- [著]Jonathan Carroll
- カテゴリ:
- ハードカバー (270頁)
- ISBN:
- 0312871937
- 発売元:
- Tor Books (1999/09)
- 定価:
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輪廻転生と因果応報の物語
推理小説的な " Kissing the Beehive" とは異なり、この物語は、三分の一ぐらいから超自然的な出来事が立て続けに起こり、予想もしないような展開を重ねて意外な結末で幕を閉じる、いかにもキャロル風なストーリーです。
キャロルの作品にはよく犬が登場しますが、この話も例外ではありません。あの世とこの世の橋渡しをする存在として様々な犬が登場し、地獄の番犬ケルベロスを連想させます。犬同様、キャロルの作品では炎やこの世に生を受ける前の子供があの世とこの世の間の重要な鍵となっているように思います。
主人公ミランダの過去が今に影を落としていると言う運びは、"Beehive"に似ていますが、話は老境に至ったミランダの回想と現在を織り交ぜて進んで行きます。最後の一章が話の始まりに繋がる話(=shaggy dog story)で、輪廻転生や因果応報が重要なテーマとなっています。(手塚治虫の『火の鳥』の『八百比丘尼』を連想させます。)
物語の後半は、"Beehive"で既にお馴染みのクレインズ・ビューが舞台です。警察署長フラニー(Francis)・マッケイブや、彼や"Beehive"の主人公サムが子供のころ遊んだ空き家ティンドール・ハウスも再び登場します。
フラニーは今こそ警察署長ですが、十代の頃は悪ガキで鳴らしていた人物です。非常に魅力的なキャラクターで、彼はキャロル自身がモデルなんじゃないかと言う気がします。
フランシス(Frances)・ハッチと言う大変高齢なおばあさんも登場しますが、彼女も死者と生者の世界を結ぶ重要な存在です。なぜフラニーの本名が彼女の名前と同じなのか、なぜフラニーが彼女の持ち家だったティンドール・ハウスを管理しているのか。私にはそれがミランダの身に降りかかる様々な出来事と同じぐらい気になりましたが…。
Carroll の女性主人公物ホラー。
女性が主人公のCarroll作品では3作目の「Bones of the moon」があるが、本作も「生まれなかった子供」と母性がKEYになっており、父と息子というもう1つの彼の作品のKEYと対をなしている。繊細なCarrollらしい。
終盤はかなりホラー的な場面が続出し悪夢と化すが、この辺りのヴィジュアル・イメージは近年のCarroll作品の映画的な感覚が強い。
この作品では冒頭のエピソードが意外に重要で、ラストでの展開と構成は、David Lynch監督の近年の作品に共通するテイスト。
感動は「Bones of the moon」が上だけど、ホラーとしてはこちらか。
