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チャールズ・フレイジャーの処女作『Cold Mountain』(邦題『コールドマウンテン』)は、遥かなる道程の物語である。南北戦争が終わりに近づくころ、南軍の負傷兵インマンは病院のベッドから脱走し、遠い故郷、ノースカロライナの山を目指して長い旅を始める。旅の途中、ならず者や無法者、慈悲深い人、自警団の男たち、救いの手を差し伸べる人、逆に行く手を阻む人などさまざまな人々に出会うが、何があろうとインマンの志は変わらない。唯一の目的は、残してきた女性、エイダのいるコールド山に帰ること。
そんな彼が愛を寄せるエイダ自身もまた、問題を抱えている。彼女はチャールストンの上流社会で育てられるが、牧師である父親の療養のため、父親と共にコールド山の奥深くにやってきた。父親が亡くなった後もエイダはその地にとどまる。インマンを待つためでもあるが、都会ではなくノースカロライナのブルーリッジにこそ自分の居場所がある、という天命を感じたためでもある。
『Cold Mountain』では2つの旅が同時進行で描かれている。アメリカの雄大な自然を歩いて横断するインマンの苦難に満ちた旅と、自分自身を見つめるエイダの心の旅。この小説を傑作たらしめているのは、2人の旅の背景を深部に迫って細かく描き込んでいる点である。全体のストーリーは家族の物語の上に成り立っているが、インマンとエイダの人格描写を通して描かれる叙事詩を思わせるようなそれぞれの物語には、著者の心からの敬意が感じられる。決して派手ではない。しかし、驚嘆すべき作品である。
二本柱のロードムービー
[No.11] posted by オレンジ犬
聞き覚えのない外国の作家の作品を読むとき、それがクレストブックスの背表紙だと、たいてい安心して買いもとめることができる。
思いもよらない作風だった、ということはあっても、外れたことはこれまでに一度もない。
憧れのジュンパ・ラヒリにも、寡作の名人アリステア・マクラウドにも、そうやって出会った。
そして「コールドマウンテン」も、もちろん「当たり」であった。
南北戦争で傷を負ったインマンは、病院を脱走し、はるかノースカロライナの故郷をめざして命がけの旅を始める。彼を支えているのはただひとつの思い、コールドマウンテンに残してきた恋人エイダに会うという希望だ。
同じころコールドマウンテンでは、都会から移り住んできた牧師の娘エイダが、突然父を亡くし途方に暮れている。彼女はルビーという少女の力を借りて慣れない農作業を覚え、生きる力を身につけてゆく。
ロードムービー調の長い作品なので、途中でちらりとラストを盗み見てしまった。
なーんだ、そうなるのか。と半分安心して読みすすめていたら、突然のどんでん返し。盗み見た文章の意味が、180度ひっくり返ってしまう。思ってもみない結末に、しばらく物語の世界から抜け出すことができず、呆然とする。
なんじゃ これは
66.7% (2 / 3)
[No.10] posted by lookfar
洋販の本で紹介されていたので注文しました。映画化もされたらしい。アマゾンから来た梱包を開けて絶句しました。なんじゃ。これは。ペラペラのペーパーバックです。分厚い本を予想していたのでがっかりしました。主人公は作者の叔父がモデルです。実際にあった話がベースになっています。事実は小説よりも奇なりといいますが恐るべき内容です。最後にハッピーエンドにならなかったところが残念でした。加筆して大河小説にするべき内容と思います。
文章の美しさ
100.0% (3 / 3)
[No.9] posted by じゅんいっち
映画になりましたコールドマウンテンの原作本。
これがまた、描写が細かく美しい。
自然の描写だけにとどまらず、
主人公たちのちょっとしたしぐさや
美しいもの、醜いもの、死体や動物にいたるまで
ありとあらゆる物が繊細な描写で美しく時にグロテスクに語られていて、
物語の内容以上にその文章に引き込まれること必至。
お気に入りの作品になりました。
85ページですが、読み応えがあります。
100.0% (3 / 3)
[No.8] posted by t-grandma
南北戦争で負傷した南軍の兵士Inmanは、病院を抜け出し、恋人Adaの元へとただWestを目指して歩き続けるのです。そこには、Cold Maountainがあります。一方、父を亡くしたAdaは、途方に暮れるものの、それまでのお嬢様生活を一変させ、Rubyに助けられながら父の残した農場を切り盛りしていくのです。彼女もまた、Inmanの帰りをひたすら待っているのです。
InmanとAdaの状況が交互に物語られます。二人の周りに出てくる人々も多彩で興味深いです。戦争の悲惨さが胸に迫ってきます。
易しい英語で書かれている85ページの物語ですが、読み応えがありました。読み終わった後、深い感動を覚えました。
映画よりも小説の方がずっと魅力的
100.0% (1 / 1)
[No.7]
南北戦争の南軍側(ノースカロライナ)を舞台に、戦争で狂気に走る人々、戦争から逃れようとする人々、戦争を期に成長する人々。。。をとてもよく描いている。戦争から逃れて故郷へ戻るインマンと、戦争の混乱の中で生きのびつつ自分を見つめるエイダを細かく描写し続けて、それがパラレルに進む展開がすばらしい。切なさと逞しさが入り混じったこの展開は、映画よりも小説の方がずっと魅力的。
映画よりも小説の方がずっと魅力的
83.3% (5 / 6)
[No.6] posted by 鈴木純一
南北戦争の南軍側(ノースカロライナ)を舞台に、戦争で狂気に走る人々、戦争から逃れようとする人々、戦争を期に成長する人々。。。をとてもよく描いている。戦争から逃れて故郷へ戻るインマンと、戦争の混乱の中で生きのびつつ自分を見つめるエイダを細かく描写し続けて、それがパラレルに進む展開がすばらしい。切なさと逞しさが入り混じったこの展開は、映画よりも小説の方がずっと魅力的。
この本にまつわる小さなエピソード
35.7% (5 / 14)
[No.5] posted by kenzo23
Cold Mountainの内容とは直接関係のない話しで恐縮ですが、この作品を発掘したのは出版社に勤める新進のエディター, Elizabeth Schmitzです。
彼女はこの作品で一躍出版業界で注目されるようになりましたが、外交官で沖縄復帰の法律顧問として活躍した父と12才まで日本で過ごしたのです。
日本語も少し理解していたのですが、そのお嬢ちゃんがこんなに成長して活躍しているのはうれしいものです。
完璧キャスティングで『私版“Cold Mountain”』の映像化
0.0% (0 / 1)
[No.4] posted by cinemajin
小説が先か、映画が先か―とはよく言われることだが、「Cold Mountain」は、私にとって中間の存在であった。幼少の頃から外国文学、映画好きで、加えて過去、現在そして(たぶん未来を通して)最も好きな俳優はJUDE・LAWである。その彼が南北戦争で傷つき、ひたすらに故郷の恋人の元へと還る兵士(脱走兵)を演じる― そして、都会育ちで美貌と教養はあるが、父の死後、生活に窮乏するその恋人に、今、最ものっている二コール・キッドマン。キャスティングは完璧。小説を読む前に配役のイメージは頭の中に出来た。監督は「イングリッシュ・ペイシェント」でオスカー受賞のアンソニー・ミンゲラ。おまけにルーマニアでの撮影中にジュードとニコールの不倫ゴシップまで浮上。後は『私版“Cold Mountain”』の映像化に励むだけである。実際に読み始めると、それぞれのシーンが印象的に映像化されていく―インマン=ジュードの憂い、エイダ=二コールの溜息が聞こえてくる― もともと非常に映像化向きの作品であった。古き良き時代を彷彿とさせる、ひかえめな、二人が接近するクリスマス・パーティのシーン、戦争に行く前の初めてのキスシーン、紆余曲折の旅の果てに雪の中、二人が出会うシーン、エイダには変わり果てた姿のインマンがわからない―このシーンでインマン=ジュードが見せるであろう表情が目に浮かぶ。エイダがボロボロの男の中にインマンを見出し、二人が秘めやかに結び合うシーン― ラストに一抹のあっけなさを感じながらも、こうして、『私版“Cold Mountain”』の映像化は美しく完了した。この小説はインマンとエイダの話ながら、二人の対話シーンが少ない。が、原作をいじるのが好きなミンゲラ監督のこと、二人のシーンはもっと増えているに違いない。後は映画版「Cold Mountain」と、『私版“Cold Mountain”』を見比べるだけである。昨今、陳腐になりがちなラブシーンをミンゲラ監督がどのように演出したか、私版との対比も楽しみである。すでにアメリカでは2003年クリスマスデイに公開されているが、日本ではアカデミー賞がらみで3月以降、GWあたり公開ではないかとみている。本当に毎日が待ち遠しいかぎりである。
自然と人間と戦争と・・・
80.0% (4 / 5)
[No.3] posted by ミュージック
コールドマウンテンの風景が目に浮ぶような美しい描写に心奪われました。南北戦争を背景に、旅を通して様々な人と出会うインマンと野生児ルビーと出会うエイダ。それぞれが出会いを通して自分自身を見直し成長していく姿に感動しました。そして誰よりも、学問の知識は皆無にも関わらず、押し寄せる時代の大波の中でsurviveしていく術を身に付けているルビーの逞しさに惹かれました。
そして、それぞれ本当の自分を見つけたインマンとエイダが再会する時・・・。悲しく優しくそして力強いラストでした。
今年の年末にはジュード・ロウ、N・キッドマン、R・ゼルウィガーという豪華キャストを揃えた映画が公開される予定です。恐らくブルーグラスで構成されるだろうサントラも合わせて、要チェックです。
抒情詩的な作品
57.1% (4 / 7)
[No.2] posted by Sheep
南北戦争は物語の縦糸であって、横糸となるのは様々な人間模様です。戦前、農場育ちのインマンが都会育ちのエイダに惹かれた理由は、彼女の洗練された物腰と美しさに対する憧れにあり、エイダがインマンに惹かれた理由は、恋に対する憧れと興味にあったと言えるでしょう。言わば二人の身勝手な幻想から始まった恋が、静かに、しかし劇的に姿を変えていく様が緻密に描かれていて感嘆させられました。旅の途中で様々な人物に出会い、エイダに対する憧れと幻想をより強くするインマンと、農場での自給自足の生活に追われ、彼の安否を気遣うどころでは無いエイダ。この相反する過程を辿った二人の想いが、最後にピタリと重なり合う点は見事です。南北戦争の終焉を外側から描いた物語としても面白いと思いますし、恋愛物語としても面白いと思います。