- [著]ダン・ブラウン
- [翻訳]越前 敏弥
- カテゴリ:
- 文庫 (331頁)
- ISBN:
- 4042955010
- 発売元:
- 角川書店 (2006/06/08)
- 価格:
- ¥ 620 (税込)
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オススメです
ダン・ブラウンは「ダ・ヴィンチ・コード」で有名になりましたが、同じラングドンシリーズとして書かれたこの第1作目のほうがおもしろいです。かつて科学が宗教を弾圧していた時代があったことなど思いもよらないほど科学が生活に浸透している現代、ヴァチカンを舞台に、科学と宗教の因縁とも言える戦いがミステリアスに始まります。セルン(スイスの研究機関)やイルミナティ、米国からスイスまで1時間で行く飛行機など興味をそそる内容満載。とてもスリルがあって、吸い込まれていくストーリーです。私としてはこちらのほうを映画化すればよかったのにとも思ったのですが、少し考えてすぐに撤回。映画化するには怖すぎる。ホラー映画ではないけど、かなりホラーになりそうです。それにしても、この著者の知識量はすごいですね。
あなた、「ダ・ヴィンチ・コード」の方、先に読んだ人?
私、「ダ・ヴィンチ・コード」を先に読んだ人です。
だいたいみんなそうです。
2つは確かに似ています。
ラングドン教授の連れはインテリの女性だし、捜査機関のボスはいかにもマッチョ。その副官は控えめで、ラングドン教授のプロットと実行犯のプロットが同時進行するのも同じ。
ただ、黒幕だけは違います。
何が違うかって、悪役としての器が。
「ダ・ヴィンチ・コード」の方は、「なんや、お前やったんかい・・・」というとってつけた感じがどうしても否めませんでしたが、本作の黒幕は「そこまでするか!」の大活躍・・・
おっと、ちょっと口が滑ったかも・・・
読んでからのお楽しみですね。
読めばあなたも「ダ・ヴィンチ・コード」より本作のほうが好きになるんじゃなかろうか。
だいたいみんなそうだから・・・
「科学と宗教」の問題
素晴らしい構成とテンポの良い物語の展開で、一気に読ませます。それと何よりも知的な好奇心を大いに満足させてくれます。「ダヴィンチ・コード」よりも、こちらの方が良いのではと思えるほどの素晴らしいミステリーになっています。
事件は、とんでもない研究機関セルンで起こります。
胸に「イルミナティ」の焼き印を押された死体が発見されます。その「イルミナティ」と言う機関の研究者ラングドンが呼び寄せられます。
4人の枢機卿の誘拐と殺人予告、それにセルンから盗み出された反物質による爆破予告が届きます。
ラングドンは、十七世紀の古い詩に込められた暗号を解き、その事件の阻止に動きます。
とにかく、息もつかせぬ展開で、事件は二転三転します。
そして、語られる「科学と宗教」の問題は、今ここまで進んだ科学の社会に生きている者として、非常に考えさせられることが多くあります。
進みすぎた「科学」は、いろいろなところで大きな弊害を引き起こしています。環境問題もそうした大きな問題の一つでしょう。
天使と悪魔とラングドン教授
かつて教会に弾圧された科学者たちが設立した秘密結社「イルミナティ」が
現代によみがえった。
イルミナティがキリスト教界の頂点であるヴァチカンに威力が核燃料の千倍もある反物質を持ち込んだ。
ラングドン教授がいきなり、セルンに"招待"されてX-33で運ばれるシーンから
「おいおい」と思わず突っ込んでしまいました。
セルンが最高の技術者集団というイメージをすんなり持ててつかみはオッケーでした。
科学と宗教の対立という構図がはっきりとしていて話に入りやすい。
上巻ではまだラングドン教授の活躍どころは少ないですが、著者の話に引き込むストーリーテリングはさすがだと思いました。
脱帽・・・。
ここまでの長編なのに、最後の最後までいい意味で期待を裏切り続けてくれる。ミステリーという枠に捉われない、すばらしい作品であると言えます。ある程度、先の読めてしまうミステリーというものも、ある意味では満足感を与えてくれますが、本書はトリックがわかりやすいのに、先を読ませない。いや、敢えて読ませて、裏切る。そんな展開が、前編を通じて繰り広げられるわけですから、「世界を不眠に陥れた」というロジックも納得できます。
また、ルネサンス期のキリスト教芸術の圧倒的な教養、キリスト教と科学の両者が生み出すパラドクスがうまく文章の中に融合され、前述したスピード感、小気味のよいリズム感をともなってしまえば、もう敵なしです。
諸手を挙げて、降参といった印象です。白旗です。
個人的にはダビンチコードよりも、わかりやすく、全体的にスリリングで楽しめました。しかし同じキリスト教を土台にした作品で、完成度はどちらも高いと思うので、あとは好みの問題かとも思います。キリスト教に造詣がないと、少し抵抗があるのかもしれませんが、本書に含まれる、あふれんばかりの薀蓄が、その溝を埋めてくれることも十分に期待できます。
国産のミステリーにも、良さはありますが、ここまでの完成度ともなると、見たことがありません。キリスト教と科学の対決。天地創造とビックバンの矛盾。みどころ満載の対決を、斬新な視点から描いています。一読の価値ありです。
ストーリー作りの巧みさに脱帽
著者であるダン・ブラウンの緻密な調査に基づくストーリー作りの巧みさに脱帽です。
科学と宗教とは手を結び合えるものなのか。それとも水と油のように決して混じり合えないものなのか。はたまた科学と宗教とは同じ宇宙の真理を別の観点から追求しているのか。
この主題を中心に、謎解きとアクションがふんだんに織り込まれた悲劇性と意外性の強い緊迫したストーリーが展開され、全編一気呵成に読んでしまいました。
基本的に宗教が自らの自己保身のために行ってきた数多くの罪悪が糾弾されますが、しかしながら一方的に宗教を否定するほど単純な内容ではありません。思うに、宇宙の真理の探究は科学にまかせ、宗教は人を罰したり救ったりするような人格神信仰を捨て、純粋に人が人としていかに生くべきかの指針を示す倫理観や道徳観など説くべく生まれ変わる必要があるでしょう。
本作はもちろんフィクションですが、その記述の多くが真実に基づいています。例えば〈インターネットのウェブと言う概念はセルンで発明され素粒子物理学者の間で培われた〉は事実です。ただし、セルンで反物質を作り出すことはできますが、それを大量に安定して保存することは現在の技術では不可能です。その他、事実と創作が見事なまでに組み合わされており、その融合も見事です。
巻頭の芸術作品の写真やローマとヴァチカン市国の地図も良い参考になります。
ただ訳者に一言。〈Particle Physics〉は、〈粒子物理学〉ではなく、正しく〈素粒子物理学〉と訳してもらいたかったですね。
観光ガイドとしても秀逸
私の読んだダンブラウンでは一番いいかも!(天使と悪魔>ダヴィンチコード>
デセプションコード)
ローマに行った後に読んだので、「あー先に読んでおけば〜」とちょっと後悔。
しかし、実際行く前に読んだら、現実と創作の区別がつかなかったかも。
ローマ市内をぐるぐるまわって、推理とサスペンスだけでなく、ところどころ観光気分も
満足させてくれるところが、火サス風で面白い。
「あのパンテオンの中に、そんな有名なものがあったなんて!わざわざ行ったのに
知らなかったよ〜!ありがとう、ダンブラウン」「バチカンのあれってああ
そういうことだったんだ〜」的な楽しみ方もできました。
謎解きレベルも高く、犯人も最後まで推理できず、どんでんがえしを十二分に
楽しむことができました。
Better than ダ・ヴィンチ・コード
世界的な大ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」と主人公が同じシリーズだが、
実はダ・ヴィンチ・・よりも前に発表された作品。
私も含めて多くの人が、ダ・ヴィンチ・・の後に読んでいるだろうが、
小説としての出来はこちらの「天使と悪魔」のほうが上である。
展開が気になって止められなくなってしまう面白さはダ・ヴィンチ同様。
ダ・ヴィンチ・・では、美術やら宗教やらの薀蓄がうまくちりばめられているものの、
「へぇ〜」で終わってしまう類の(ほとんどの人にとっては)軽いものだった。
ところがこの作品では、単なる薀蓄にとどまらず「科学と宗教」と言う重いテーマに
(エンターテイメントを損なわない範囲で)正面きって取り組み、
「貴重な問題提起」と言う観点で、それなりに成功している。
科学と宗教(特にカトリック)は、一見して相容れない対立したものに思われているが、
決してそうではないことを、うまくこの作品は描いてくれている。
(「科学と宗教の深い関係」について興味のある方は、
是非「新しい科学論−村上 陽一郎著−」を読んで欲しい)
ところで、ダン・ブラウンの小説の共通のお楽しみとして、
「黒幕が明らかになったときの驚き」がある。
「ダ・ヴィンチ・・」では、それが明かされるかなり前からある程度判って興ざめしたものだが、
この作品では「どんでんがえし」を十二分に楽しむことができた。
ただ、さすがに彼の小説を3つも読んでしまうと、
「黒幕を示す一定のパターン」が判ってきてしまった。
そのパターンをここで教えるのはもちろんやめておくが、
私にとってさらに他の作品を読んだときに興ざめしないかどうか心配。
臨場感があります。
物語の舞台はヴァチカンです。
セルン、イルミナティ、反物質、次期教皇候補の失踪、ベルニーニ、コンクラーベ、どんでん返し...。
歴史を紐解きながら、暗号を解読し真実に迫っていく流れは「ダ・ヴィンチ・コード」と同様ですが、全く気になることなく一気に読み終えてしまえます。
非常に分かりやすい構成である上に、ラングドンが暗号を解読しながら、走り回る間に観光名所の紹介もされているので、あたかも自分もその場にいるような臨場感を感じることが出来ます。
元々、イタリアには是非行ってみたいと思っているのですが、この作品を読んでその気持ちが更に強くなりました。
『ダ・ヴィンチ・コード』より
先にこちらを読んでいたら☆5つ付けていただろうと思う。
テーマのインパクト自体は『ダ・ヴィンチ』に劣る感はあるが、小説としては本作のほうがはるかによく出来ている。
一つ一つのネタもきちんと練られていたように思うし、それらのつなげ方も秀逸。
展開のテンポがよく、先が知りたい欲求を心地よく刺激してくれる。
また、宗教、科学、芸術、歴史と小難しいテーマを扱ってはいるけれど、その多くを主人公ラングドン教授の平易で分かりやすい語り口を通して解説しているため、たとえ苦手な分野だとしても本作を敬遠する必要は全く無いと言っていい。
ただし、物語がごく短期間の中で展開されることや基本的なストーリー構成など、ベースとなる部分に『ダ・ヴィンチ』と共通する点が少なくなく、「またか」と思わされたことは否定できない。
☆1つ減らしたのはこの為。
大変出来のいい娯楽小説なだけに、両方とも未読の方には是非『天使と悪魔』を先に読まれることをお薦めしたい。
