金融権力―グローバル経済とリスク・ビジネス (岩波新書)

  • [著]本山 美彦

カテゴリ:
新書 (242頁)
ISBN:
4004311233
発売元:
岩波書店 (2008/04)
価格:
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評価: 3.5
2008
07/22
Tue

何を説明したいのか

52.9% (9 / 17)
[No.13] posted by tabopapa

金融関連事象を経済学理論などを使用して説明を試みているが、いずれも中途半端な形に終わっていく気がしてならない。又、金融商品などに関してはかなり誤解しているのか、デメリットのみ取り上げているのか、金融権力というタイトルからその様にしているのか、読む場合には気をつけて読む必要がある。
アメリカの金融支配モデルの問題は否定できず、その問題点を扱った書籍は多々あるので、本書での説明もその一つと考えて比較して読むことをお勧めします。

2008
07/19
Sat

最新経済事象を陰謀理論で解説した書

52.9% (9 / 17)
[No.12] posted by タマラン

「グローバル経済とリスク・ビジネス」という副題に惹かれてこの本を読み始めたが、「陰謀理論」の色彩があまりに色濃くて、正直驚いた。CDOを短期債としている点等、内容的にも?の点が多く、経済学者が書いた本とはとても思えない。また、ESOPを手放しで礼賛する一方、業績連動報酬制度を切り捨てる思考もよく理解できない。最近の岩波新書らしい出来の一冊。

2008
07/13
Sun

金融経済、資本主義の隘路

0.0% (0 / 5)
[No.11] posted by 盥アットマーク

 この本読むと、長らく続いてきた金融経済、もっと言っちゃうと資本主義ってもの自体が大きな曲がり角、あるいは隘路に陥っちゃってるってのを切実に感じるね。サブプライムローン問題なんて、最初は対岸の火事程度にしか認識していなくってお恥ずかしい限りなんだけど、いまやグローバルに“実体経済なんてどこにも無い”んだよね。著者言うところの「カネこそが商品」であって。格付け会社が幅を利かせる金融権力最先端の国アメリカとは一線を画していた日本ですら、ホリエモン(超懐かしい!)、村上ファンドなんて事象が世間を騒がせる位、金融権力が市民権を得てしまってる訳だけど、本家本元のアメリカが、サブプライムローン問題では、まったくなすすべが無かったってのはショックだよな。グローバル化も金融権力もある種イケイケドンドンで、てめえらのこと、直近のことしか考えていなくて、破滅に向かっていることを知りつつもあえて知らないふりをしているってのはやっぱりどうかと思うぜ!今は「環境」にしても「エネルギー」にしても「金融」「経済」の枠組みの中で語られているけど、近い将来、「金融」「経済」って枠組み自体が、“グローバルに”崩壊しちゃう危険性だってある訳だからさ。もう「環境」も「エネルギー」もお題目の段階じゃないんだぜ、きっと。
 この本のシメの言葉、「いま求められているのは、「自由」の美名の下で金融ゲームに走る金融権力をいかに制御するのか、という社会の知恵である」、これ、ほんと本気で考えないとね。いつの時代でも、気がついた時には「おまえはすでに死んでいる」ってことなのかもしれないけどさ。

2008
07/04
Fri

経済学者の金融論?

36.4% (4 / 11)
[No.10] posted by 白河夜舟

「直接金融の弱点は、長期資金の確保が困難になるところにある」と早々に書いてある(12頁)のを読んでまず「おや、おや」と思う。直接金融というのは長期資金を市場を経由して供給、調達する制度ではなかったのか?これを別としても著者のアナクロニズムはいたるところに顔を覗かせている。「アメリカからの執拗な構造改革の要請によって、日本の金融システムは根底から変えられた」に始まるその前段の3頁ほどは旧き良き時代の「護送船団」方式の、賛歌とは言わないまでも、ノスタルジアで埋まっている。市場や国際的な慣行を干渉としか受け取れなかった「過去官僚」や彼らと運命を共にした往年の銀行家たちの中には喜ぶ者もいるだろう。先物市場や変動相場制への懐疑論は110頁以降に開陳されている。
本書は「金融権力」という表題の下に「…金融革命を解剖し、2007年、サブプライム問題で露呈したリスク・ビジネスの行き詰まりを明らかにすることを課題としている」(プロローグ)。サブプライム問題のキイ・ワードの一つはSIV(Structured Investment Vehicle)である。ほかにもCDO、ABCP、RMBSなど定義を必要とする用語がふんだんに出てくるがSIVだけはその多様性をしっかりと理解しておきたい。SIVは12頁、57頁、167頁などに登場するがそのつど似て非なるもののような印象を受ける。(たとえばSIVとSPIV−本書ではSPV−を混同していないだろうか。)
アメリカの住宅市場の破綻に端を発したサブプライム・ローン問題は銀行の信用を揺るがせ、すぐさま激震となって世界中に広まった。かれらは(SIVをconduitとして)短期で借り入れた資金を長期の住宅融資にまわしていたからである。これは今に始まった問題ではない。(著者が懐かしむ伝統的な日本の銀行業はこのような資金供給システムであった。)このようなリスク志向はどのようにして高まったのか。著者が紹介するもろもろの逸話を楽しむのに吝かではないが、本来の課題の扱いは心許ない。

2008
06/27
Fri

米国支配のルールにはもはや無理がある

66.7% (6 / 9)
[No.9] posted by とよぴ〜

信用取引をはじめデリバティブやオプション等と金融の最先端をいく技術はすべて金持ちのためにあると言っても過言ではない

金持ちがさらに金持ちになるテクニック

金を使って金を稼ぐ利ざや狙いのすべての行為
リスクこそがリターンの源泉となり・・・

・・・そして現在は世界中の投機マネーによってサブプライム問題や商品価格の高騰を招いている

このグローバル経済社会は生産・流通や消費の健全なる「普通」の世界からは逸脱して金転がしによるマネーゲームに変貌してしまった

実はこの誤った世界を正常化するのは簡単で人類の生命に直結するような商品先物取引ではレバレッジを一時的にでも禁止する(理想は永久に禁止)ようなチョットした制限をすれば解決が可能な問題であると思う

世界中の欲望を少し制限する。それだけの話なのだ

そう考えると完全自由市場と言う理想は幻想であって無秩序である。誤った方向に市場が行き過ぎた場合に政府が規制をかけるのは正しいのである

そして近代的な先物市場が生まれては消えていった幕末の堂島米会所の歴史P.101〜104を日本の指導者は何度も読み返すべきだろう

「カネは社会的に必要なものを作り出すために使用されるべきである」(P.2)

日本が世界に向けて発信出来るのは核の廃棄の他にもあるはずなのだ・・・。

2008
06/18
Wed

皆が幸せになれる為に、金融制度を使おう

25.0% (2 / 8)
[No.8] posted by 藤崎健一

 乱暴に書けばグローバリゼーションと共に歩みその規模を拡大した金融市場の
負の側面である「投機資金」を断罪した一冊。

 著者が説くようにお金を持っている人から、それを必要とする人に融通する
本来の「金融」という姿から、マネーゲームと化し、一部の人(これも著者の
言を借りるなら金融複合体に属する人)だけが、その実を享受するという仕組み
は正しいのか?

 リスクを負っているのだから、成功した際にその見返りを得るのは当たり
前です。ただ、それが大多数の他人に害をなす仕組みだとしたら・・・と言う
点をホットな話題である「サブプライムローン問題」を使って説明しています
(サブプライム自体の話は中公新書の一冊「サブプライム問題の正しい考え方」
を読んだ方が勉強になります)。

 著者のスタンスが一定の方向に傾いているのが気になるのは事実ですが
ドルが弱くなった理由を述べている第5章や、マネーゲーム以外の道(皆が
利益を享受できるような、本来の金融制度の再生。本書ではプルードンの
相互主義やESOP(Employee Stock Ownership Plan)を取り上げている)を
探っている第6章は一読の価値有りと考えます。

2008
06/13
Fri

経済理論及び金融制度構築の政治学

42.9% (3 / 7)
[No.7] posted by dvrm

 本書はサブプライム・ローン問題の解説を契機として、1970年代から始まった金融市場の変質を、関わった主要人物の経歴を織り交ぜながら解説した1冊。経済学の主要な理論の数々は強い前提の下に構築されるにもかかわらず、それが流通するうちにそんな前提は忘れられがちで、理論を構築した人間の痕跡も忘れられていくということが著者の筆致で強く思い知らされる。高度に抽象的で、実際は多くの人々を抑圧していく理論、及びそれに基づいて構築される制度に対抗するためには、関与した人間の経歴を辿ることによって理論が意図するところを明らかにしていく方法が有効だということも、この本の、読者へ向けた一つの大きなメッセージになっていると思われる。今支配的な理論や制度も、唯一の、必然的なものではなく、一定の信念や判断や選択の末に築かれたということ、それらは誰が、誰のために構築したのか、といったことが判ってくる。著者自身のバイアスもある程度かかっているが、それを意識した上で読み、読者自身が判断すればいいのだと思う。自分は、経済学に対して抱いていた懐疑がある程度解消されました。読んで良かった1冊。

なお、ここでの議論は2008年9月以来の経済危機についての理解を大幅に助けてくれる一冊でもある。

2008
05/05
Mon

お金を銀行から下ろす前に。

81.8% (27 / 33)
[No.6] posted by もなか

原油先物価格の暴騰を報じるとき、メディアは「投機的資金の流入により云々」と眉をひそめはする。しかし生活基盤が投機により脅かされることに対して、誰も異議を唱える言葉を続けようとはしないことに歯がゆい思いをしていた。何故このような理不尽かつ暴力的な状況に対し、我々はNOを突きつけることすらできないのか、と。
著者は「原油先物投機を規制することは無知蒙昧の仕業なのだろうか。必要なことは庶民の普通の常識的な生活感覚を忘れないことである」と明言する。金融の自由化は金融市場に群がるグローバリゼーション教の教徒達にとっては重要なテーゼかもしれないが、ガソリンや食品の値上げを押し付けられるだけの「部外者」が有難がらなければならない理由は何一つない。本書は少なくとも直接金融へのシフトに際して「お金は銀行へ預けるな」などと「庶民を啓蒙する」だけの人種には眉に唾して望む必要があることに気付かせてくれる。
同様に「統計確率論的方法の経済学への適応領域は極めて限定的である」(ヒックス)。先端の金融工学理論が如何に精緻を極めようとも、それ自体、世界人類の福利はもとより、より限定された市場の安定的成長にすら寄与するものではない。著者が「ノーベル経済学賞」の権威の正当性について疑念を呈するのも深くうなずかされるところである。
本書は主にサブプライムローン問題を題材にしながら、一方で戦後から現代までの金融の変遷を位置づけることで、二つの重要な事実を指摘する。一つは「マネタリストの失敗」であり、もう一点は「ドルの失権」である。特に後者について、堂島米会所の崩壊過程と現在の原油先物やサブプライムの状況、そして進行するドル安が如何に酷似しているか、という指摘は重大であり深刻だ。
著者の近著はどれも必読であるが、岩波新書という手に取りやすい形で重要な問題提起がなされたことを喜びたい。

2008
05/03
Sat

幼稚な理論

29.3% (12 / 41)
[No.5] posted by 自由主義者

物事には、常にメリットとデメリット、二つの面がある。
しかし、この本は、デメリットばかり強調して、メリットを無視している。
これでは、とても公平な理論とは言えず只の誹謗中傷に終わっている。

2008
05/02
Fri

痛快!「お金儲けは悪いことです」

47.4% (9 / 19)
[No.4] posted by わかすぎ一路

サブプライムローン問題といわれる金融派生商品が生み出した事件の内側に切り込んだ好著である。

金融・経済を対象とした知的な取組みがゲーム化して腐っていく歴史がよくまとめられ、
「他人の不幸をかえりみないお金儲けは悪である」との主張には共感が持てる。

金融派生商品による金儲けの胡散臭さを多くの人が感じていたはずなのに、
「お金儲け」のチャンスとしてしか見られなかった反省が必要なのだろう。

金融工学・金融派生商品開発の姿には、
インターネットサイトや携帯電話の使い方・使われ方をろくに考えもしないうちに、
技術的に実現できるからということで売りまくり、ヤミ○○、ウラ○○といった
負の産物を生み出した構図と同じものを感じる。

今、ここで起きていることを評価することは難しい。
やや感情的な表現、ジャーナリスティックな表現と思われる箇所もないではないが、
リアルタイムで語る難しさをクリアしていると評価できる。


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