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好きな作家の作品なら(作品と呼べないような切れ端でも)、そのすべてを残らず見ておきたいと、誰しも思うのではないだろうか。
「価値というものは総体からのみ生じるものではない。それは細かいものごとからも生じるのだ」。(テス・ギャラガーの序文)
カーヴァーが50歳で亡くなってから十余年、数編の遺稿が発見された。訳したのは、作家村上春樹。日本におけるカーヴァーの紹介者である。その作品世界を愛した彼自身こそ、誰よりも先に、それらの遺稿を手にとりたかったに違いない。
収録作品のうち、「薪割り」「夢」「破壊者たち」は、カーヴァーの生前に発表されたいくつかの作品と似通っている。たとえば、「舞台は小さな田舎町、アルコール中毒で中年の主人公、奥さんとはうまくいっていない」とくれば、いくつかの作品タイトルが頭に浮かぶだろう。まさに、これらは「いつものカーヴァーの物語」なのだ。
訳者あとがきでは、「以前暮らしていた部屋に久しぶりに入ったような気持ちになった」と、村上自身、懐かしさを吐露している。著者の妻であるテス・ギャラガーは、この短編集を「レイン・バレル(雨樽)に湛えられた水」と称した。レイン・バレルとは、戸外に出しておき、雨水を貯めておく樽のことである。いわば、天然貯水槽。「いつでも好きなときに、私たちはその水を柄杓でくんで、私たちをリフレッシュし、維持させてくれる何かをそこに見出すことができる」、とギャラガーは言う。貯えられた満々の水は、10年経っても変わることなく、われわれの前にある。(文月 達)
カーヴァー
[No.4] posted by するめいか
レイ・カーヴァーの未発表小説をまとめた作品。言葉少ないながらも、たんたんとした語り口と的確な描写でずっしりと心に響いてくる作品。
個人的には最初も薪割りが一番ぐっときた。妻に別居された男が薪を割るだけの話なのになんでこんな面白いのでしょう。
思いもよらなかった小さな宝物
100.0% (4 / 4)
[No.3] posted by erin
本中のレビューなどを見てみると最高の誉め言葉は見当たりませんが、個人的には、心をゆさぶる、涙をさそうあまりにも”リアル”なストーリーに出会うことになりました。また、懐かしい彼の声にどうしようもないめまいを覚えるかもしれません。たとえて言えば、プラチナアルバムの合間に出会った、彼のエッセンスでいっぱいのEP版。個人的には小さな宝物です。彼においては、星はつけがたい・・・荒削りな作品かもしれませんが心に染みる点、彼の死後新たにプレゼントをくれたという点において5をつけます。
やっぱり彼の声だった
50.0% (3 / 6)
[No.2] posted by yass
村上春樹氏の手によるカーヴァーは、一つの川の流れの一部のような気がします。 切なく、そしてどうしようもなく悲しげな声になります。 彼の声を聞きたくて、ページをめくります。そしてどうしようもなく考えます。 「人生は切ないものだ」と。 そんな雰囲気のする作品です。
なんだかなつかしい。
42.9% (3 / 7)
[No.1]
久々にレイモンド・カーヴァーの作品に触れて、大好きだったのにどうしようもない理由で別れてしまった彼女に、5年ぶりくらいに会ったような気持ちになりました。 以前の作品と全く同じような感情を持つことはできないかもしれないけれど、カーヴァーの作品でしか抱くことのできない親密な感じがします。
カーヴァーというのは僕にとって本当に特別な作家なんですよね。 またいつかどこかでひょっこり出会えればいいな、と思います。