- [著]上橋 菜穂子
- カテゴリ:
- 単行本 (357頁)
- ISBN:
- 4035402109
- 発売元:
- 偕成社 (1999/01)
- 価格:
- ¥ 1,575 (税込)
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バルサ再生の物語
〈守り人〉シリーズの二作目にして、
最高傑作との呼び声も高い本作。
以下に三つの観点を挙げ、本作に内包する
テーマを探っていきたいと思います。
◆捏造される「正史」
前作の新ヨゴ皇国と同様、本作の舞台となる
カンバル王国でも為政者が自分達に都合の良い
歴史をつくり上げ、民衆に信じ込ませています。
どんな歴史も「物語」であることから逃れられない
以上、「正史」とは、その時々の勝者が敗者を排斥
してつくり出した一方的なものに過ぎません。
しかし、かといって「正史」のすべてが悪であったり、
無意味なものというわけではなく、国を治める上で
欠くべからざるものでもあるのです。
かくして「真実」は闇に沈み「物語」が
世を覆いますが、いつの日か「真実」が
復讐に現れる、というのも歴史の必然です。
◆自然との交感
人は社会的な存在である以前に、自然体系に属する生命体です。
しかし、我々より、はるかに自然と密接な共生をしている
カンバル人でさえ、そうした事実を忘れ、自然への畏敬や
感謝を失っている実態が描かれます。
そんな人達が物語の終盤で体験する〈山の王〉の秘儀は、
自然との原初的な関わりのイメージが荘厳に視覚化されて
おり、生命の本質や繋がりが見事に表現されています。
◆人間心理の陰影の深さ
バルサがジグロに抱く気持ちは単純なものではありません。
自分を救い、育ててくれたことへの感謝は当然
ありますが、同時に、自分がジグロの人生を
狂わせたという罪悪感も抜きがたく感じています。
そんなバルサが〈闇の守り人〉たるヒョウルとの対決
のなかで「死と再生」を遂げることにより、ジグロの
魂だけでなく、自分自身の心も救済しています。
秀逸
精霊の守り人がとても良かったので、この本に手を伸ばした。
読み始めると、すぐに話にのめり込み一気に読み終えてしまった。
読み終わった後 気持ちがワクワクしていて中々眠りにつけなかった。
ん〜。こんなファンタジーを原文で読める私は日本人で良かったなぁと思ってしまった。
それくらい凄い。
前作以上におもしろい!
「守り人シリーズ」第2弾です。 シリーズ中でもかなり気に入ってる巻です。 前作でも登場した女用心棒バルサが故郷カンバルに戻り、無実の罪で非国民に仕立て上げられていた亡き養父ジグロの名誉を回復すべく活躍し、カンバル国の秘密も明かされるストーリーです。 女用心棒バルサと育ての親ジグロの、壮絶なまでの人生と親子関係がじっくり書かれています。 特にジグロのバルサに対する愛情と捨てきれない憎しみ、そしてそれに気づいていたバルサの気持ちがとても切なかったです。
人の心に広がる〈闇〉を
「守り人」シリーズ第二弾。前作「精霊の守り人」で少しだけ語られた「バルサの生い立ち」についてのお話です。
バルサは自分の故郷である「カンバル国」に、心の底についた傷を癒すために旅立ちます。
ルイシャ〈青光石〉とは一体何なのか?〈山の王〉の正体とは?
出来れば前作「精霊の守り人」を読んでから、手にしたほうがいいと思います。
一応前作を読んでいなくとも、何とか理解できるストーリーに仕上がっていますが、面白みが半減してしまいます。
先に「精霊の~」を読んでから!
主人公バルサの幼少時代がこの本で明かされます。この本を読むなら、絶対に「精霊の守り人」を読んでから!! じゃないと意味もわからないし、おもしろさも半減してしまいます。
前作ではメインで登場していたチャグムが、この物語のなかには登場しません。チャグムファンには少し寂しいかもしれませんが、内容はとてもおもしろいです。
この物語には、専門用語が出てきますが、単語の意味もちゃんと載っているので大丈夫です!
ヒョウルとは?
小学校3~4年生向けと紹介されているがこの物語には深く考えるべきものがあるので私は中学生以上に勧めたい。指輪物語に匹敵するほどの面白さがあります。多くの危険をかいくぐり地の底で見たもの、過去との決着はどうつけるか日本のファンタジーもなかなかのものです。
読みはじめたら、寝ない覚悟で!!
この守人シリーズは、私があらゆる時間を割いてでも『読みたい』と思ってしまった、数少ない作品です。 この巻で特に好きなところは、“ルイシャ贈りの儀式”の辺りです。緊張とドキドキで、夜寝る気になれず、1時位まで読んでいました。 この本に出てくるログサム王には、本気で腹が立ちました。でも、ログサム王がいなかったら、わたしのお気に入りの、タンダや、トロガイも話に出てこない訳だし、そもそも話そのものが、成り立たなくなってしまう、、、と複雑です。(読んでない人、分かりませんよね?すいません、、、。)でも、他にもハラハラしたり、バルサの格好良さに手を叩いて喜んだりと、興奮し続けでした。児童書だと莫迦にしず、是非読んで下さい!
チャーミングな彼女、バルサ。
因果応報として「罰が当たる」という。しかし「将来酷いことをするから先に罰が当たるのだ」ととある本で言われた時ショックを受けた。その通りだと思ったのだった。怒りが充満する抑えきれない私の心は幼少の思い出に根がある。サバサバと人生を流そうにも引っかかる、とどまる、澱む。読書に安易な癒しを求めている訳ではなかった。だからふとこの本を手にとれた僥倖を誰かに伝えたいのだった。深夜に突然目を覚ます私は孤独すぎて孤独の味が分からないのだろう。とか悦に入ってみたり。フフ。読後に主人公バルサの存在感の大きさに惚れ惚れするね。目を瞑れば容易に彼女と目が合う事にちょっとびっくり。
ファンタジーでリアルなこと。
上橋菜穂子のバルサシリーズは児童文学というカテゴリーからすると少し(かなり)異質だ。大体児童文学ってなんだ?児童と呼ばれてる年代が自分の小遣いで買える値段なのかなー? それとも殆どが図書館とか学校とかで予算購入されるのを見越してるのかもしれない。
主人公のバルサの設定も異質だ。
さっぱりとして快活だが、陰影のある雰囲気は隠し通せない。読者層を意識した同年代の少年少女ではなく、30歳の流れ者で女用心棒。
どこでもないどこかの国を意識したファンタジーの空気は、押しつけがませなく、良いムードでイイ感じ。
読者は、バルサが逃亡者として生きざるをえなかったつらい幼き日々を知ることになる。タフでしぶとい用心棒バルサが心の底に封印した、頑是無い幼女バルサこそがもう一人の主人公なのではないかと思った。
シリーズはもう7作目くらいまで進行してるのだが、/□。はこの3作目までしか読んでないです。だって、年に一冊ペースのシリーズをまとめて読んでしまったら、その先がどうすればいいのか分からんよ。
闇の守人は誰なのか
精霊の守人、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムを救った
女用心棒バルサが自分の養父ジグロの名誉回復のために
25年間離れていた故郷のカンバル王国に戻る
新ヨゴ皇国からカンバル王国へ抜ける洞窟に中で彼女を出迎えたものが
最後まで誰なのかわからない。
権力と富を得るための陰謀をめぐらすジグロの弟ユグロ。
はじめはユグロの陰謀にただ真正面に対して
戦うバルサかと思ったら、大違いの展開が待っていた。
陰謀が渦巻くなかで、
良心をもった人々に助けられるバルサ
殺された父の妹、ユーカ叔母、ジグロの甥と姪に当たるカッサとジナ。
そういう人たちとのかかわりがとても暖かくて人間的だ
特に闇の中で視界のきく小さな人々
この人々の存在なくしてこの物語は語れないという感じだ。
最後にユグロの陰謀は打ち砕かれ
無念に死んでいったジグロの魂はバルサによって弔われるのだが
養父ジグロが自分育ててくれた裏で
自分(バルサ)さえいなければという憎しみが
あったという感情に気づくバルサの桎梏が心に響く。
バルサの心は癒されていないのかも知れない。
