- [著]Stephen King
- カテゴリ:
- マスマーケット (512頁)
- ISBN:
- 0451197127
- 発売元:
- Signet (1998/11)
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キングはやっぱり巧い。
今更ですが、かの傑作「ショーシャンクの空に」の原作はやっぱ読んどかなきゃなーと思い手に取りました。
キングのストーリーテラーの巧みさは周知の事実ですが、それは単に"読ませる作家"というだけではなく、物語に応じて、その物語が求める最適な声で話す事ができるという事なんだと改めてその才能に頷かされました。
独自の文体を持つ事ばかりに気をとられてる最近の作家と違って、キングはあらゆる物語の引き出しを持っていてそれに応じた言葉を幾通りにも使い分ける。だからこそこの本でも「刑務所のリタヘイワース」で泣いた後に「ゴールデンボーイ」でゾクリとさせられる。巧いなぁーと思います。軽い気持ちで手にとったのに、ちゃんと物語に巻き込んでもらえました。
とはいえ、私のお気に入りはやっぱり映画びいきもあってリタヘイワース。映画は映像で魅せ、本は言葉で魅せる。
「―忘れちゃいけないよ、レッド。希望はいいものだ、多分何よりもいいものだ、そして、いいものはけっして死なない。」
本書を読んでこの台詞に泣けない人はいないはずです。
短いけど長編を読んだ感じ(刑務所のリタ・ヘイワース)
映画のショーシャンクの空にを観た後で原作が
読みたくなり探したんですが、本の題名が
ゴールデンボーイなので見つけ難かったです。
で、実際手に取って見ると読みたかった刑務所
のリタ・ヘイワースは1/3位の厚さ、これは
ゴールデンボーイのオマケなのかと少しがっかり
しながら読み始めたんですが、いやぁ大満足!
面白かったです。
作品としては短いんですが、刑務所という外部
からの雑音が少ない環境の物語なせいか、語り
口調の絶妙な書き方のせいか読み終わった後に
長編を読み終わったような錯覚を覚えました。
ちなみにゴールデンボーイはまだ読んでなかっ
たりします、手に取るとつい刑務所のリタ・
ヘイワースを読んでしまって、読み終えると
お腹いっぱいでご馳走様という状態ですので。
キングの(私の考える)最高傑作のひとつ
キング作品には、多くの超常現象が出てきます。
幽霊だったり、吸血鬼だったり、生きている車だったり、超能力者だったり...その他いろいろありますが、キング作品には超常現象は必要なのですが、それだけでは決して出せないリアリティを生み出す事に成功しています。
それは、登場人物の(些細な脇役にいたるまで)感情や心の動き、またその動機がリアルだからだと思います。
そして、キング作品の大きなテーマである「恐怖」は超常現象だから「恐怖」を感じるのではなく、超常現象に出会ってしまった「生きている人間の暗い心」がカタストロフィを、「恐怖」を、生むのだと思います。
1番恐ろしいのは、きっと、あなたや私の様な生きている人間(の悪意)です。
そして、キング作品の中でも私が最も恐ろしいのがトッドです。
名作「刑務所のリタ・ヘイワース」も良い話ですが、キングの真骨頂はやはり表題作の「ゴールデン・ボーイ」にあると私は思います。
Wonderful Novellas!!
4作の収録作品中3つが映画化されたというすぐれた小説集です。それを証明するかのように、多くの名作を世に出し続けているKingもこれだけの作品集をその後書けていないようです。
最初の作品「Rita Hayworth and Shawshank Redemption」は無実の罪で捕まった銀行員が様々な苦難の後に途轍もないことをやってのけると言う筋の作品です。本当に読後感の良い小説です。
それに続く「Apt Pupil」は優秀な少年が段々と壊れていく過程を描いたじめじめした小説です。とは言ってもKingの筆致に思わずのめりこんでしまいます。
3つ目の「The Body」は一人の作家が少年時代を回想すると言う方法で描かれた作品で、描写が生々しいと言う特徴があります。
実を言うと一番のお気に入りは最後の作品「The Breathing Method」であります。「Dolores Claiborne」に代表されるKingの母性愛に基づいた小説群の一つで、一方で古典的なホラーと呼べるものでしょう。この作品は短いこともあって映画になっていないようですが、是非とも映像化してほしいですね。
と言うことで4作品とも落としたくない。Kingの最高の贈り物と言うことなのではないでしょうか。
自由とは
作品の内容はほかの方のレビューを読めば解ると思うので刑務所のリタヘイワース(ショーンシャークの空)からある場面を取り上げたい.
ある物静かな囚人は長年図書館の司書を務めていたが、やがて刑期を終えて釈放された
自由の身に仮の宿として斡旋されたのは、古いアパートの薄暗い一室
それでも、独房に比べればずっと明るく手広い
だが、彼はそこで首を吊って死んだ
傍らの紙に「我此処に在り」とだけ残して
自由は彼に何を与えたのだろうか
やはり何も与えなかったのか
それとも、逆に何かを奪っていったというのか
・・・色々考えさせられる小説だった.
互いに対極をなす2作品の集録
「ショーシャンクの空に」こと「刑務所のリタ・ヘイワース」、意外にもこちらのほうが文章としては短い。無実の罪で服役した銀行家の生き様を、親しかった囚人仲間が語るという設定で、主人公の不屈の精神と機知に富んだ生き方が表現され、最後に大きな希望を持たせてくれる晴れ晴れとした一作。対なす「ゴールデンボーイ」は、まさに前作とは陰と陽の対をなすような作品。よきパパ、よきママ、よき育児とよき環境に恵まれた作者いわく「全身これアメリカンな少年」が、誰にでもある思春期特有の葛藤の中で、アメリカに潜伏中の元ナチスの将校を見つけてしまう。最初は虐殺に関する少年ならではの軽い興味で接触を持つが、次第に頭の中でナチスが増殖していき、やがてそれが根源的な性衝動と結びついたとき・・。動悸やきっかけはささいなことでも健全な家庭に育った利発な少年がどういうふうに精神的に堕落していくかが生々しく書かれる。読んでいて空恐ろしくなる作品。2作品とも大変おもしろく読めた。ただゴールデンボーイのほうはちょっと読後感が悪かった。
すごい組み合わせ
刑務所のリタ・ヘイワース、映画にもなりましたが、希望に満ち溢れたキングとは思えない明るさ。
で、ゴールデンボーイ。いやいや、もうなんとも言えない暗さ。
すばらしすぎる組み合わせです。
ぜひ読んでください。
5★前編は後に読む/毒りんごの前にワクチンを飲みほすな
ナチスの影に興味を持ち、この本を手に取った。もちろん後編トッド少年の話
から先に読んだ。そう僕も平穏な日々に飽き足りた、下世話な好奇心の虜だっ
たんだ。主人公は虎の尾をつかんだ事に慢心したのか。陪審員気取りで悪趣味
なのぞき見を正当化する、鼻持ちならない早熟児。読み進むにつれ彼の変貌ぶり
に驚き、しだいに恐怖の対象は変わって…。ドス黒い感情を味わった。腐った
トマトジュースを飲みほしちまった気分。しばらく読む気を失せた。
しかし前編の囚人デュフレーンに出会うと、見事なまでにその暗い感情は
中和された。彼が希望という名のワクチンをくれた。そう冗談なしに僕は、
架空の囚人に自由を教わった。毎日チクタク・カチカチ数字に追われる僕の
閉塞感。年功という安易な尺度。堅苦しい序列。このコエダメみたいな閉塞感
に彼が、風穴を開けてくれた。そうあの「見えないコートの様に自由を羽織る
囚人デュフレーン」に。根気よく知恵を働かせメゲずにトライし続ける意志が
あれば、このコエダメから抜け出せる事だってできるんだ!たとえ体を縛られ
ても、誰にだって僕の心までは縛れないんだ!ホント逆さまの順番で読んで
良かったな。内容としては同じだが、この読後感の差は大きい。
PS●ナチスと天才児なら→『悪童日記』早川●冤罪と刑務所なら→『ザ・ハリケーン』角川●こりない中毒者は→『ナチス狩り』新潮
キングファン以外も必読ですね
とりあえず誰にでもオススメしたい本なんですが収録されている2編があまりにも対照的で難しいですね。
「刑務所のリタ・ヘイワース」は万人にオススメです!「ゴールデンボーイ」は精神的なものから来る、なんともいえないジワ~っとした恐怖がありキングファンは楽しめると思いますがやはり苦手な方もいるかと・・・
「刑務所のリタ・ヘイワース」は自分にとっては思いで深い作品です。ちょうどこれを読み終えて3日後くらいに兄貴が借りてきたDVDを見てると「あれ・・・なんかこの話知ってる・・・」と思ったらそのDVDは「ショーシャンクの空に」でした。あまりにも偶然だったので今でも心に残ってます。
映画のほうも素晴らしいのですが俳優の歳をとっていく様(メイク)に違和感があったのと小説のラストのなんとも言えない余韻があるので小説をオススメしたいですね!
刑務所内の一人一人の人間の個性が現れており、生き生きした、変な言い方ですが「刑務所内の自由」を感じました。
最も愛するキング作品
「刑務所のリタ・ヘイワース」を読んだのは映画化されるずっと前だった。
とにかく嘘のように涙が出た。
泣かせ技を使ってるわけじゃない。
しかし、「自由」というものに対する人間の渇望を、恐れを
こんな風に描いた作品には涙するより他はない。
キングには好きな作品はたくさん
あるのだが、この作品以上に愛おしさを感じるものには
まだ会ったことがない。
心の何処かにある自分なりの名作ライブラリに残る作品だ。
