Nine Stories

  • [著]J. D. Salinger

カテゴリ:
マスマーケット (208頁)
ISBN:
0316769509
発売元:
Lb Books (1991/05)
定価:
¥ 705 (税込)
価格:
¥ 796 (税込)
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評価: 4.5

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1953年に出版されたサリンジャーの自選短篇集。「グラース家の物語」の発端となるシーモアが登場する「A Perfect Day for Bananafish」、WASP中心のアメリカ社会で助けあいながら生きていくユダヤ人親子を描いた「Down at the Dinghy」、男女の不倫を描いた「Pretty Mouth and Green my Eyes」など、9つの作品が収められている。中には、ドイツ製のルガー拳銃の性能を証明するために、ヒヨコの頭を撃ち抜いたヘミングウェイの残忍性を風刺して書かれたといわれている、次のような作品もある。

ノルマンディー上陸作戦に向けて3週間続いた特殊訓練を終えたX軍曹は、喫茶店で1人の少女に声をかけられる。先ほど教会の児童合唱隊で、ひときわ美しい声で歌っていた少女だ。さびしそうにしていたから声をかけてみたと言う少女と、彼はつかの間の平穏なときを過ごす…。やがて戦争は終わるが、X軍曹は心身ともに深い傷を負う。ある日、彼は手元にあった小包を開く。中にはあのときの少女からの手紙と、彼女の父親の形見である腕時計が入っていた。2人が共に過ごした時間は、長い人生においてはほんの一瞬のできごとに過ぎない。それでも、少女の手紙には、彼に安堵の眠りと魂の救済をもたらす不思議な力があった。(「For Esme-with Love and Squalor」)

発表以来、精神分析や東洋思想などの立場から、さまざまな文学的解釈がなされている短篇集であるが、読み物としても十分おもしろい。何年かたってから読み直せば、以前は見えなかったものが見えてくるような、味わい深い作品である。(小川朋子)

2008
03/17
Mon

野崎孝という訳者

50.0% (1 / 2)
[No.25] posted by rikki48

perfect day for bananafishを『バナナフィッシュにうってつけの日』と訳
してしまう野崎さんの能力に感嘆しきりですが、過去には『バナナ魚日和』なんてい
う、まるで小津安二郎の映画のタイトルかと思わせる名訳もあったのには、ますます
驚きです。

2007
08/26
Sun

切り取られた「永遠の思春期」

50.0% (4 / 8)
[No.24] posted by スプーン

サリンジャーは「ライ麦」の方を先に読んでいて
後にこちらを読んだのですが。面白かったです。

結局サリンジャーの描きたいことは、
「登場人物達はみんな混乱していて、暴言を吐いて、乱暴になっているけれどそれは
この登場人物たちが、心がきれいで繊細で壊れやすいゆえの事なのだ」
ということだと思う。
10代で読んでいたらここに自分をいくつも見つけてかけがえのない本になっていた可能性もある。あいにく僕が読んだのは20代になってから。。。そうはならなかった。
ただいろんな事に「クソッ!!」って思う気持ちは今もあるけどネ。

ロック的だと思います。ニルヴァーナなんか好きな子達にもすすめたい。

2006
10/12
Thu

9つの物語

77.8% (7 / 9)
[No.23] posted by L Gergy

あとがきで訳者の野崎氏が言及されているように、この短編集では多くの子供たちが登場する。
そして、僕は、サリンジャーは子供という存在を描くのが抜群に上手いと思う。
サリンジャーの描く子供、それは、ただ幼く無垢なだけの存在ではない。
幼いながらも、そこに大人顔負けの哲学性を持った存在として描かれている。でも、それを幻想的だとは思うけど、虚構だとは思わない。
というより、思わせないリアリティがサリンジャーの小説にはある。
また、サリンジャーはあたかも絵を描くかのように、小説を書く人だと思う。
そう感じてしまうのは、場面転換の描写があまりないせいだと思うけど、それでよけいに幻想的に思えてしまう。
今はもう隠遁してしまっているようですが(シド・バレットみたいにいきなり訃報が届くのはやめてくれ!)、どうかもう一度筆をとってほしいものです。

2006
06/29
Thu

歯医者の待合室で読む?クールな短編

13.6% (6 / 44)
[No.22] posted by オハラ翔子

サリンジャー自身が「どうせ所詮は歯医者の待合室で暇潰しに読むような小説」と自嘲していますが、この頃、アメリカの歯医者は不勉強で「ニューヨーカー誌」が置いてないんですよ。だから、ショウガナイから、「フォーブス誌」を読んで誰が今一番金持ちのアメリカ人なのか研究したり、「ビジネス・ウィーク誌」なんかを読んで最近のスモール・ビジネスについて知見を増やしたりする羽目に陥る事が多いです。

でも、もし歯医者でこんな小説が読めたら最高ですね。もっと歯医者で待たされても平気です。「バナナフィッシュにうってつけの日」「笑い男」「小舟のほとりで」なんかに出て来る若い女性達なんか、今でも十分スノッブで、今でも十分カッコいいです。

野崎孝の日本語も懐かしい。サリンジャー&野崎の定番本。

2006
06/03
Sat

愛読書として('-,_ω-`)プッ

7.8% (4 / 51)
[No.21] posted by 松瀬

サリンジャー自選の短編集。9個もあれば一つくらい気に入るのが見つかるんじゃないですか。('-,_ω-`)プッ
個人的にはほぼすべて楽しめました。特に大きなイベントが起こることはないんですが、なんでしょう、淡々と綴られる日常に惹き付けられるものがあります。少しばかり鬱な話も含まれています。
話そのものというよりかはこの作者の心地よい筆致で書かれた文章に魅力を感じるのでしょうか。読んでいるだけで不思議な安心感があります。

ただやっぱり翻訳物は読みにくいです。意味を掴み難いところも結構ありました。だが、それでもいいさ。名作は名作なんだから。('-,_ω-`)プッ

2006
04/26
Wed

最高の短編集

63.6% (7 / 11)
[No.20] posted by こんぺい党

ライ麦畑よりこっちの方が好きです。
バナナフィッシュのマンガにつられて読みました。

読むたびに新しい発見があり、
9作品全体を通して何かが伝わってきます。
短編集って、あまり好きではないのですがこれは短編でしか伝わらないようなものが詰まっています。

2005
12/24
Sat

文学的夭折

41.2% (7 / 17)
[No.19] posted by くにたち蟄居日記

 サリンジャーは今や というか ずいぶん前から 伝説に包まれて
しまった作家である。筆を折ってから何年経つのだろうか?

 サリンジャーは寡作作家と思われるかもしれないが それはある時に
筆を折ってしまったからで もともとは結構短編を量産していた時代が
あった様である。彼の初期の短編集を見ても 結構量は多い。但し
そんな自分に嫌気が差してか 彼はいくつかの短編を自選としてナイン
ストーリーズを編んだ。

 サリンジャー自身が選んだだけに 各編の出来栄えは凄まじいものを
感じる。冒頭の「バナナフィッシュ日和」が いかに衝撃的であった
かは その後 バナナフィッシュという名前をつけた物がよく見られる
ことにも現れている。その他の作品も多彩な作風を魅せていて飽きる
ことはない。

 それにしてもサリンジャーの「文学的夭折」には 原節子の映画
からの引退と重なるものがある。最近の例では山口百恵か。見事では
あり。 

 

2005
10/15
Sat

サリンジャーの

60.0% (6 / 10)
[No.18] posted by するめいか

 すごさをまざまざと見せ付けられる短編集。
 ほかの関連作、フラニー~や大工~などもすぐに読みたくなってくる。
 最初のバナナフィッシュや最後のテディなんかはいかにも衝撃的に作ってあったりするが、そのほかの短編も人間の心を何気なくぐいぐい抉っていく力強さがある。
 ライ麦畑もよかったが、こっちもめちゃくちゃよかった。

2005
10/12
Wed

ライ麦よりもこっち好きかも。

60.0% (6 / 10)
[No.17] posted by sn_ri

中学の頃「ライ麦~」を読んだ。主人公と歳が近いせいもあって、すごく妙な気分だった。

そして攻殻機動隊S.A.C.を観てたら、「笑い男」という凄腕のハッカーが出てきて、しかも別の登場人物が「ライ麦~」を読んでるシーンとかあって、おいおい関係者はサリンジャーマニアかよと思って笑い男が収録されている本を探したらこれに当たった。

そしたら個人的にですが『ライ麦~』よりもこっちの短編集の方が面白いではないですか。

短編のタイトルの付け方も絶妙だと思ってたけど、作品たちに子供の純粋さや愛情を簡潔かつ緻密に描写してる点がすごくいい。

昔少女マンガでバナナフィッシュというのがあったけど、あれもこっから取ったのか?

「テディ」「愛らしき口もと目は緑」や「エズミに捧ぐ」なんかが好み。

少年の頃の瞳で事実を見つめ、理性を持って物事に対処したいと思うようになった。

2005
08/25
Thu

どこがいいのか?

73.7% (14 / 19)
[No.16] posted by クニタケ

サリンジャーの代表作、ライ麦畑でつかまえては私にとって正直どこがいいのかわからなかった。早読みを得意とする私は、意味のないだらだらとした会話が好きじゃないからだ。
しかし、ナイン・ストリーズの短編集を読んでサリンジャーの魅力がわかったような気がする。彼にはいわゆる「山場」という話の核になるようなものはない。文章の中で具体的にこれが言いたいのだと書かれて指摘されるのではなく、書かれた文章の微妙な雰囲気から何かを感じ取るしかないのだ。
短編のひとつ、「コネティカットのひょこひょこおじさん」は結婚もして子どももいる成人した女性が、久しぶりに学生時代の友人とお酒を飲みながら語り合うたわいもない話である。ストーリーは殆ど会話で形成される。特になんということもないのに、そこから安定した人生を送っているはずの女性の怠慢や悲しみ、やりきれなさが伝わってくる。とても切ない話だと思った。
サリンジャーの話は、伝えたいことがはっきりと書かれていないから理解するのが難しい。哲学的で、その状況を楽しむものだと思った。


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