- [著]William Golding
- [寄稿]E. L. Epstein
- カテゴリ:
- マスマーケット (208頁)
- ISBN:
- 0399501487
- 発売元:
- Perigee (1959/06)
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¥ 1,151 (税込)- 価格:
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無と闇の中に。
すごい小説です。
戦時中、疎開先へ向かう飛行機が突然墜落しました。
そして、法律もルールもない無人島に投げ出された子ども達が自らがルールとなり、サバイバルしてゆくという展開で進められてゆくストーリーです。
その中に人間の'闇の部分`や'無の部分`が描かれていてラストは息が詰まるぐらいのスリルが連続していて時が経つのを完全に忘れてしまう一冊でした。
僕たちが日常でもよく感じる、あの妙な孤独感や閉塞感、そして他人に対する畏敬の念。それらがうまく描かれたまさに人生のバイブルとも呼べる一冊でした。
素直に共感できない
正直他のレビューの高評価に期待して読んだのですが、自分はラストシーン以外は全く共感できませんでした。確かに野性生活の中で子供達の獣性が徐々に表れていくという筋はかなり魅力的で類を見ない物だとは思います。先述したラストシーンでの海軍の将校の台詞「イギリス人ならばもっとそれらしい生活ができたんじゃないのか」という部分にはハッとさせられました。終盤の追っかけ合いも読んでいて興奮させられるものでしたし。でもやっぱり、獣性の発露していく過程がものすごく唐突。豚を捕るか獲らないかでもめた末起こしてしまった殺人が引き金になってしまうというのですが、なんだか本当にその殺人がとってつけたみたいに入ってくるので面白くありません。妙に頑固だなという登場人物達の言動にもやや引っかかる部分があります。もともと『十五少年漂流記』などの冒険物が下敷きになっていることもあって都合のいい部分も散見され、ちょっとなぁ、という気がしました。
本来人間とは平和より闘争を好むのか?
1954年に発表された、ノーベル賞作家ゴールディングの代表作。
南太平洋の無人島に不時着した少年達は、初めは団結して秩序ある生活を送っていたが、
徐々にリーダー格の二人の少年の対立が表面化する。
リーダーに選ばれたラーフは秩序を守ろうとするが、狩猟隊のジャック達は次第に暴力的なグループを形成し、
最後は流血の闘争へとエスカレートしていく。
少年達が徐々に凶暴化していく過程が実に巧みに、かつ説得力を持って描かれており、
最後まで秩序を保とうとしたラーフが最後にはついに孤立化してしまい狩猟隊から逃げ回るところは悪夢を見ている様である。
この、恐怖と暴力が支配する小さな世界は、大人たちの世界の縮図と捉える事もでき、
本来人間とは平和より闘争を好む生き物なのかと考えさせられる。
本書が発表された当時の、第二次大戦後の冷戦という不安定な秩序と、
そして再び大戦が勃発するかもしれないという不安感を反映していると私は感じたのだが、どうだろうか。
これは決して特別ではない・・・
南海の孤島に不時着した飛行機から降り立った少年達を待ち受けていたものは、学校や親達から自由になった生活。彼らなりに楽園での生活を何とか楽しくやっていったはず、もちろん救助されることも考えつつ・・・。しかし、一部の人間に目覚めた獣性ともいうべきものが次第に広がり秩序は崩壊してしまい、最後は一人の少年を追い詰めて、まるで人間狩りの様相を帯びてしまいます・・・。
冒険心や探究心に満ちた海洋物や少年の漂流記物は広く読まれてきたと思いますが、これはそれらと一線を画すものです。人間に潜む野獣性をこのように少年たちのサヴァイヴァル物語に絡ませたという意味で、とても衝撃的でした。
私はこれを読みながら途中まではハラハラドキドキ、そして、ある箇所からはえ?信じられない!嘘だろう!?と一度ならず、時には本を放り出してしまう程愕然としてしまいました。読み進むのが辛くなった、と言っても過言ではないくらい・・・。
でも、これは決して特別なケースではないように思います。
歴史上の色々な事件や出来事から始まり市井の悲惨な事件に至るまで、それらの多くがこの物語と共通しているのは、ある特別な恐怖下に置かれたり非日常の状態や極限状態に置かれた場合に頭をもたげる人間の心に潜む破壊性というか獣性だと思います。それがいかに簡単に周りを侵食するかの如く広がるか、平安な暮らしが何かのきっかけで誰の心にも潜んでいる可能性のある物に取って代わられるかもしれない、いかに危ういものなのかと、改めて愕然たる思いがしました。
最後のほうで主人公の少年の秩序と破壊のどちらを選ぶのかを問いかけた言葉が印象的でしたし、どこの場面とはいいませんが(ネタばれになるため)その少年が号泣した場面では、改めて胸を激しく衝かれる思いがしました。
検討
末尾の解説によると「蠅の王」とは、聖書に出てくる悪魔ベルゼブルの
ことなのだそうです。題名が示すようにこの本は、「善と悪」、「正と
邪」がテーマになっています。私は最後まで読んでみて、それよりも
「理性と本能」の方がぴったり合っている気がしました。
物語は、少年たちが乗った飛行機が南国の孤島に不時着し、少年たちだ
けで生きていく過程を描いています。酷熱のもと、動物的な生活を送っ
ていく中で本能が目覚め、少年たちの間に亀裂が生じ、理性と本能の戦
いとなって対立していく様が描かれている気がしました。自衛本能は
「悪」や「邪」では割り切れないので、「理性と本能」がテーマとして
合っている気がしたのです。
子供は本能により近い分、自衛本能も色濃くなり陰惨な行動に駆り立て
られていくのでしょう。南国の灼熱の太陽が意識を朦朧とさせ、孤島と
いう無秩序な世界が更に本能を生起させるのに拍車をかけています。そ
の風景描写も素晴らしく、読んでいる文字がかすんで見えるくらい物狂
おしい暑さが伝わってきました。
人間も動物であり本能があるのを改めて感じました。そして孤島であっ
てもビル街であっても何ら変わりはなく人間の奥底には恐ろしい本能が
存在しているのを感じ取ることができました。‾‾
他の推薦されたタイトル: The Fates by Tino Georgiou.
極度のよい.
十五少年漂流記のパロディー
ううう
子供のころに読んだ「十五少年漂流記」の悪質なパロディーです
少年は純真で優しいという常識を覆しました
無人島に着いた少年たちが互いに殺しあうという内容は
ショッキングでした
この作品が描く世界があまりにも生々しいのです
ゆえに危険だと思いました
人間は決して理性的な動物ではない。
人間が心の闇やエゴ、理性と本能ということを考えさせられると同時に、暗澹たる気分になってしまう小説。救いようのないストーリー自体もそうだが、丹念に描かれる子供達の姿・心の動きが、より一層その気分を増幅させてしまう。この作品は「寓話」という位置付けがされているようだが、人間の素の姿が子供だと考えると、これほどリアルで直接的な寓話もないように思う。気持ちが塞いでいるときに読んではいけない本当に怖い小説だ。
人間の闇の部分
この小説は人間の闇の部分を映し出している作品だ。
物語の最初のほうは選挙によって選出したリーダーを中心としてまとまり、薪を燃やし、煙によって発見され救助されるのを待っていた。
しかし、次第に今まで人または生き物を傷つけたことの無い無垢な少年達の心に生き物を狩る喜びが芽生え、人間の奥底に眠っている残虐な本能が露になっていく。しだいに本能が理性に勝るようになっていき、最後まで理性を捨てなかったリーダーが孤立していく。
この本の時代背景として戦争があり、戦争によって人間は生き物を殺すことへの快感に気づき、本能に目覚めるというものとこの話の子供達は同じ状態を味わっているのだろう。
人間の理性の及ばない極限の状況になると人間はどういう行動に出るかということを教えられた一冊だった。これを読むと、戦争というものはどれほど悲惨なものか分かる。
人間の終わり?
今や僕たちは何も信じていない。連日のようにマスメディアによって報道される政治家の汚職、ずさんな企業体質、いじめ、問題教師、治安の悪化、警察の失態、医療事故。しまいには、そのマスメディアの信用さえ失墜してしまった。人々は厳重な防犯装置のついた家に閉じこもり、外出時には神経をとがらせる。買い物をするときや、映画を観るときでさえ、ネットや雑誌の評判を気にしてしまう。そのくせ、科学技術がもたらす物質的な豊かさには盲目的な信頼を置いている。これが現代の日本社会の現状だろう。
僕はもう何年も前に読んだ『蠅の王』をよく思い出す。科学は、理性は、本当に「夜」を駆逐できたのか?僕たちが内にかかえる「獣」を外部に投射して、征服した気になってるだけじゃないのか?人間が動物じみてきていないか?いつか取り返しのつかないことになるのではないか?
予兆は既にあった。地下鉄サリン事件、9・11テロ、「儀式」としか言いようのない凄惨な猟奇殺人。皮肉なことに、個人が内に閉じこもれば閉じこもるほど、組織的な暴力はかえってその牙を鋭くしているように見える。もっと無意味で、もっと大規模な暴力の饗宴が、近いうちに起こるのではないか?
「蠅の王」と対話するときが来たのだ。「城砦」に閉じこもっている場合ではない。SOSの煙を、理性の炎を絶やしてはならない。外界への健全な憧れを、信頼を取り戻すのだ。そのとき、「恐怖」は「畏怖」になり、文明の火は再び燃え上がる。
人間の内面
十五少年漂流記の二番煎じかと思いきや、人間の内面をえぐる内容にびっくりした。
少年たちを通して、極限状況における人間の行動、内面がリアルに描写されている。
