- [著]J.R.R.トールキン
- [著]J.R.R. Tolkien
- [著]瀬田 貞二
- カテゴリ:
- 単行本 (525頁)
- ISBN:
- 4001157063
- 発売元:
- 岩波書店 (1993/04/08)
- 定価:
¥ 1,835 (税込)- 在庫状況:
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2004
03/16
Tue
血筋と家系に彩られた物語
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『指輪物語』を一通り読み終えたので、その物語の原点とも言える本書を手に取りました。本書は『指輪物語』の主人公フロド・バギンズの養父、ビルボ・バギンズの物語で、本書に登場する3人のトロルやミスリルの胴着、ゴラムと例の指輪といったエピソードは『指輪物語』にも引き継がれています。ゴラムからビルボが手に入れた指輪については後に長大な物語として展開されるのはご存知の通りですが、その他にもギムリの父親グローイン、魔法使いガンダルフとその剣グラムドリング、レゴラスの故郷・闇の森、ワシの王、モリヤに向かったドワーフ、フロドの指輪棄却の旅を助けたつらぬき丸、等々の細かな点の設定が引き継がれている点が興味深く感じられます。
それにしても筆者の視点は、何と歴史を大切にする姿勢に貫かれていることでしょうか。この歴史とは即ち連綿と続く血筋・家系とそれにまつわる伝承です。「山の下の王」の血筋のドワーフ、トーリン・オーケンシールドが彼の祖父と父親、一族の復讐のために旅立つこと。系譜に強烈な関心を抱くホビット族の習性、指輪物語でギムリがモリヤの坑道で一族の終焉を見ること、こういった家柄や血筋に関心を抱く視点は(よほどの家柄を除けば)日本人にはあまり馴染みがないかもしれません。イギリスの感覚なのでしょうか。
著述の順番は『ホビットの冒険』から『指輪物語』ですが、その逆を辿っても何ら問題はありません。むしろ、『指輪物語』との接点の多さのために本書をより一層楽しく読めると思います。
