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1973年、雪の降る12月のある日のことだった。14歳のスージー・サーモン(魚の「サーモン」みたいな名前と彼女は言っていた)は学校から家に帰る途中、トウモロコシ畑の中に穴を掘って作った地下の隠れ家に誘い込まれた。そこで彼女は残忍にレイプされ殺害されてしまう。連続殺人の新たな犠牲者となったスージーは、その男を知っていた。それは近所に住む男、ハーベイだった。
アリス・シーボルドのせつなさが胸にしみる感動の小説デビュー作『The Lovely Bones』は、「人生は永遠に昨日のこと」となってしまった天国からスージーが語り手となって話を展開する。スージーは天国から彼女の死を悲しむ家族や友だち、そして憎き殺人犯や彼女の事件を追う刑事の様子を見守る。著者シーボルドは、すべての人はそれぞれ自分なりの天国を持っていると言う。スージーの天国は郊外のハイスクールにある運動場やその風景に似ていた。そこは彼女が望んでいた「先生がいなくて…、美術の時間以外は教室に入らなくてよくて…、男の子がお尻をつねったり、『臭い』なんて言ったりしなくて、教書は雑誌のセブンティーンとかグラマーとかヴォーグ」という「最も素朴な夢」でできた天国だった。
『The Lovely Bones』は一風変わっているが、主人公が大人になっていく様子を描いた感動の物語である。スージーは失ってしまった世界にしがみつきながらも自分自身の死を受け止めようと格闘し、『My So-Called Afterlife』のように、長年にわたり家族が生きていく様子を追いかけていくのだ。スージーの家族は悲しみに崩壊する。父は殺人犯を突き止めることを心に誓い、母は家族から去り、弟のバックリーは家族の死の意味を理解しようとし、妹のリンジーは数々の衝撃的な出来事を10代から青年期を通してスージーとともに経験する。また本書の中では、不慮の出来事、そしてやり残してしまったことが随所に描かれている。スージーは生前に経験した男の子とのたった一度のキスを思い返して「まるで事故のようなもの。ガソリンの中にふと見えるきれいな虹みたい」と言う。
ときには感傷的になるものの、『The Lovely Bones』は喪失感と深い悲しみを越え、人間が生きていく姿を描いた感動の物語である。また、登場人物のキャラクターが物語をよりいっそう際立てる。そして著者シーボルドは壮大な結末を用意している。いくぶん、すべての人々にとってうまくいきすぎている結末ともとれるが、しかし天国とはそのような幸福な結末で満ちあふれている場所だと考え、想像せずにはいられなくなる。(Brad Thomas Parsons, Amazon.com)
評判ほどあまり好きにはなれない
25.0% (1 / 4)
[No.24] posted by ブルーシェル
天国の情景の描写は、今いる地上と変わらない様子。
しかし、望めばほしいものが出てくる。気に入った建物や庭など。
心から望むもので好きな国を自分のまわりに作れるのだけど
これだと脳の発育の未熟な者、経験のない者、知識を得てこなかった者といったひと達は
どうなるのかなという疑問はある。
そういう人達はそれなりに感覚的に心地よい状態を作っていくのだろうか。
ストーリーは
レイプして殺された少女が自分の家族を何年も
ずっと見ていくという物語です。
レイプ犯さえも淡々とした文章で見ています。
死んだ理由がレイプ殺人。これはショッキングではあるけれど、
その死因を除けば、天国や家族の日常の描写とか退屈な気がします。
暗いことはなく、暖かい印象で読めます。
そのてん良いと思いますが、
読んでいて生暖かく、天国でのつきあいなども深く心に響いてきません。
個人的には感情移入はできかねる作品でした。
アメリカのベストで、自己啓発のような意図のあるものは
私はどうもだめです。
じんわり
100.0% (4 / 4)
[No.23] posted by 01pun
同僚が貸してくれたので読みました。
衝撃的な悲劇で始まるけれど全編あくまでも静かに淡々と展開
して行くなかで、死後の世界と現実の世界の両方の視点がとても
自然に混在していて、目に見えない世界を当たり前のよう
に感じられるような気持ちになりました。
そして見守られているような暖かい安心感。
と同時に罪を犯した人間の闇もズンと重みを持って感じました。
作者の世界観に共感します。
読み終えて、亡くなった祖父母に思いを馳せました。
Are you happy ?
100.0% (3 / 3)
[No.22] posted by polka-dot-dot
ものすごくよかった。ん?これからどーゆー展開で話をすすめてくわけよ?という感じで唐突に始まるのだが、起こった事件そのものに焦点をあてるわけではなく、その後の周りの状況を、淡々と語る主人公の一人称ものです。
同じようなリズムの中で、ふともらす一言が心のひだをうまくつつくというか、琴線にふれてくる感じ。文章の行間の、書いていない部分に、存在してると思われる主人公の気持ちに想いをはせると、せつなくて、どうしようもないその境遇がよりいっそう心に響いてきます。
ジャケット、タイトル、内容、構成、と全てが上手く合致した作品。大人の本ですが、ぜひ思春期の方々にも読んで欲しいと思うのです。
深遠なる悲しみがいつまで続くのか?
66.7% (2 / 3)
[No.21] posted by シロクマトラベル
まず、読んでいて死んだ者の一人称の語りが非常に寂しげに、憂いに満ちて感じられます。淡々と語る死者の一人称は悲しみを更に増幅させ、また同時に悲しみの主人公が父親から母親に何気なく遷ろう様も、なかなか手が込んでいます。一方、自分の写真を見て、もはやこれ以上の赤い頬や青い目を見ることは出来ない、なんて表現がさらっと出てくると、もはや涙、涙の連続です。と・こ・ろ・が。怪しくなるのは終盤。死んだ者が友人に乗り移るあたりから筆致が怪しくなってきます。格調高い悲しみは、いつのまにかイカサマサスペンスの様相を呈し、あれれ、で幕切れを迎えます。全く精神衛生上よくありません。英語は平易。
残酷な運命、でもあたたかい目線
50.0% (3 / 6)
[No.20] posted by puyopuyo
レイプされ、殺されてバラバラにされた少女。見つかったのはひじの骨だけ。でもそれが"the lovely bones"ではありません。そしてまた、そんな衝撃的な出だしに不似合いな温かい話であることは、この本の装丁からも見てとれるかもしれません。
彼女が残された家族や友人、彼女を殺した犯人までも天国から見て語る様子は淡々と、でも時に切なく響きます。
The Timesの書評では「一気に読んでしまった」という主旨のことが書いてあったようですが、エピソードが少しづつつみかさねられているので、どちらかと言えば全体としてのあらすじを追って一気に読むというよりは少しづつ味わいながらページをめくる本だと思います。
タイトルのThe Lovely Bonesの意味が分かったとき、暗い中にぽっと灯りがともるような、そんな印象を残してくれる本です。
再生の物語
87.5% (7 / 8)
[No.19] posted by ベック
本書の主人公のスージーは、十四歳という若さで理不尽に命を絶たれてしまいます。レイプされバラバラにされて最後まで彼女の遺体は肘の一部しか見つかっていませんでした。残された家族はみなそれぞれの方法でこの信じがたい我が身に起こった悲惨な事件をなんとか乗り越えようともがきます。スージーの死によって引き寄せられた様々な人たち、彼らと残された家族が絡まりあい、運命に引きづられながらも再生への道を進んでいきます。そしてそれを見守る天国のスージー。
苦しみがあれば、その先には幸せが、癒しが待っているのでしょうか?受難のあとには救いがあるのでしょうか?永遠の命題ともいえる答えの出ないこの問題を考えてしまいます。
愛する人が死んでしまっても、いつも寄り添って見守っていてくれているというのが本当だったら、それはとても心癒される事実です。私は大丈夫だよ。こんなに幸せに暮らしているんだよ、と言われたらどれだけ慰められるでしょう。たとえ、それが理不尽な死をむかえていたとしても死者の魂が安らいでいるとわかったら、残された者にとってもやはりそれは再生への確かなステップになることでしょう。
本書で描かれることの大半はこの残された人々の再生です。悲惨な事件を描いていても、読了して心温まるのはみんなが幸せへのステップを登っていってるからです。
編集をもう少し・・・
33.3% (1 / 3)
[No.18] posted by la-sylphide
「2002年に世界で一番売れた小説」という帯につられて購入しました。
殺されてしまった少女から見た残された家族と、天国の様子はとても温かく優しい小説でした。
星評価が低いのは、内容でなく、編集です。
かなりの長編で、場面ごとに登場人物が変わるので、帯裏にでも「主な登場人物」欄を設けて欲しかったです。
似た名前が多いので、途中でごっちゃになりました。
感動的な物語です
50.0% (1 / 2)
[No.17] posted by エッダ
レイプされ、物語の最初に殺害されてしまったスージー、そして残された家族のその後が描かれている。
悲しみ、犯人への怒り、大切な家族を失ってしまった喪失感を抱えた残されたかぞく、そしてそれを見つめるスージー。スージーの届かない家族への声が、せつなく心に響きます。
家族の崩壊と再生の様子は、感動的です。
もうひとつの『ラッキー』
27.3% (3 / 11)
[No.16] posted by ヤヤー
作者自身のレイプ体験を綴った『ラッキー』を読み、また改めてこの本を読み直した。
レイプ殺人という行為に打ちのめされる読者はしかしながら、
主人公スージーの情愛に満ちた家族へのやさしいまなざしに救いを感じながら読める。
このまなざしは、作者アリス・シーボルド自身のものでもある。
レイプ以前から、彼女の家庭はばらばらになりつつあった。
しかし、子どもの健気さ故といおうか、彼女は家族の中でただ一人、修復に努めていたのだった。
この本の第1章を書いたところで筆が止まり、スージーが夢に出てきて
「あなた自身の体験を書いて」
と話したという。
そこで『ラッキー』を書いたところ、『ラブリー・ボーン』も一気に仕上がったというのだ。
この2冊は、いわばそれぞれがアリス・シーボルドの半身である。
どちらが欠けてもこれほどの完成度は得られなかっただろう。
私たちが願うような罰は、スージーを殺したハーベイには訪れないが、
このことこそ作者がPTSDを克服したことを証明していると思う。
どちらを先にとは言わないが、両方を読んで初めてどちらも理解できると思う。
フィクションとノンフィクション、どちらも素晴らしい。
読むのがつらかった
66.7% (2 / 3)
[No.15] posted by mag
同じ年頃の娘を持つ親として気になってはいましたが、あまりにも設定が恐ろしくてずっと読めずにいました。死んでしまったスージーの視点で淡々とつづられています。一番悲惨な目にあったスージーがいるその穏やかな天国を思うと、もしこれが本当であったなら、残された家族もどんなに心が救われることか。家族の再生の物語でもありますが、私はスージーのお母さんのアビゲイルより、近所に住むルアーナ・シンの印象が強く残りました。