繊細かつ旺盛な好奇心で事実を観察し続けることの効用を説き、テレビを見ない、新聞やブログを読まないことを推奨。実際、本人は未だに殆どテレビを見ない生活をされているそうです。
失敗に対して否定的な社会的評価をつける日本は、ブラックスワンの世界にうまく対応できないと指摘。一見不安定な職業と思えるコンサルタントは生き残るためのスキルを常日頃蓄積している一方、保護された産業で安心して勤務していた社員が万一失業した場合には危機的状況に陥る、との指摘に日本の正社員、公務員の将来が重なります。
Black Swanに気づけるか
Black Swan? 飼われていた七面鳥に感謝祭の前日の水曜日に起こったこと。その日が来るまでは七面鳥は日々餌を貰える生活を楽しんでおりその生活がずっと続くものと信じていた。
著者は歴史上の哲学者、経済学者についての豊富な知識を元に人間の考え方について批評を行っている。不確実性に対する人間の限界をこれでもかという具合に攻撃を加えてくる。逸話は広範囲に及びその知識が無い分野では内容を掴み切れない部分もあったが、知的好奇心を満たしてくれるものである。
モダン・ポートフォリオ理論に対してもその攻撃の手は止まず、その理論的な礎であるベル・カーブ、正規分布の非日常性、そしてLong Trailの意味へと進展している。
確率・統計を大学院で専攻した身としてはちょっと一方的な見方ではと言いたくなる点もあったが、物事も考え方のExerciseとしては非常に優れた作品であると思う。
面白いが言い回しが鼻につく感じ
確かに最近有名であるだけに、示唆に富む部分はあるが、挿入過多の言い回しが鼻について読みにくい感じ。著名ならば全て読みたい人でもなければお勧めはできない。
。「まぐれ」が「お話」であったのに対し「black swan」は「論説」って感じ
前作「まぐれ」は、black swan(まれにしか生じず、予測不能であるが、それが生じた場合には重大な影響を及ぼす事象)の存在を意識すること、自らの思考の中に取り込むことの大切さに気付かせてくれる本でした。
新作の「black swan」は、前作を受けて、なぜblack swanをうまく思考の中に取り込めないのかとか将来の予測不能性を、哲学や心理学、行動経済学の面から理由づける内容になっています。
「まぐれ」ほどの衝撃はありませんが、理解を深めることができます。「まぐれ」が「お話」であったのに対し「black swan」は「論説」って感じになっています。また、「まぐれ」は著者の元トレーダーという経歴が色濃く出ていて、投資本として読んだひとも多かったと思いますが、「black swan」では、著者は哲学者の顔をしていて、著者の経歴を知らなければ投資本として語る読者は少ないものになっていると思います。もちろんblack swanや将来の予測可能性、人の合理的判断の限界といった話は投資家にとっての大テーマですので、その方向から手にとっても、すごく面白いのだけれど・・・。でも、この本がもっと幅広い読者に、日常や人生についての思索のヒントとして読まれるといいなと思います。面白いですよ、この本。
認知科学と経済物理学、べき乗則
著者は、最新のフラクタルや、べき分布といった経済物理学の知見と、認知心理学の学習理論を用い、いかに人間が自分たちの世界の根本的なことがらに対して無防備でいるかを説明している。
2ch、炎上といったサイバーカスケードが話題になるが、統計的な目で見ると世の中は予定調和的な正規分布をしていない。現実の世界でも自己組織化臨界現象といわれる「予想外のことがらが必ず起こる」べき乗則、ベキ分布の形であるといわれる。
サブプライムローンを予言したともいわれる本書の射程は長い。
A Great Book
This is truly a great book that refines / changes the way you look at the world. The topic is all inclusive ranging from probability and psychology to finance and philosophy. The book offers deep insight especially for those who work in financial industry. As a practitioner, I cannot agree more on the author's point of inadequacy of mainstream finance theories.
言わずもがなでは?
速読しての感想です。大数の法則から外れたもの、想定外のものが、インパクトをもって大きな変化を起こす、というのはあまりにも当然で400ページを費やして言わずもがなではないだろうか? 逆の言い方をすれば大数が想定された動きをしている期間には、それによっては何もインパクトはなく世間は水平飛行を続ける、とも言える。So, what?!
この本は、エピソードの羅列として余暇に、冬にはストーブのそばで(または夏ならプールサイドで)パラパラとめくるには良かろう。エピソードにはいくつか興味深いものがある。
ただ、なぜN.Y.Times Bestsellerになったのか理解できない。
