- [著]Bruce Chatwin
- カテゴリ:
- ペーパーバック (336頁)
- ISBN:
- 0330300822
- 発売元:
- Picador (1988/06/10)
- 定価:
¥ 1,079 (税込)- 在庫状況:
- 在庫なし
ユーズド商品:¥ 798 より
ノマド
著者の旅の軌跡と、著者がそれまでに見聞きしたエピソードが、短い断章になってまぜこぜになっているので、ノンフィクションとして、あるいはガイドブックとしての紀行文が読みたい人には向かないかも知れません。
話があちこちに飛ぶので、「もっと直線的に読みやすく」と思う人も結構いるみたいです。
だから薦める相手を選ぶ作品です。
実際、この本を人に貸すことが何度もあったのですが、感想は「良かった!」と「読みにくくて最後まで読み切れなかった」のまっぷたつに分かれました。
ただ、人が物事を考える時ってあちこちに思考が飛ぶということは良くある事なので、そういうものだと割り切って読めば、多少は読みやすくなるのかなとは思います。
また、彼の作品に関しては、思考自体も旅をしているような感じなので、そういった文章の組み立て方は必然だったのだと思います。
私自身は「パタゴニア」という作品でチャトウィンを知り、この本はソングライン(歌の道)という題名に惹かれて読みました。
アボリジニは一つ一つの岩や木、土地に歌があって、全てのものはそれを歌われることを待っているのだ、と考えているのだそう。
そしてその歌をたどる道がソングラインであり、それをたどることによって世界が想像されるのだと。
乱暴に要約するとこんな感じなのですが要約では本当の所は伝わらない概念でもあります。
あくまで一歩一歩の足跡をたどることで浮かび上がるその姿が魅力的なものなので。だからこそチャトウィンは旅したのだともいえます。
安易に「言葉では伝わらない」というのは好きではないけれど、「言葉で全てが伝わる」というのもまたおかしな話で、そこの合間をぬって何かを感じ、その何かを「何か」のままで伝えようとするから、チャトウィンは独自の文章スタイルを取ったのだとも思いますし。
「旅」がDNAに組み込まれているのではないかと思われるチャトウィンの開けた思考と、アボリジニの魅力的な神話と相まって、オーストラリアの広大な大地と開けた空が時空を超えて感じられます。
「これこれこうだから、こう感動した」というようなわかりやすい説明はしづらいのですが、それこそが魅力でもある本で、だから思い出したように、何度も繰り返し手に取る本です。
自らを重ねる放浪者の旅
アボリジニの世界に伝わる「歌の道」をたどった紀行書。とはいえ実際のところはジャンル分けを拒む、強い異彩を放つ作品である。
小説的な様式で進む物語はやや冗長に感じられるが、それが逆に規格品に背を向ける放浪者の矜持にも感じられ、親しみが沸く。膨大な学識を持ちながらも大上段に構えることなく、あくまでも個的な視線の中で人類を捉えようとしており、著者の内的必然がひしひしと伝わってくる。アカデミズムと一線を画した骨太さがいい。
旅人ブルース・チャトウィンが触れたオーストラリア
「僕の神様は歩く人の神様なんです」――世界中を歩き回った旅人ブルース・チャトウィンが、オーストラリアを旅したときの旅行記だ。先住民アボリジニはオーストラリア中に貼りめぐらされる「道」を、すべて「歌」にして記憶している。ブルースはアボリジニに伝わる「ソングライン」を自分の目で確かめるためにオーストラリアの地を踏んだ。
この作品はチャトウィンの晩年に書かれたもの。本書の後半、チャトウィンはいままでノートに綴った旅先での膨大なメモを書き起こしている。自ら振りかえるのが目的かのように。自分の死期が迫っていることに気づいたチャトウィンが、人が旅をするのはなぜかという根源的な疑問に答を出そうともがいているかのようで、なにか物悲しくもなってくる。
最後のシー!!ンもまた圧巻だ。
