- [著]Mary Renault
- カテゴリ:
- ハードカバー (362頁)
- ISBN:
- 1850891230
- 発売元:
- Isis Large Print Books (1987/05)
- 定価:
¥ 1,647 (税込)- 在庫状況:
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2006
01/29
Sun
人間ドラマとして語られる英雄の生涯
100.0% (1 / 1)
"The King Must Die" の続編。
英雄として帰国したテセウスは父アイゲウスの死によって王座を継ぎ、アッティカ地方を統一して、アテナイを一大都市に築き上げていきますが、相変わらず強い影響力を持つクレタとの関係に悩み、絶え間ない他諸国との紛争に苦しみます。
私生活では、ラピタイ人の王ピリトウスという親友を得て数々の冒険(これもまた他国への侵略なのですが)を共にし、アマゾン族の女王ヒッポリュタと真実の愛で結ばれる一方、異民族である彼女のジレンマ、政略結婚で迎えたクレタ王女パエドラや息子たちとの心のすれ違いがやがて破滅的な結末を迎えます。
悲劇の王オイディプスや少年時代のアキレウスなども登場し、前作と同じく巻を置くに能わざる展開ですが、前半のテセウスの絶頂期までの輝かしさと、後半で人生の辛酸に蝕まれていく経緯の無惨さの対比には胸が詰まります。
ところで、世に知られた伝説では、テセウスはスパルタ王女ヘレネ(後にトロイア戦争の原因となるヘレネ)誘拐という愚行で晩節を汚しているのですが、作品中、及び巻末で紹介されている「伝説」では一切触れられていません。
作者がすでに鬼籍に入られている現在、その理由は知る由もありませんが、この物語に魅了された一読者としては、この最大の愚行にこそ作者ならではの光を当ててほしかったと思うのです。
