- [著]Jonathan Carroll
- カテゴリ:
- ペーパーバック (256頁)
- ISBN:
- 0312873115
- 発売元:
- St Martins Pr (2001/01)
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¥ 1,406 (税込)- 価格:
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ダークファンタジー登場
十年以上前になんの予備知識もなしにこの作家のデビュー作にぶつかった時にもあまりに衝撃的過ぎてただただ圧倒されましたが、今回も同じでした。何回読み返してみても、ストーリー展開もさることながら、プロットに、描写力に、巧みな言葉遣いに、そして独特のタッチに、やっぱりただただ凄い、才能ってこういうことをいうのだなと絶賛の言葉以外に送る言葉が思いつきませんでした。完璧すぎます。
ストーリーは、ダークファンタジーの名にふさわしい不思議な物語。有名な映画スターの息子トーマス・アビィは、有名人の息子ということにうんざりし続けていたが、彼にとっての永遠の文学的アイドルにして謎の多い童話作家のマーシャル・フランスの伝記を書くべく、同じくフランスの熱狂的なファンの女性と一緒に彼が終世住み続けたゲレインの町に赴く。町へと行く前にフランスのエージェントだった男からいろいろと情報を仕入れたいた二人は用心深く町へとついたが、いきなりフランスの娘に正体がばれ、状況は思いがけない方向に転がっていく。村人の態度にいぶかしいものを覚えながら、伝記に着手するトーマスはだんだんと何かがおかしい事に気がつき始める。アメリカの田舎町を舞台に展開される不思議な物語。
前半はスロースタートですが、中盤からはページを繰る手をとめさせてくれません。
海外小説を読む愉しみをとことん味あわせてくれる一冊です。最大級のお勧め作品です。
誇大妄想小説
原題は主人公が崇拝する童話作家フランスの代表作「The Land Of Laughs(笑いの郷)」。主人公は恋人と一緒にフランスの住んでいた町に行き、伝記を書こうとするのだが...。文体はサリンジャーを意識したものか軽口体。有名な俳優を父に持つ主人公が、そのコンプレックスを振り払うための自立の物語かと思いきや、町の様子がおかしい事に気付き始める...。
ここから先は詳しく書けないが、作者が物を書く者に特有な「ペンの力への過信」を持っている事が分かる。私は途中で仕掛けに気付いたが、この作品の構想は妄想の中から産まれたと言って良いだろう。恐怖感を感じるどころか、バカバカしくて最後まで読むのに苦労した。運命論に対する深い考察もなければ、風刺性も感じられない。
本作の発想は小学生レベルのもので、それを何となく当たりの柔らかい文章にしただけである。作者の未熟が産んだ、誇大妄想小説。
ジョナサン・キャロル入門書
途上で明かされる世界観をどう受け止めるかで評価は極端に別れてしまう作品でしょう。
自分としてはそれをオチ的な扱いにはせず、主人公のドラマや表現へ至るプロットとして活用しているので高評価。
延々と付きまとう不安感は他に類をみない程。
ただ、展開に対するキャラクターのリアクションがどうにも不自然なため感情移入に繋がりにくかった。
心理としてはもっと疑問を持つだろうとか、責めるだろうとか、諦めるでしょうとか、諸々。
ジョナサン・キャロル入門書としては最適(個人的にはキャロル唯一の傑作)。
読者各々の評価は別にしても有意義な読書体験が出来ると思います(映画なんて媒体だとこの内容は難しそう)。
惹句にひかれたが・・・
前評判がとても良い作家。
ホラーだと覚悟して読んだ。表紙の絵も怖いし。
(表紙の絵が一番こわかったかも)
読了後・・・ファンタジーのように感じた。
けれど、文章は物凄くうまい。
伏線の使い方が すばらしい。文章に無駄が無い。
最後の数ページで ビックリさせられたが、
結末の予測はできた。けれど、まさかね、と理性が
否定しているところへ この筆力で ねじこまれた感じだ。
しつこいようだが
近代作家、現代作家の中で この文章力はピカイチだろう・・・感嘆。
思い出すだけで、戦慄が走ります
最初は、あまりにゆっくりした展開に、う〜ん・・・と思いながら読み進めるのだが、後半はもう、ページをめくる指が止まらなくなり、瞬きするのも惜しいくらいだ。
ラストの衝撃的なシーンは、自分のなかで映像化され、その恐怖に戦慄が走る。
映画化のオファーがありそう・・・(でも映画化したら、すこし違うラストになりそうで、それはイヤかも)。
若干、ジャパニーズホラーに通ずる感がある。
視覚的とかじゃなくて、感覚的に追い詰められていくようで・・・。
これは、サスペンスが好きな方には、ぜひ一読して頂きたい作品。
心から、オススメします。
ハマります。
何度読み返しても鳥肌が立ちます。一口にホラー小説とくくってしまえない、壮大なプロットの第1作目です。
奇妙な読後感
本作はホラーやファンタジーに分類されていますが、少なくとも前半は、情緒不安定の主人公がアメリカの田舎で自己探求をしていくといったごく一般的な小説の体裁で進みます。後半は不安感をあおる伏線を経てたどりついた結末は前半がややだらけていただけにカタルシスをえられました。後味は良くないのですが、読んだことを後悔させないような不思議な読後感です。
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非常に面白い小説です。
衝撃の処女作。ホラー・ファンタジーでありながら文学。
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メタフィクションの手前で
この本は、一人の作家にまつわる物語である。その名はマーシャル・フランス。1922年オーストリアに生まれ、16歳で単身アメリカに渡ってからはその生涯のほとんどをミズーリ州のゲイレンという小さな街で過ごした。彼の作品は一作を除きすべてが童話だが、その独特の文体に魅了されたファンは数多く、成人してからも愛好家であるような人も多い。本書の主人公、トーマス・アビイもその一人。彼がフランスの伝記を書こうと思い立ったところから物語は動き始める。作中にはフランスの作品名やそこからの引用が頻繁に登場するが、そのどれもが余りにも魅力的で、しかも愛情に満ちた扱われかたをしている。読者の多くが、「これが終わったらマーシャル・フランスだ」と思わされることだろう。しかしなんと、この作家は実在しない。実在しないばかりか直接登場することすらない人物を、こんなにもいきいきと描き出すキャロルの手腕には舌を巻くばかりだが、この描写があってはじめて、後半の物語の核心部分が説得力をもつことになる。創造と創作の関係。このテーマはキャロルの後の作品にも繰り替えしあらわれるものだが、ここでの現れ方は最もストレートなものだ。物語半ばで「謎」が明らかになることに、戸惑いを覚える読者もいるかもしれない。しかし気を抜いてはいけない。突然の悲劇、そして更にそれをも裏切る驚愕の結末。最後の一ページを読み終わった時、読者はそこにいたるまでの伏線が完璧だったことに初めて気がつくだろう。
有名な映画俳優であった父の影にしばられ、無気味な仮面を愛好する主人公の精神の不安定さは、現実を、というよりは自らの存在そのものを揺るがされるような結末に相応しい。ボルへスや、「胡蝶の夢」などを含む「夢と現実」の系譜に、異色の才能が加わった、記念すべき第一作。
