On Writing: A Memoir of the Craft

  • [著]Stephen King

カテゴリ:
マスマーケット (320頁)
ISBN:
0743455967
発売元:
Pocket Books (Mm) (2002/07/01)
定価:
¥ 921 (税込)
価格:
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スティーヴン・キングの『On Writing』(邦題『小説作法』)は簡潔で切れのよい作品だ。愛と皮肉を込めた自伝と、向上心に燃える小説家へ贈る厳しくも愛情こもった教訓という、2冊の本を合わせたような構成である。

回想部分は実に驚くべき内容で、無作法だった子どもが作家へと成長していく過程を克明に描いている。著者を苦しめたツタウルシ、おなら攻撃をしかけてくるベビーシッター、厳しい教師たち、ジャック・ロンドンの体験を上回る汚さの洗濯工場の仕事。これらを読むと、読者は若き日のキングのそばにいるような気分になる。このウソのようなとんでもない話は、キング作品を読み解く際の大きなヒントだ。そこにいるのは、かわいい声で人気のあったサンドラ・ディーンではなく『Attack of the Giant Leeches(邦題『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』)』のイヴェット・ヴィッカーズを気に入るような子どもだった。「すべての都市を食べてしまう怪物や、海から現れてサーファーを飲み込んでしまう放射性物体、頭が悪そうに見える黒いブラをつけた女の子たちが好きだった」

しかし、こと読書に関しては、困難なことであるにもかかわらず、あらゆる文学作品を読みあさることへの欲望に渇いていた。キングは「I Was a Teen-Age Graverobber」を発表する。トレーラーハウスに住んで家族を養っていた若かりしころ、高校の女子更衣室の清掃員として働いた経験にヒントを得て物語を書きはじめたものの、原稿を丸めて捨ててしまうが、それを作家である妻がごみ箱から拾い出す。そして、主人公である少女の設定を見直してみてはどうかという妻の助言を得て、さらに若くして死んだ、いじめられていた2人のクラスメートのことを思い出から掘り起こして、『Carrie』(邦題『キャリー』)を産み落としたのである。

キングは彼の人生と作品に関する意外な事実をいろいろ明かしている。『Misery』(邦題『ミザリー』)の誘拐犯、『Tommyknockers』(邦題『トミーノッカーズ』)の心を奪い去る怪物、『The Shinning』(邦題『シャイニング』の酔った小説家にとり憑く霊は、キング自身のコカインとアルコール中毒(彼によると、妻の援助おかげで克服したそうだ)の象徴だった。「もう1つ、あまり覚えていない『Cujo』(邦題『クージョ』)という小説もある」。ほかにも、大学時代のこと、命の危機にさらされたワゴン車衝突事故からの生還についても触れているが、話の焦点は常に、それらのできごとが作家としての職業にどのように結びついているかに置かれている。

キングは、作家に必要な「道具一式」を読者に提供している。たとえば、読書リストや執筆課題、修正した作品、金銭上の基本的なアドバイス、プロットと登場人物、パラグラフの基本構造、文学上のモデルなど。また、H・P・ラヴクラフトの難解な表現技法、ヘミングウェイの引き締まった文体、事実に基いて仕事をするグリシャムの信憑性、リチャード・ドゥーリングの巧みなわいせつ表現、ジョナサン・ケラーマンの断片的な文から学べることがらを教えている。なぜ言語感覚の鈍い対話劇が『Hart's War』をだめにしているか、エルモア・レナードの『Be Cool』がなぜ癒しの作品となり得るかを、キングは解説している。キングは作家であるだけではなく、正真正銘の教師でもあるようだ。

2008
02/01
Fri

良かった

66.7% (2 / 3)
[No.24] posted by ゆう

批判的なレビューが多いですが、私はこの本と出会えたことを本当に幸せに感じています。

前半の生い立ちでは貧困のため具合の悪い子供に飲ませる薬さえ買えないような状況が出てきます。また、キングの母親はみじめな境遇の中でも子供たちに愛を注ぎ、一生懸命働いて育児をし、やがてこの世を去って行きます。母親はまさしく「ドロレス・クレイボーン」を思い起こさせます。

世界屈指のベストセラー作家であり大金持ちのキングがこれほどまでに苦難を乗り越えてきたことを知りショックを受けると共に、自分も頑張らねばと思わずにはいられませんでした。

私は小説を書いているのですが、この本はその書き方についてもとても参考になりました。これまで何冊も文章作法の本を読んできましたが、本書程役立ったものはありません。
それまでは短編しか書けなかったのですが、今では長編を書けるようになりました。すべてキングのお陰です。この本の文章作法の箇所は何度も読み返し、大事なところにはいくつも線を引きました。キングは私の中で「先生」になりました。

受け入れられない方も多いですが、文章を書く人には必読書だと思います。
宮部みゆきさんも読まれてキングに脱帽していました。
私は本当にこの本に出会えて良かったです。そして自分はもし作家になれたとしても決してキング程にはなれないと感じました。
お薦めです!

2008
01/03
Thu

対象がフィクションでなくても役立つものが大いにある

91.7% (11 / 12)
[No.23] posted by 鈴木純一

スティーブン・キングの子供時代から青年期までの自叙伝的部分と、文章の書き方や書くための心構えを説明した部分が主な内容。自叙伝の部分では、お世辞にも恵まれたとは言えない少年時代から、作家としての成功までの苦労が、とても正直に書かれている。ドラッグとアルコールの中毒になったことや、90年代末にほとんど死にかけた交通事故のことなども書かれており、具体的に自分の小説観と人生観を語っているのが印象的。文章を書く心構えの部分は、対象がフィクションでなくても役立つものが大いにあると感じた。心に残ったのは

* たくさん読まずして良いものが書けるわけがない
* 書く才能は磨き続けなければならない
* 具体性を欠くクリティーク(批評)は何の役にも立たない
* いったん書いたものを、同じクオリティを保ちながら10%の分量を削減できないなら、一生懸命さがたらない

などなど。終始キングの語り口はフランクで(放送禁止用語もときどきでてきたり)、ときにシニカルでありながらも、読者を励まそうという雰囲気が生き生きとしている。「もし自分が大好きで、もしかしたらそれに才能があるかもしれないと思っているものがあるなら、どうしてそれをとことんやらないんだ?」一貫してこんな感じで暖かみも感じた。

2007
08/01
Wed

プロの作家の感性や生き方がわかる。

70.0% (7 / 10)
[No.22] posted by 純丘 曜彰

 3章の文章の寄せ集めで、第1章の自叙伝はファン以外はどうでもよいでしょう。タイトル通りなのは、第2章と第3章です。
 しかし、ちょっとわかりにくいかもしれません。アメリカでは、本書でも言及されているシュトランクの『The Elements of Style』という本が、すべての作家の基本必読書となっており、その上で、キングが話を展開しているからです。受動態や副詞の問題なども、この元の本の方に詳しく書かれています。会話については、キングがあえてこれを排して、セリフの写実性を重視しているのも興味深い点です。これらの、英語文体の問題が、全体の半分を占めています。
 後半の、小説としての物語の構築は、キングのオリジナルです。が、リンダシガーに似て、潜在意識からいかに物語を読み出すか、が、論じられます。主人公と敵対者の双子関係などは、フロイト的にも重要な点でしょう。また、自分の作品を寝かして書き直すことの意義についても、経験的に述べられています。
 で、日本の作家志望者に役立つか、というと、微妙です。知っての通り、アメリカの小説の構造は、会話とアクションによる進行に、関係節による回想説明が挟まるのが基本であり、関係節を持たず、時間順序のその場の深い描写で展開しなければならない日本の小説とは根本的に文章構造や物語構造が異なるからです。
 とはいえ、プロの作家の文章に対する感性、物語として言葉につかむ方法、という点については、言語の問題を越えるところがあります。チンケな三流作家の表層的な文章読本などより、本質を捉えており、充分に読む意義があるでしょう。

2007
01/18
Thu

本としては面白いがキングと私の才能の差は埋め難い。

50.0% (9 / 18)
[No.21] posted by yuseijinn2

本としては面白いし、含蓄もかなりある本だとは思うが、いかんせん、行き着く先は「キングって天才じゃん」の一点。

ハッキリ言って、プロット無しに長編を書き切るなんて生半可な作家やその卵に出来ることではない。もし貴方が出来る、というなら構成もプロットも無しに原稿用紙30枚程度の短編でも書いてみると良い。そんな短くても面白くするなんて絶対に無理だから。もし、本当に面白いものが書けたなら......貴方はキングと同程度の才能があると言えるだろう。長編を書くといい。

もちろん、キングも「キャリー」が出るまで、幼少期から沢山のモノにならない原稿を書いている。モノを書く才能は磨かなければならない、という考えにも同意する。
だが私はプロット無しで書くと言う話を聞いただけでキングとの才能の差、というものを痛感した。

また、彼はアメリカの作家なので当然ながら日本の環境にそのまま当てはめる事は出来ない。日本とアメリカのもっとも大きな違いはエージェントの有無であろう。最近やっとそういう人が日本にも登場したというニュースを聞いた憶えがあるが、まだまだ定着とは縁遠いもの。「裏の職業マニュアル」とかいう本に「著作権代理人」として載っている始末である。

私としてはディーン・クーンツの本の方が、教則本としては優れている、と思う。彼は努力型の人で、プロットを重んじる作風なので、才能がキング以下の多くの作家の卵にとってはクーンツの本の方が読み易いとは思う。キングの本は、どうかすると読んだ作家志望の人間の決意を打ち砕くかも知れない。

読み物としては文句無く☆5。教則本としては可もなく不可もない☆3。

2006
07/23
Sun

On Writing ; by Stephen King

85.7% (6 / 7)
[No.20] posted by 読者

スティーブン・キングがエイミ・タンに捧げた本。
(そういえば、齋藤孝氏がどこかでこの本を薦めていた気がします)

書かれてあるのは、

 1.著者の自叙伝(『生い立ち』)
 2.文章の書き方(『道具箱』)
 3.書くための心構えと環境設定(『小説作法』)の三つ。

名のある作家の文章読本を読むとき、
私は他人事ながら落ち着かない気持ちになります。
文章を「読ませる」ために書かれた本が、
それ自体面白くなかったらどうしよう、と思うので。
だから、読み終わったときにはほっとしました。
具体的直接的に役立つことも(「副詞はタンポポである」)、
大げさでなく静かな励ましを与えてくれることも
(「人の意見はみな同じ重みを持つものだろうか?
そんなことはない」)、この本にはちゃんと書いてあります。
よかった。

2006
06/04
Sun

キング氏の自伝と、小説を書くことへの信念。

50.0% (6 / 12)
[No.19] posted by あやたすく

キング氏自身の自伝と、その小説を書くための信念が書かれた本です。

執筆途中でキング氏は交通事故に遭っており、リアルタイムの記述が生々しい。
その前後で文体や内容の質が変わっているのも興味深い。

読後は、交通事故の記述の強力な印象に引きずられて、
本題の「小説作法」そのものを忘れてしまいそうであり、
きっと本題のために、読者は最初から再読することになるでしょう。

印象に残った言葉をひとつ。
『どこで何をしていようと、作家志望者にテレビはいらない。』(170p)

細かい技法より、心構えが印象的な一冊です。

2006
04/24
Mon

S・キングの実践テレパシー術

83.3% (5 / 6)
[No.18] posted by 食郎

 読者とのテレパシーの秘訣を披露し「語彙、文法、文体、パラグラフ」を手がかりに話を進める。キングの体にはたくさんの傷がある。彼に浴びせられた罵声と非難によってできた傷で、たくさんの批評家達と読者達との交流によってその傷ができたという。不安と恐怖にたじろぐ新人達を初歩から指導する老大工。人物造形の骨法、描写、叙述、情景描写、会話、主題、推敲、背景情報などを説き明かしていく。
 自伝を通して「書くことの意味」を語るキングの「小説作法」をどうぞ。

2005
12/31
Sat

普通は小説を読んでみてから読むね

70.0% (7 / 10)
[No.17] posted by JIMY-M

 NHKの海外ドキュメンタリーでこの本の内容に近いことをやっていて興味深く観たあとで購入した。僕はキングの小説は一冊も読んでいない。しかし「キャリー」「シャイニング」「デッドゾーン」「ファイヤースターター」「グリーンマイル」「IT」など映画やテレビドラマとしてなら知っている。そのキングの自叙伝としてこの本を読んだ。
 キングはドラッグとアルコールでボロボロになったり交通事故で死にそうになったりはするけれど、作家としての成功までは典型的な貧乏脱出大作戦でありアメリカンドリームだ。僕は常々大衆的なものと芸術的なものを分けて論じることがイヤで、一部の教養ある人々に理解されるだけの芸術性が高いとされる作品よりも、多くの人たちに愛される作品の方がすばらしいと思っている。大金持ちになった今も読者にこびることなく「自分の読みたい物」を書くという姿勢はさすがだと思うし、なんにしろ自分の信じるままに生きていくことはカッコいいと思った。

2005
09/10
Sat

ルーニー

28.6% (2 / 7)
[No.16] posted by サルヲ

買ってよかった。彼自身が語る処女作「キャリー」が売れたときの場面を読んで涙が出そうになった。それだけで買ってよかった。後半はいまひとつだったが、小説以外で彼が彼自身の話を読むのが初めてだっただけにただただ感動。オエミカント。

2005
05/02
Mon

Will the real Stephen King stand up?

40.0% (2 / 5)
[No.15] posted by the_bernie-at-tx-rr-com

This was money well spent. This book is more than the title implies. First it is a selected biography of Stephen King. I enjoyed the poison ivy episode. This is not a deviation but an explanation of why he writes the way he does and the background that he draws on. Secondly this is a "how to write like Stephen King" book it reflects his likes and dislikes. I agree with most of them. I suppose that that is why I like his novels.

However I can only guess that he must spend a lot of time around people that cuss. It is not like he is not aware of it. I feel that he is somewhat proud of the fact that he cusses a lot. Luckily he said it is not necessity to be excessive.

I share his dislike for flashbacks. And he also expresses several dislikes for other stilting crutches, including excessive description of Back-story.
An added bonus is his description of the van accident that a certain comedian commented about saying that Stephen lost his Tommyknockers. Stephen forgot to mention that he bought the van that hit him for destruction purposes. Talk about revenge.

Over all after reading this I was compelled to try my hand at writing.


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