The Catcher in the Rye

  • [著]J.D. Salinger

カテゴリ:
マスマーケット (224頁)
ISBN:
0316769487
発売元:
Little, Brown and Company (1991/05/01)
定価:
¥ 652 (税込)
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評価: 4.0

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1951年に『ライ麦畑でつかまえて』で登場してからというもの、ホールデン・コールフィールドは「反抗的な若者」の代名詞となってきた。ホールデン少年の物語は、彼が16歳のときにプレップ・スクールを放校された直後の生活を描き出したものだが、そのスラングに満ちた語り口は今日でも鋭い切れ味をもっており、ゆえにこの小説が今なお禁書リストに名を連ねることにもつながっている。物語は次の一節で語りだされる。

――もし君が本当に僕の話を聞きたいんだったら、おそらく君が最初に知りたいのは、僕がどこで生まれただとか、しみったれた幼年時代がどんなものだったかとか、僕が生まれる前に両親はどんな仕事をしていたかなんていう「デビッド・カッパーフィルド」調のやつなんだろうけど、僕はそんなこと話す気になんてなれないんだな。第1、そんなの僕自身退屈なだけだし、第2に、もし僕が両親についてひどく私的なことでも話したとしたら、2人ともそれぞれ2回ずつくらい頭に血を上らせることになってしまうからね――。

ホールデン少年は、教師をはじめとしてインチキなやつら(いうまでもなくこの両者は互いに相容れないものではない)と遭遇することになるのだが、こうした人物に向けられる風刺がきいた彼の言葉の数々は、10代の若者が誰しも味わう疎外感の本質をしっかりと捉えている。

2010
03/07
Sun

なぜか新書版のベストに。かなり古い作品なのに

[No.238] posted by yamaguch

フィールドオブドリームの時にシューレスジョーと並んで読んだ本。非常に不思議な本でしたが、やはり青春の本であり、中高生くらいに読むのがよいのでしょう。確かに当時は村上春樹(ノルウェイの森)と村上龍(愛と…のファシズム)が流行っている時代であり、なんとなく共通性は持っていませんでしたが、気持ちもフィールドオブドリームスの映画のアイテムの1つとして読んだため、さほど感動はしませんでした。青春小説かなという感じです。禁書となったとされた本書の取り扱いに対し、PTAのおばさんに対し、「スターリン…」と叫んでいた奥さんの意味、わかったような気がしました。今ではさほど衝撃的ではないですが、時代性を感じます。

2010
03/07
Sun

今だからこそ

[No.237] posted by Tochitli

サリンジャーが亡くなった。この一作で世界の寵児になり、その後長い長い隠遁生活を送っていた。世界的有名な殺人犯がこの作品を持っていた事や、サリンジャーの特異な生活に興味を持って主人公と同じ世代の頃、タイトルにも魅かれてこの本を手にとった。
しかしそのときの印象は最悪で、こんなわがままな男の物語のどこが面白いのだろうか?人生の落伍者だと感じた。
しかし今読むと、自分なりに何かをやろうとすればするほど空回りしてしまう、それでも一人前になりたくって一生懸命もがく彼の姿をよく理解できる。
彼の苛立ち、そして寂しさ、悲しさ、やりきれなさ、それらをすべて洗い流すかのようなラストシーンの回転木馬、時間が止まった情景が目の前に浮かんできた。
そして今ははっきりわかる彼は落伍者ではないという事を。
長年たって、好きになることが出来た小説。
私自身も成長したという事だろうか?

2010
03/05
Fri

16歳の少年が、大人世界の偽善を直感で見抜く

100.0% (3 / 3)
[No.236] posted by ボーン・ウイナー

レビューを書こうと思ったら、すでに235ものレビューがあって、一瞬ひるんだ。
しかし、俺には俺の見方がある。
著者のJ.D.サリンジャーは今年、2010.1.27に亡くなった。これを機会に新聞のコラムやエッセー欄にサリンジャー賛辞の記事が沢山出た。青春小説の傑作だそうで、落合恵子とか、若者に説教したがり屋が特に褒めちぎっていた。そこで俺も読んでみようと思った。断っておくが、俺は75歳のじじいだ。翻訳は野崎孝のものが名訳ということになってるらしい。
読み始めて、まず感じたのは外国映画の日本語吹き替えのあの妙なイントネーションだ。この妙なイントネーションは芸人の友近が「ディラン&キャサリン」というペアで売り出していて、俺は感心していた。この二人はまさに日本語吹き替え映画のせりふのいやらしさを見事にあらわしている。この日本語吹き替え洋画的文章もしばらく読んでいくうちに気にならなくなってきた。彼のいんちきを見抜く直観力とその表現に思わずなんども噴出した。こんなことは俺には滅多にないことだよ。
さて、本題だが16歳の少年が、余りのはみ出しぶりに名門高校を退学になり、家に帰るまでの数日間、大人の真似をして、酒を飲んだり、娼婦を買おうとしたり、先生の家に遊びにいったりしながら、ぼろぼろになって、家にたどり着くまでの間に、色々考えたり、人物についてこき下ろしたりしながら、彼の考えを述べる。これがまさに的を射ているんだな。彼は、別に論理的とか倫理的とかに考えて、人物に対する判断をおろしているわけではないが、まさに直感的に、こいつは胡散臭い奴だとか、偽善者だとかわかるんだ。でも、自分の亡くなった弟や,幼い妹は深く愛していて、心を打たれる。おれ自身も青春時代とはいわず、40・50・60になっても(俺は会社員だった)上役・同役・下役のインチキ性を身をもって感じていたから、主人公の直感がよくわかるんだ。
柄にもなく、野崎さんの翻訳口調をちょいと真似したが、彼の翻訳の足元にも及ばないことはよく承知している。

2010
02/27
Sat

ふたりのホールデン

[No.235] posted by マミユリ

ホールデンは、自分以外の他者を理解出来ない、未熟で短絡的な人々だと考えている。
そして、そういった他者に溶け込みたくないと思いながらも、溶け込んでいない自分も未熟だということを心の奥底では解っている。
その“はざま”でホールデンが何を考え、感じ、話したかがこの本の魅力なんだと思う。

そしてそういった未熟さに思いを巡らせる人の多くは、ティーンに近い世代だからこの本は青春小説というフレーズで度々紹介されている。

野崎氏の訳も読みましたが、野崎氏のホールデンはもっと内的で、でもとても純粋不器用な、ごくごく普通の少年が一生懸命に言葉を紡いでいたように感じたから私は感動しました。

春樹氏のホールデンは、他人とは違う自分として躍起になって言葉を取り繕っている少年に思える。
そういった言葉の使い方は、少し擦れていて、飾り過ぎているかな?と思えました。
だから共感に達しないというか、物足りなく感じてしまっていました。

ホールデンの不器用さを違った形で表現しようとしたのなら、春樹氏の訳は頭から否定出来たものじゃないと思います。

テクストに正解はなく、翻訳に正解はなければ良し悪しで評価を下せるものではない。

どちらが好きか嫌いか、それは読んだ方が決めることです。

私は野崎氏の素直で不器用なホールデンが好きなのでこの評価です。

2010
02/19
Fri

韻を踏んだタイトルが全てを語る名作

100.0% (2 / 2)
[No.234] posted by 100名山

この小説の時代1950年代はロボトミーや電気ショックが普通であった精神病院で幕開けします。
精神を病んでいるとされた少年の独白です。
あのスコットランド民謡「誰かさんと誰かさんが麦畑・・」とボクサーを頭の中でがんがん回しながら、宮沢賢治が好んで描いた野原を子供たちが走り回る。
そこは子供たちの背丈を遙かに超えるライ麦畑(Rye-Lie)です。
実は読むまでは民謡の通り、麦畑に隠れた男女の秘め事がストーリーかと思っていました。
ところが読んでみると高校中退、精神病院入院、女性との正常な?関係を持てずじまいと言った友人たちに囲まれた私には、とても痛い内容でした。
少し残念なことは主人公が所謂頭のいい子であることです。
唯一コミュニケーションが成立した妹のストレートな行動が、主人公を救い、読者も救ってくれます。
しかし、閉幕も精神病院です。
正常と異常、病人と健常者。
ドロップアウトしちゃったかなと思う人にお勧めです。
塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細細と一すじ断続している。…………

2010
02/08
Mon

読んだ年齢で

100.0% (3 / 3)
[No.233] posted by スパークル1

十代から五十代の現在まで、10年に一度くらい読み返してます。
読む年齢によって、読後感がすごく変わります。
昔は、ホールデンに全面的に共感したりもしたけど、今の年齢で読むと、これだけ感受性のかたまりのようだと生きるのはつらかろうなあ・・・と、ホールデンに対してなんだかせつない気持ちを覚える。そりゃ世の中イヤな奴と頭の悪いボンクラばっかだけど、でも人間ってさ、みんなが君みたいに優秀なわけじゃないんだよホールデン君。そういう感想になっちゃう。
僕もオヤジになったってことか。
作者サリンジャーが、これを書いたあと60年も生きたっていうのがなんだかすごい。

2010
02/03
Wed

優れた現代の児童文学

75.0% (3 / 4)
[No.232] posted by ありんこかりんこ

 わたしは3人の子どもの母親です。我が子らは現在20代に成長しました。この本で、今さらながらに、子どもとはこんな風に物事を感じているのかと痛感させられました。二人の子どもの死、ひとりは仲良しだった弟のアーリー、もう一人は抵抗の死を遂げた同級生の男の子、これが、周囲の人々が考える以上に主人公コール少年の心に重く深く沈潜している。周囲の大人、友だち、ガールフレンドですら彼の気持ちを真正面からとらえて向き合おうとしない。とりわけ大人たちは「彼の為を思って」拳銃のように言葉を発するばかりで、彼の言葉をじっくり聴こうとはしない。そこから疎外感がもたらされ、彼はイライラ感を募らせ、一見破滅的行動に向かう。彼を変えたのは、ただひとり、妹のフィービーだけです。彼にしっかりと向き合った小さなフィービーの姿はけなげで偉大です。
 わたしは子どもに児童本を読んであげながら、児童文学とは、子どものための読み物であると同時に、子どもの心を大人に気付かせてくれる読み物でもあると常々感じてきました。コール少年の悲しみや寂しさには胸がしめつけられます。そして妹のフィービーの行為に晴れ晴れとした希望を感じました。この意味で、本書は優れて「現代的的な」児童文学だと思います。わたしは何度も読み直して自らの感性を研ぎ澄ませたい。

2009
12/02
Wed

クリスマスが近づくと読みたくなります。

0.0% (0 / 1)
[No.231] posted by rurikaharu

この本と「飛ぶ教室」は、クリスマスが近づくと読みたくなります。
多くの方が感想を書かれていますが、好き嫌いはともかくとして、一度は読んでみることをお奨めします。大人になってから読んでも、若い時分に読んでみてもどちらでも構わないと思います。
私は高校時代に読んでみたのですが、当時は何が面白いのかさっぱり分からなかったです。。
裕福な家の神経症気味の少年が何かぐずぐず言っているだけなんじゃ?という感じでした。
ホールデン君が、妹を見ながら急に幸せを感じ、雨に濡れながらずっとそこに立たずんでいたという場面は、大人になってから読むとはっとします。

2009
11/26
Thu

「中二病かな」っと思ったらこの小説。

44.4% (4 / 9)
[No.230] posted by I.A.I.Wikkase

中二病を描いた作品。中二病についてはネット上で調べてもらえればいいが、ようするに思春期特有の自意識過剰や他者への過剰なまでの批判癖、殊更偽悪ぶってみるものの結局行動せずに軟着陸したりする、そんな痛々しい心の病。本作においても主人公は寮を飛び出した後、さんざん友人の悪口を書き連ねた後にその友人に泣きついたり、最後は兄に似ずしっかりものの妹のところに転がりこんだりと、偽悪的である一方で必死に人とのつながりを探し、疎外感を埋めていこうとする中二病特有の行動を描写している。
 もしかしたらこの小説を楽しめる人間は未成熟で幼い人間なのかも知れない。私も大学生にもなって重度の中二病患者なので今でもこの本を読むと胃がキリキリする。偽悪的な行動や攻撃的な言動、一方で必死に人にかまってもらいたがる習性などは読んでいる途中に思わず辺りを見回してしまうほどのインパクトを受けた。「中二病かな?」と思ったら是非この本を。(ちなみに最後の方で引用の形で出てくる「未成熟な人間の特徴は理想のために高貴な死を選ぶことである。一方で成熟した人間は理想のために卑小な生を選ぶ。」という言葉は今でも最高の名言の一つであると思っている。)

2009
09/08
Tue

好き嫌いが分かれそう

37.5% (3 / 8)
[No.229] posted by すや

1951年に発表された小説で、その砕けた文体やきわどい言葉づかいから当初はアメリカで発禁処分になったりしている。ジョンレノンを暗殺した犯人が愛読していたことでも有名。

とりあえず好き嫌いが分かれる内容だな、というのが率直な感想。
欺瞞にあふれた大人社会を拒絶する青春小説といった見方ができる一方、単に社会からはみ出しているふりをしているだけの甘えくさった主人公に飽き飽きしてしまった部分もある。

自分が年を食っただけなのか。

でも最後のフィービーとのくだりではちょっと優しい気持ちになる。


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