- [著]John Irving
- カテゴリ:
- ペーパーバック (576頁)
- ISBN:
- 0345417941
- 発売元:
- Ballantine Books (P) (1997/05)
- 定価:
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現代アメリカ文学を読む
アメリカを「小説」で体感出来るとは思いもよりませんでした。
彼らに共感するかしないかではなくそこに人々が生活しているという事実。
読後数年たってより実感。
ともするとハリウッド的なあざとさをアメリカだと勘違いそうにしなります。
それとは質を異にする「アメリカ現代文学」はどちらが正しいだとか間違っているということではないのです。
素晴らしい
サイダー・ハウス・ルールズとはいったい何のことなのだろうと思いながら、
読み始めた。他の方も書かれているように、いかにも小説らしい小説であると、
読了し思った。縦横に張られた伏線、次に起こることを予感させる流れ、
戯画化とまではいたらないまでも、滑稽に描き出される登場人物、などなど。
現実の人生における様々な局面を切り出し、一つの大きな物語にまとめ上げている。
この作者らしい作品だった。結論として、これまで数え切れぬほど読んだ小説の
中でも、ベストのものだと思った。堕胎についての描写や、孤児院、果樹園、
季節労働者の描写など、読む人によって、注目する場所が異なるであろう。
私は、愛には様々なかたちがあること(家族や恋人に対するものだけ
でなく)、また、ヒーローであり続けるとはどういうことであるか、を書いた
物語だと感じた。ジョン・アーヴィングの作品にまだ触れたことのないかたに、
最初の一冊としてお薦めしたい。
静かな感動が押し寄せてくる傑作
映画を観て感動し、原作では、気持ちよく打ちのめされました。
サスガは、アーヴィング。畏るべし! です。
「サイダーハウス」 ってなんだろと思っていたら、
収穫したりんごをジュースにする小屋(季節労働者の住まいでもある)でした。
そして、ルールとはそこに貼り付けてある紙のこと。
というのが、一応の題名の説明です。
ですが、勿論そんな単純な(?)小説では有りません。
微細にして壮大な物語です。受精卵から成長、死に到るまで。
人が生きていくには、人の数だけルールが有るのですね。
そんな当たり前のことを気付かせてくれる、愛に溢れる傑作だと思います。
傍らに置きたい本に出合えました。
孤児たち
堕胎についての記述とは裏腹に、ゆるやかであたたかで確かな愛情に溢れた傑作だと思う。
人は誰かを愛して生きている。それを、アーヴィングらしい、愛と皮肉に満ちた書き方で書いている。社会のルールは時に私たちを裏切っている。そして、私たちも自分のルールを持つことでそれを裏切り、また自分たちのルールすら時に破る。
どの登場人物も愛すべき人物たちだが、とりわけメロニィの存在が強く印象に残った。彼女は、もう一人のホーマーだという気がする。
おもしろかった!
初めてアーヴィングの作品を読みました。かなり分厚い本が届いたので、根気ゼロの私が読めるかなあ、失敗したか・・・と後悔したのですが、びっくり!面白い小説。読書幅(?)の狭い私の感想ですが、佐藤正午の読後感に似てました(一気に読めた所が)。堕胎の是非を問うてるわけでもなく、ルールを守れない人間の愚かさ、その愚かさを慈しんでいるような。絵に描いたような幸せは、どんなに努力しても絶対掴めない星の下に生まれてきた人達の、切ない努力の積み重ねの記録のような。堕胎の詳細な描写が続いたので、初めはゾッとする話かと思いましたが、最後には不思議な切り口の女性賛歌のような気すらしました。
アーヴィングを知るならこの作品を。
この作品は映画化されてますが、どちらが先の方が良いのか迷うところです。映像はとても美しく、配役もはまり、原作に忠実だと思いました。ただ映画は小説のエッセンスを表現しているだけなので、必ず原作を読むべきです。感動します。
存在からして否定された事実を背負って生きていかなければならない孤児達に、「人の役に立つ存在になれ」と教育する孤児院長ラーチ。救いのない、哀しいエピソードの数々で構成されているのにこの作品が感動を呼ぶのは、孤児ホーマーがこの教えを実践しているから。
盛り沢山のストーリー、深いテーマ、さらに社会に対する問題提議(中絶に関して)を持つこの作品は、作家アーヴィングの一つの到達点だと思います。ただ、堕胎医療の描写は細かすぎて、私にはグロテスクでした。しかし、この偏執性もアーヴィングの特徴でしょう。
現代の桃源郷
この小説は、堕胎をはじめ、現代社会に存在する様々な社会的問題が扱われています。
内容としてはとても重いものですが、読んでいてとてもさわやかな気分になりました。それは、この小説の登場人物が、いつも誰かを思いやり、暖かく見守っているからだと思います。
「サイダー・ハウス・ルール」は、とても現実的に社会を描き出している一方で、人間こうあってほしい、という私達の理想が反映されているおとぎばなしのような小説でもあります。
私はサイダー・ハウスやセントクラウズは現代の桃源郷だと感じました。
温かくて切ない気持ちになる
「サイダーハウス・ルール」は、孤児のホーマーと、
彼が人生を過ごした孤児院と、りんご園と、彼をとりまく人々の物語。
わたしはその中でも、ホーマーの父代わりであり、師でもある、
孤児院の院長・ラーチ先生が大好きだ。
ラーチ先生のホーマーに対する愛情や彼の気持ちを思うと、
なんだか温かい気持ちになると同時に、少し切なくなる。
こんな作品に出会えたことを、幸せに思う。
ちなみに、この物語の大ファンになったわたしは、
アーヴィングが脚本を務めた同名映画を観ることに躊躇していたのだが、
そちらもなかなかよかった。
壮大な人生ドラマ
どんな結末になるのか見当もつかないまま、話が面白くて読み進みました。
ハッピーエンドではなく、じわりと重たい物語ですが、長い年月を経た結末は何となく納得させられるものです。
それに比べると映画の方には年月の重みがなく、落ち着きが悪いように思います。
同名映画の重厚な原作
ラッセ・ハルストレム監督の同名映画の原作です。映画の脚本もアーヴィング自身が手がけていて、この重厚な長編小説のエッセンスを見事に凝縮しています。この原作には映画で省略されているたくさんの人物やエピソードが入っており、脚本化の苦労が思われました。
メイン州の田舎にあるセント・クラウズ孤児院。そこには望まぬ妊娠をした女性たちが孤児を残していったり、非合法の堕胎=中絶を施されています。固い信念で堕胎を行うラーチ医師に、いつしか助手となる"もらわれなかった孤児"ホーマー。しかし、ある日現れた若いカップルに惹かれ、ホーマーは師であり父であるラーチから離れていきます。
初めて孤児院から出た彼は、愛や苦悩、後ろめたさという世界のルールに触れていくのです。
堕胎、近親相姦などの重いアイテムを、数閏年に渡るラーチとホーマーの半生で描く本作は、アーヴィングらしい重厚な小説ですが、同時にさまざまなエピソードがどんどんページを進めてくれる、エンターテイメント性も高い作品だと思います。
