- [著]アーシュラ・K. ル・グウィン
- [著]Ursula K. Le Guin
- [翻訳]清水 真砂子
- カテゴリ:
- 単行本(ソフトカバー) (302頁)
- ISBN:
- 4000280716
- 発売元:
- 岩波書店 (2006/04/07)
- 価格:
- ¥ 1,050 (税込)
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自分の人生にひきつけて
本書を読むことで得られるのは,ファンタジーを楽しむ,というのではなく,自分自身を振り返る,という少々苦い体験ではあるまいか.とくに「影との戦い」は,この点,多くの人の共感を得そうである.「少々苦い体験」であっても,不快なものではない.全巻の通読がかなわないとしたら,私はこの「影との戦い」の読了を迷わず薦める.
惜しむらくは,訳文にリズム感の欠けるところであろうか.ただ,これには感じ方に個人差があるかもしれない.
ゲドの誕生
ゲド戦記五部作の第一作です
大賢人ゲドのこどものころが書かれています
大賢人もこどものころは自尊心が強い普通の人間であったことがわかります
書きすぎない
やたらと説明しない
グインの筆の力に脱帽です
名前の重さ
指輪、ナルニアを経て、やっとゲドにたどり着いた。日本ではすべて原題とは別の名前をつけられた物語たちだ。「指輪の王」「ナルニア年代記」「アースシー」と名付けられるよりも、取っつき安かったと実感している。
すべてのものに名前があり、名前のもつ重さがまざまざと描かれる世界だ。ファンタジーが世界を動かせる力を持つ。こんな世界観が素晴らしいと思う。すべてがこれから始まるのだ。
ゲドの少年時代
山の山羊飼いの少年、ゲドが魔法使いに見出されて、
魔法の訓練のため、魔法学園に行く。
と、ここまではハリーポッターに真似をされているため新鮮味はない。
ハリーポッターの文脈でいえば、ゲド少年の魔法学園の成績はハーマイオニーで、
その性格はマルフォイである。
ところで、学校成績の良い者が若いうちに陥りやすい過ちは傲慢になることだ。
ゲド少年も傲慢になり、ついには封印されし魔法を用いて、魔界から恐ろしい影を呼び出してしまう。
その影のために魔法学園の長老が一人亡くなる程、影は手強い存在だ。
影から逃げまどうゲドとゲドを追いかける影の存在。
両者の決着がどんなかたちで付くかが本書の読みどころである。
映画よりはいいです
小説はゲドの子供時代から始まり、
魔法などを学ぶところから描き始めます。
ファンタジーとしてはすばらしい小説です。
是非読んでみることをおすすめします。
己との戦い
ゲドの物語の序章。誕生から、己が生み出した影との戦いを終わらせるところまでを描く。
全てのものには名前があり、あらゆるものが一つのものにつながっているという考えは、哲学的であった。また、少年の成長物語であり、冒険小説的でもあるが、人生の様々なことを示唆的に書いている点でも、奥の深い内容である。
1冊の本なのに
1冊の本なのに、この本の物語は壮大な話です。
本当に、たった1冊の本なのに、この中では大きな話がつねに動いているのです。
少年は少年のまま終わると思っていたのですが、この『ゲド戦記』はそうではないのです。
これを読んでいくと、魔術の事とか出て来るでしょう。
でも、その魔術のひとつひとつには、強い信念があり、それを魔術師が唱える度に、何かが動くのです。
それは、時には本当に小さい事だったり、ものすごく大きな事だったりと様々です。
ゲドが魔法学園で学ぶのは、偉大な事ばかりだと思います。
まるで世界の誕生を、そのまま魔法にしたみたいな感じです。
ひとりの者は、地球は平ぺったいと思っていますからね(笑)
だけど、昔の人も、こんな風に思ったんだろうな、と思いました。
私も今より年齢が若かったら、きっと思っていたかもしれません。
このアースシーの世界で、“宇宙”というものを知るのは、何年後になるのでしょうか?
それとも、アースシーには“宇宙”なんてものがなくて、このアースシー自体が“宇宙”なのかもしれません。
だって、こんな小さな1冊の本が、とても広い世界に見えるのですから。
この本の中ではつねに、大きな事が起こっているのかもしれません。
それは、この物語の主人公・ゲドなのか、その中の登場人物か、はたまた私達・読者達になのか……。
1冊の本で、ゲドもすごく年をとるというのに、私に違和感がないのはどうしてでしょう?
普通のファンタジーの本だったら、少年の主人公が大きくなっていくのに、少しためらってしまいます。
ですが、ゲドの場合は、大きな物語に遭遇しすぎているのか、この本を読んで、もう何年も経ったような気分になるのです。
実際は短い時間なのに、読み終わった後は、私もゲド達と一緒にいて、過ごして、
そんな長い年月をこの物語の中にいるみたいな気分でした。
もしかしたら、読み始めてすぐに、この本の魔法……いえ、もしかしたらゲドの魔法にかかっていたのかもしれませんね。
重みのあるファンタジー
一巻が一番面白かったです。
魔法を通して、人間の光と闇に対するかなりの深さ、激しさが感じられます。
善VS悪なんていう単純明快さは全くないベースだからこそ、主人公は悪を成敗する勇者でなくて、謎に迫る「大賢人」なんでしょう。
魔法が使えても、アースシーはまさに人間の生きる世界です。
ルンルン気分の時は読みにくいかもしれませんが、ここで伝えられる世界観は現実を生きる上での智恵にも成り得ると思います。
一つ☆を落とした理由は、死後の世界に対するイメージが暗すぎること。
私は違うイメージを持っていたので、読み進めながらその辺り、私自身が闇に呑まれそうな気分になってしまいました。
それはそれで読みがいがあったのかもしれませんが‥‥。
永久不滅のファンタジー!
宮崎五郎さんの第一回監督作品として、一躍有名になった「指輪物語」「ナルニア国物語」と並び称される『あの』名作、ゲド戦記。その第一巻「影との戦い」。主人公ゲドの少年期を壮大に描いています!
それまでの正義が悪を倒す、という典型的なファンタジーをはるかに越えた、登場人物の内面を繊細に、主人公ゲドの「心」を中心に描いています。映画を見た人もそうでない人も呼んでいないなら、今すぐチェック!
映画の前に原作を読まれる事をお勧めします
ゲド戦記の映画が公開されてから、この本を手に取りました。作者の Ursula K Le Guin は1929年生まれなので、もう77歳近くになっています。彼女はSF界で最高の栄誉となるヒューゴー賞を5回、ネビュラ賞を4回受賞しています。これはSF界ではすばらしい業績です。しかし、このゲド戦記の原作本は、ファンタジー小説です。SFとの共通点は仮想世界をリアルに描くという事かな、と思います。SFでは何の制限もなく自由な世界を作り出せますが、ファンタジーの世界にはある一定のルールがあり、どのファンタジー小説もその範囲内で記述しているように思えます。たまに「ハウルの動く城」のように、現代世界との接点があり、魔法を使うハウルがゲーム機でゲームする甥達に会いに行くシーンもあるような小説もあります。しかし、このゲド戦記は純粋なファンタジー小説で、しかも魔法を扱っています。魔法を扱うファンタジー小説のベストセラーはたくさんありますが、Magic のとらえ方が小説ごとに異なる点がこれらの本のベストセラーたるゆえんなんでしょう。例えば、Terry Goodkind は、additive magic、subtractive magic という世界を作り、ハリーポッターは、魔法学校で魔法を学ぶ世界を作っています。Ursula Le Guin の世界では、「もの」に付属する true name が分かりさえすれば、魔法でその「もの」をコントロールできるという概念が特徴的です。豪華な料理などを魔法で目の前に展開できますが、すべて虚構の世界の産物であり、食べる事ができませんし、豪華なドレスも目の錯覚といった感じです。しかし、動物などに変身はできるようであり、この点は T.H.White の"The Once and Future King"に出てくる偉大な魔法使いのマーリンの技と同じです。ゲド戦記の魔法使いゲドは、魔法の杖を象徴として用い、船を操る風を制御し、いろんなものにspellをかける小技も駆使します。大技、小技を使い分け、Dragonと戦う強さで読者を魅せながら、自分の影(shadow)との戦いに力を消耗する弱さも併せ持っている、実に人間的なキャラクターになっています。この原作を読んでゲドの人間性を理解して映画を見れば、更に映画は楽しいものとなるでしょう。どちらが先でも構わないという人もいますが、私は原作を先に読む事をお勧めします。
