- [編集]小林 信彦
- カテゴリ:
- 文庫 (286頁)
- ISBN:
- 4041382165
- 発売元:
- 角川グループパブリッシング (2008/09/25)
- 価格:
- ¥ 540 (税込)
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ユーズド商品:¥ 888 より
横溝正史
対談、エッセイ、自作を語る他
江戸川乱歩による書評等
何ともマニアックな1冊。
戦前派探偵小説の入門書としてもどうぞ
同時代作家について語られたインタヴューに注目です。
巨大な鉱脈が埋まっていることに気付くはずです。
その実態に興味を持たれた方は
東京創元社の「日本探偵小説全集」全12巻をどうぞ。
かなりマニアック。
絶版で高値が続いていたとかは本書の内容に関係ないことで、本書を客観的に評価すると、マニアックなファンには喜ばれるだろうが、一般的な横溝ファンにはメインの「横溝正史の秘密」(横溝と小林信彦の対談、四部構成)が、『本陣』『蝶々』『獄門島』等の代表作の執筆裏話と、関連する国内外の作品を中心とした第二部「自作を語る」に興味深い話が多い以外は、どうでもいい内容が多い。
例えば第一部は横溝の「新青年」編集長時代を中心に、どういう雑誌があって、誰それが編集長で誰に原稿を書いてもらったとかなど、普通の推理ファンにはどうでもいい話が大半である。
第三部の「同時代作家の回想」にしても、今の読者が江戸川乱歩以外で知っているとすれば、高木彬光『刺青殺人事件』と坂口安吾『不連続殺人事件』ぐらいで、私はたまたま角田喜久雄の『高木家の惨劇』は読んでいて、大下宇陀児や木々高太郎の作品も読んだことはあるが、後は夢野久作『ドグラマグラ』や小栗虫太郎『黒死館殺人事件』を名前だけ知っているというぐらいで、おそらく普通の人は名前さえ知らない戦前の作家ばかりで、興味がないしわからないと思う。
第四部は、たまたま対談の前日にアガサ・クリスティーが死去したため、クリスティーを中心に自作品を含めた周辺の作家や関連作品の話が多く、読みやすくはあるが、その代わり知られた話が多い。
その中でポアロが「はげあたま」とされているのは、「egg-head」=「キザで、インテリぶっている」の誤訳が一般化したものだという話は知らなかったし、面白かった。
しかし、私には上記対談よりも、横溝自身のエッセイ「探偵茶話」や、乱歩の「『本陣殺人事件』を評す」、安吾の「『蝶々殺人事件』について」という各推理小説論の方が、それぞれの推理小説に対する考え方の違いが読み取れて面白かった。
横溝はクリスティーが読者の意表を突く設定を次々とこしらえることを評価しつつもカーやクロフツの味わいより落ちるとし、乱歩は結末の論理が最も鮮やかなのはカーであるとしつつ、紙背に潜む犯人の悪念と智力が充分に織り込まれている作品としてフィルポッツの『赤毛のレドメイン家』に最も心惹かれ、安吾はトリックや推理の確実性・合理性に最も優れているのがクリスティーで、クイーンも素晴らしいが推理の確実性・合理性の点でクリスティーには劣るとし、クロフツは『樽』以外は駄作が多くカーも不合理が多すぎると評している。
最後の高木彬光の「『獄門島』について」という評論だけは、何の参考にもならず蛇足である。
横溝正史と同時代作家のこと、横溝正史のミステリ指向などが生き生きと伝わってくる対談集
小林信彦、横溝正史、ミステリを愛する同好の士、ふたりの間に流れるくつろいだ雰囲気が、いい感じで行間から伝わってくる対談集。1975年(昭和50年)8月25、26日の対談を収めた第一部【「新青年」編集長時代から喀血まで】と第二部【自作を語る】、1976年1月12、13日の対談を収めた第三部【同時代作家の回想】と第四部【クリスティーの死と英米の作家たち】がメインとなる一冊。
これに、横溝正史のエッセイ【探偵茶話】(1947年)と、江戸川乱歩【『本陣殺人事件』を評す】(1947年)、坂口安吾【『蝶々殺人事件』について(「推理小説論」)】(1950年)、高木彬光【『獄門島』について】(1949年)の三つの書評を掲載しています。
最も興味深く感じたのは、横溝正史がクリスティーの推理小説をとても高く評価していたこと。クイーンやカー、ヴァン・ダインの推理小説以上に、クリスティーのミステリーを買っている印象を持ちました。
探偵・金田一耕助をつくった動機、国内ミステリ屈指の名作『獄門島』にまつわるあれこれ、ミステリの核となるトリックを思いつくのはどんな時か、江戸川乱歩との関わりといった話にも、興味を引かれましたね。
夢野久作の『ドグラ・マグラ』読書中に、横溝正史の精神状態がひどく不安定になったことや、乱歩に勧められて読んだクレイグ・ライスのミステリの軽妙な面白味、魅力について横溝が書いている文章なんかも印象に残りました。
蛇足ですが、横溝正史の推理小説のマイ・ベスト5は、『獄門島』『本陣殺人事件』の二大傑作、中篇『鬼火』、『車井戸はなぜ軋る』『蔵の中』の短篇ふたつ。
横溝作品にどっぷりとはまった人向けの一冊。
いくら横溝作品が好きでも、文庫本の古書一冊に10,000円近くを投じるには躊躇を感じていたので今まで読む機会がなかったのだが、めでたく復刻。実に喜ばしいことだ。小林信彦氏との対談がこの作品の核だが、話題の中心は横溝の編集者時代から戦後獄門島を書き上げるあたりだ。特に同時期に執筆された「蝶々殺人事件」と「本陣殺人事件」については多くが語られている。
作家横溝正史の誕生と作品が誕生するまでの裏話を横溝自身あるいは他人が書くのではなく、自身の口で語っているところにこの本の価値がある。
私は旧版の初版(赤カバー)を持ってます。
旧版と同じ杉本一文の表紙で復刻されましたね。角川の横溝正史の作品は電子文庫でほとんどが読めるようになりましたが、やっぱり紙の本で容易に読めるようにして欲しいです。私は角川文庫の旧版全てと春陽文庫の人形佐七捕物帳全集、出版芸術社や徳間書店などの未刊行シリーズも持っていて、ほぼ全ての横溝作品を読みました。この本はあるていど横溝作品を読んでから読んだ方が面白いので、どんどん旧版の復刻をお願いします。 できれば表紙は杉本一文のままがいいですね。
ききめの一冊が復刊された
小林信彦にしても横溝正史にしても文庫を集めていて古書価格が法外で購入できなかったこの一冊がようやく復刊された。図書館でハードカバーを借りて読んだが、解説も含めて手元において読めるようになったのでとても嬉しい。
祝!再版
よくぞ再版していただきまして、角川書店担当の編集者の皆様有難うございます。最近まで古本マニアの間では、幻の作品に数えられ、最低でも9000円、ものによっては、30000円の価格になっていました。私は運よく、横溝ブームの時に当時300円で購入したものがありましたので、大切に保管しておりましたが、流石に30年の月日には勝てずボロボロの為、改めて3冊購入してしまいました。恐らくそれほど増版は望めないと思われますので、(初版3000部位?)早めの購入をお薦め致します。内容的には、小林信彦氏のインタビューの素晴らしさ、横溝正史氏の記憶の素晴らしさが抜群です。両氏のファンの方、必読です。また、そうでない方もインタビュー本のお手本として、参考にお読み下さい。
