- [著]上橋 菜穂子
- カテゴリ:
- 単行本 (316頁)
- ISBN:
- 4035402907
- 発売元:
- 偕成社 (2003/01/22)
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- ¥ 1,575 (税込)
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作者の筆力、展開力、描写力に脱帽
恐るべき圧制者になりかねないアスラの行く末を親身になって気遣うバルサとチキサ(アスラの兄)、タンダ(バルサの幼なじみの薬草師)がいる一方で、アスラの強大な力を利用しようとするシハナ(ロタ王国のカシャル<猟犬>の切れ者)のような人物がいる。それぞれの思い、思惑が交錯し、火花を散らす中、アスラはどういう道を選び取るか・・・・と、ストーリーのあらましはこんな感じでしょうか。
崖っぷちに向かってぎりぎりと追い詰められていくアスラの心の葛藤とともに、彼女の姿に重ね合わせるようにかつての自分を振り返るバルサの回想シーン。大きな力を手にしたアスラが、バルサの横顔に心細げな色が浮かぶのを見て驚くそのシーン。胸にきゅっとしみるものがありましたねぇ。
また、ロタ王国のタルの民が、第一次世界大戦に負け、窮乏するドイツ国民に、少女アスラが、当時のドイツ国民の期待を一身に集めたナチスの総統に重なる印象を持ちました。アスラの力はそれくらい圧倒的なものであり、だからこそ余計に、アスラの運命を変えたバルサの勇気と決死の行動が輝くのですね。この辺りの作者の、物語をぐいぐいと運んでいく筆力、話を引き絞っていく展開力、キャラを立たせる描写力は、いつもながら凄かったなあ。先の「来訪編」との2巻、一気に読んでしまいました。
「こうなったら、バルサやチャグムたちが、生きて行く道を、もう少し一緒に歩いてみようと思います。この物語、これからどう枝を広げ、どんな姿の樹になるのでしょうね」(本単行本の巻末、作者のあとがきより)
シリーズ最終章全3巻の『天と地の守り人』に行くのが、本当に楽しみ。わくわくしています。
弱い人間をしっかと描いた傑作!
あらすじは、破壊の神様が何百年かぶりにやってきて、いつもなら起こさないように取り付かれないようにしていたのに、様々な政治的理由があって、少数民族の少女に宿ってしまったという話です。
児童文学家の清水真砂子氏も言ってますが、物語というのはやはり「こぼれおちるもの」、つまり、あらすじ以外のところが大事だと思うので、実際読んでもらうのが一番です。
この作品に、神様に取り付かれるアスラという子がいるのですが、とても印象に残る娘でした。もう弱い人間なんですね。身体も小さい、才覚もそんなにあるわけじゃない、母親もいなくて兄とも引き裂かれて、どうしていいのかおろおろしている。そんな状況じゃ何にも自信をもてない。
まさにちっぽけな人間。わたしはものすごく共感できました。
そんな子が大きな力を持ったら、そりゃその力に惹かれるでしょう。仕返ししたいと思うでしょう。このへん、神様の力を操れるようになる場面でこの子嬉しそうに笑ってるんですが、胸を衝かれます。
それに対するバルサ、逆に中々読んでて感情移入できない。人を殺める感触、結果の重さと、後戻りの出来なさをアスラに諭すのですが、私も、そうそうアスラだって納得しきれない。これは自分の感受性がないせいなのか、中々人が殺されるところを見ることがない自分の周りの社会のおかげか、それとも作者の力量の問題か。でもアスラも納得しきってないもんなぁ。そういう、言葉で説明できないものということなのかもしれません。
そう考えると、自分がバルサ姐さんの言うことを理解できるのは、兄が腕の傷を見せるところと、そして最後のカタルシスの中、妹を助けようとする丸腰の兄と、弓を射られる兄の対比においてでした。そう考えると、少なくとも自分にとって、言葉だけの理解ではやっぱり難しい問題なのかもしれません。
勝利する形
親子の愛・兄弟愛・他人への思いやり、人の欲望そして巧みなお話の作り。
お見事です。
作者あとがきによれば来訪したものは「神」であり、帰還したものは「魂」である。来訪したものと帰還したものが違うんですね。
少女アスラの人としての魂の帰還により人を殺さず見事な収束だとは思うのですがアスラに宿った血を好むものがどうしても神だとは思えませんでした。
『精霊の守り人』から【守り人】の意味が変わってきたのでしょうか。
レベルの高い「読ませる」文章
「守り人」シリーズ第四弾のこの作品は、力強い文章で「単槍使いのバルサ」と「災いの子」アスラを中心に描かれています。
作者の高い文章力と巧みなストーリー展開。続きを読みたい、と読者に思わせる物語です。
バルサは「恐ろしき神 タルマハヤ」から、アスラを救うことが出来るのか。そして、アスラの残酷な運命とは。
アスラがきめること
”神の守り人”では外伝の”虚空の旅人”で新王戴冠式のために新ヨゴ皇国のチャグムがサンガル王国へ出かけている間にバルサやタンダを襲った人生最大の危機が描かれています。災いの子アスラに自分のかつての姿を重ね合わせたバルサは命をかけて守ります。邪悪なサーダ・タルハマヤ、王国の南と北の対立、悲恋に終った王弟の恋、親をも欺く氷の女シハナ、しっかりとした骨組みの上に力強い文章で肉付けされていて読みごたえがあります。
幼き命護る者
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