- [著]東野 圭吾
- カテゴリ:
- 文庫 (499頁)
- ISBN:
- 4043718063
- 発売元:
- 角川グループパブリッシング (2008/05/24)
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「手紙」と対を成す作品
同氏の「手紙」が犯罪者の身内の視点から描かれた作品であるのに対し、この作品は被害者の身内の視点から描くということで作品としては対を成すものです。
もっとも「手紙」は最終的に感動させるストーリー展開であるのにこちらはひたすらやるせない気持ちにさせる作品です。少年犯罪と加害者の人権を守る法律という光市の母子殺害事件を彷彿とさせる筋立てで読後感は余りよくありません。
ただし自分が同様の立場なら・・という意味で非常に興味深いテーマであることには間違いありません。
少年法も加害者の人権とやらを盾にする愚劣な弁護士連中も早晩無くなってほしいものです。
復讐
東野圭吾らしい重厚で主人公の心理を中心に描写した作品。
実社会でも起こっている非常におぞましい犯罪の被害に自分の家族があったら私も復讐を考えるだろう。
全く関係ない他人の自分勝手な嗜虐性により汚された被害者にもちろん罪は無く、それに反するかのように自らに罪の意識をかけらも感じない加害者の人権を認める必要があるのか?、ましてなぜ更生させなければならないのか?
主人公を追う刑事のつぶやきや関係者の態度からその気持ちを理解しながらも表立って認められないもどかしさとそれを受け入れてはいけないとする主人公の心の痛みが伝わる。
ところで、最後で明かされる秘密は本作に必要だろうか?
それを考えて☆4とする。
自分が同じ立場なら…
被害者の家族なら誰もが考えることだと思う。現在の司法制度の問題である、被告の更生に重点を置き、被害者の気持ちがないがしろにされてしまうところを問い詰めた読み応えがある作品だった。自分が同じ立場なら…と誰もが考えさせられる作品であるが、やはり答えはでないだろう。犯人の情報を密告した刑事も、被害者に同情し犯人を憎むからこその行動であって、刑事といえども一人の人間なのである。この小説で特筆すべき点は、第3者の立場である旅館の女将の犯人に対する細やかな言動だと思う。第3者の立場として、どうあるべきなのか考えて犯人の手伝いをする様子はリアリティがあったと思う。
「手紙」ほどのリアリティはない
ストーリー上、胸の悪くなるようなシーンもありましたが、あくまで「普通の人間が見聞を通して、想像の範囲で書いた描写なんだ」と思って読み進めました。
現実の事件は小説にかけないほど残虐なときもあります・・・
そんなわけで読むには忍耐を要しましたが、救いようのないラストでした。
加害者親の「うちの子は悪くない」という態度にはリアリティありましたが・・・・
復讐物語ではないのでしょうが、現在の少年犯罪の問題点を浮き上がらせるだけで終ってほしくなかったです。
東野さんの力量なら、もう少し加害者や加害者家族をじわじわと「死よりつらいような状況」に追い詰めるような、それでいて犯罪行為にならないという、カタルシスがあるような復讐がかけるのに。
さまよう刃
文体がどうとか人物設定がどうとか、本として面白い、面白くないではなくて、
現実世界の少年法の馬鹿らしさとそれを変えられないくやしさを改めて感じさせられる本でした。
結末が後味悪いという意見をよくききますが、逆に後味スッキリ!な結末だったら
この本の意味するものが変わってきてしまうと思うので、
結局あの結末が世間の全てを意味してる気がします。
トリックが・・・
東野作品の中でも、これは失敗作と言えそう。
読後感が、「やられた」ではなく「やっちゃった」になっている。
彼は見事なトリックでいつも読者を楽しませてくれるが、この小説に関してはそこが徒となってしまった。
帯に「社会派サスペンス」と書かれてあったが、じっさい、少年犯罪で苦しんでいる被害者も多い時代に、取り上げている題材は洒落にならないものだ。
直球のメッセージで勝負すべきであって、安っぽいエンタテインメント・トリックを混ぜるべきではなかったと思う。
意外性は乏しいがスリリング
犯罪被害者の遺族の心理という点で、非常に考えさせられると同時に、主人公への共感を余儀なくされる部分がある。小説の中でも、娘を殺された父親の、犯人への復習への執念に対して、ほとんどの登場人物が、何らかの形で支援・声援を送りたがっているのが印象的であった。主人公の行動がどのような形で収束を迎えるか、各登場人物の思惑はどのように収束したか、意外性はやや乏しい気もしたし、煮え切らなさも残るが、最後までスリリングに味わって読んだ。最終数ページは個人的には「やられた」の感想。
面白いけど・・・
少年に娘を殺された父親の復讐。被害者から加害者になった主人公を追う刑事の複雑な心境。逃亡中に出会った息子を失った女性との交流。一気に読みきってしまう面白さなのですが・・・。狙われる少年はもっと憎らしく、追う主人公はもっと怒り狂って欲しかったと思います。なんとなくありがちなストーリー展開だったのがちょっと残念。
ちょっとがっかり いや、かなりがっかり…
東野作品はほとんど読んでいますが、その中では駄作の部類かもと思いました。
東野氏はたぶん親じゃないのだろう??と思うぐらいです。
主人公の心理がなんだかとても薄っぺらに感じられます。
深みがないのです。
あざとい場面はよく出てくるのに…
事件のテンポや展開の妙でぐいぐい読ませられはしたのに、読後感が薄っぺらいのです…
なぜだろうと考えるに、人物像がいまいち浅くて深みが全く感じられません。少年犯罪に対する憤りはわいてきますが、その少年たちの描き方もなんだかね…まるで幼児がそのまま大人になったといういわば観念だけで描いた少年像です。結末もなんだか尻切れトンボというか欲求不満が残ると言うか…
主人公の長嶺の娘を殺された悲しみもなんだか類型的??
同じようなテーマで描かれた、読んでいて怖くて怖くてその上心が痛くなった宮部みゆき氏の「模倣犯」とは雲泥の差です。
少年犯罪に対する挑戦状的内容
凶悪犯罪や犯罪の若年化が問題になる中、
少年法や、加害者保護に偏った法のあり方について、
この本が投げかけるテーマは実にタイムリーで考えさせられるもの。
小説として読んでもこの先どうなるのか、
先を読みたくて読み進めてしまう、興味深い内容となっていて、
一挙に読んでしまった。
ただ、最後のシーンが終わった後のあまりにそっけない文章が
ラストでいろいろなことを考えさせられる余韻をぶち壊している感じがするので、
非常に残念だった。
あとは個人的には内容に共感できるものの、
加害者を殺してしまっても構わないのではという
筆者の主観があまりに強すぎて偏って書かれているような
気がするので、せっかくの問題提起も、
反発を招く人もいるのではとも感じた。
