- [著]Ethan Canin
- カテゴリ:
- ペーパーバック (192頁)
- ISBN:
- 0330304070
- 発売元:
- Picador (1988/10/07)
- 定価:
¥ 820 (税込)- 在庫状況:
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ユーズド商品:¥ 2,567 より
最高傑作
イーサン・ケイニンの最高傑作だと思うのだが、廃版になってしまって残念だ。
表題作の「夜空の皇帝」。
老境に入りかけた、子供のいない老夫婦の心理を「橋と夕焼け」の二つのキーワードで鋭くあらわしている。
老いを描くというと、とかく暗くなりがちだが、ケイニンは老人特有のある種のユーモアを見逃さない。
庭の木をめぐる隣のいじわる男との戦いは、いい年をした大人が大真面目で爆笑させられる。
若木のために老木を切る隣人に対する、主人公のはげしい怒り。
そしてラスト、表題の意味が分かるときの、心震える感動は忘れられない。
夜空の星にむかって橋を架けようとする、人類のありふれていて途方もない祈りを感じさせる作品だ。
もう一つ好きな作品は「私たちの家」。
日々の生活に追われる若夫婦、なぜか妻が日曜日に身分を偽って家を買いにいく「フリ」をしようと言い出す。
妻の気まぐれが理解できない夫だが・・・。
どちらもラストで「あっ」と言わされる作品だ。
人が人を理解する瞬間。
その稀有な瞬間にこの本は立ち合わせてくれる。
明るく可笑しい短編集
ずいぶん前に読んだのよね。でも今でも柴田元幸氏の訳は秀逸ですわ。『ダイヤモンドを買う男』に出てくるおとーさんが、もう徹底的にユダヤっぽい明るさを見せてて笑えてしまった。ユダヤ系の文学っていっても理屈っぽくて暗いのばっかじゃないんですわよ。基本的にユダヤ・ジョークってシンプルだけど笑えるもん。メル・ブルックスとかウッディ・アレンの好きな人ならきっとこれも後味よく読めるはず。お薦めです。
心の中でなにかがかちんとなって、その残響音がかすかに残っていく
読んだのかなり前だと思うのだが、特に記憶に残っているのは、この短編集の1つの「アメリカンビューティー」での「さあどうする?」 というゲームの内容だ。このゲーム自体は、ある状況での最善の行動を当てるゲームなのだが、例えば車に乗っててアクセルが戻らなくなった場合、さあ、あなたはどうする?といった具合である。でもどうしてこの短編のこのエピソードの部分が心に残るのかは、再読してみても未だに定かではない。
この短編集は他にも「頭の中でなにかがかちんとなる」を含め、秀逸な短編が揃っているのでぜひ一読をススメたい。まあアクセルが戻らなくなった場合、どうすればいいかもわかることだし(笑)。ちなみにブレーキ踏んだり、車から飛び降りたりするのは不正解。
