- [著]米原 万里
- カテゴリ:
- 文庫 (301頁)
- ISBN:
- 4043756011
- 発売元:
- 角川書店 (2004/06)
- 価格:
- ¥ 580 (税込)
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民族・人種の理解に
米原万里さんの貴重な体験、経験をもとに、日本人にとっては、
苦手な多民族、人種の理解の一助となる貴重な一冊である。
東欧の共産主義社会で生活したというだけでも、日本人にとって
は、貴重な経験であるが、その東欧プラハのソビエト学校で学んだ
友人たちの、その後の話が軸である。
亡命ギリシア人、ユダヤ系ルーマニア人、セルビア系ユーゴスラビア人
それぞれの、その後の人生は数奇であるが、ユダヤ人や、ユーゴスラビア
の人々を理解する上でも貴重な体験集でもある。
発見したのだが、
各話のタイトルが青赤白のロシア国旗の色になっている。物語としても十分興味深く読めるが、社会主義体制論としてもとても秀逸である。勉強になりました。リッツァ、アーニャ、そしてとくにヤースナ、彼女たちはぶじに生活できているのだろうか……と思い、ふと著者がすでに亡くなられていることが改めて意識され、むしょうに悲しくなった。
まっさらな自分になれる本。
ソビエト学校に通っていた同級生に米原さんがその当時の回想を交えながら書いたエッセイ。
エッセイと言っても小説の様にドラマチックで米原さんの文章の上手さも際立っている本でした。
何故、アーニャが嘘をつかなければならなかったか、
そしてそれを真っ赤な真実として捉える米原さんの人間愛の深さに感動してしまいました。
私は政治のことは良く分かりませんが、それでも楽しく読めた本でした。
予備知識も要らないと思います。
友情や善意・過去の出来事を憎みそうになった時などに読んでみて下さい!
ぽろぽろそれらがはがれて、まっさらな自分になれるはずです。
政治に翻弄されながらも、それでも子供は育つ
米原万里の人格形成史に色濃くある、現代社会主義政治史、中ソ論争、ハンガリー動乱、プラハの春、ベルリンの壁の崩壊、ソビエト連邦の解体の歴史を背景に、日本共産党を代表し世界の共産党連絡機関に勤務する父親とともにプラハの春前後のに在住した社会主義国体験を出発点とする物語です。
おしゃまな少女だった米原による、プラハのソビエト立学校で社会主義圏や各国共産党関係の子供たちと出会いぶつかり会った個性的な友だちの何処にでもいるおませな日常の風景と、友たちの個性の背景に隠れている国際共産主義運動内の各国共産党の序列と党内闘争、更に深くある各民族の歴史と宗教の理解が長い時を経て了解されていく過程が、スリリングに展開されていく。
それぞれの友たちが歴史に翻弄されながら幼年時の面影を残しあるいは残さず、激動を生き抜いた個人史が、米原万里により描かれる。
政治と距離を置くことが出来ない時代・空間に迷い込み翻弄されながらも、生きる残る人々の逞しさも垣間見える。
小説以上にエキサイティング
在プラハ・ソビエト学校の同級生たちに、大人になった「マリ」が再会しに行く。すると、東欧の渦に巻き込まれて、彼女たちは少女の頃からは想像もつかないような人生を送ってこといるが明らかになる…。
「事実は小説よりも奇なり」ということばは、まさにこういったノンフィクションのためにあるのでは、と思わされる。東欧の激動の歴史と、それによって育まれた少女(女性)たちの個性、そして、在プラハ学校の中でもちょっと異質だった(だろう)日本から来た「マリ」と彼女たちの関係性。それらの一つひとつが、冷静かつ冷めすぎずあたたかい絶妙な筆致で描かれている。久しぶりに「次へ、次へ」とぐいぐい読まされる小説(ではないけれど)でした。
とても素敵な本です。
語り口調がメインで話が進行するので、
東欧にさほど興味のない人でも読み進めることが出来ると思います。
もしも、地理が苦手な方でしたら
地図を用意するとより一層深く話を理解出来ると思います。
全ての章が名作で、本当に感動しました。
ただ、アーニャに対する批判はちょっと.....と思いました。
彼女のバックグランドを知れば、余計にそう思います。
チェコに限らず、外国人学校に通えるという事に関しては
いうまでもなく国力のある外国人の特権でしょう.....
国力がない国は外国人学校を作れませんものね。
それは、わたし程度の常識の持ち主でもわかるのだから
あれだけ聡明な彼女がわからないとは思えないのですが。
この些細な一点を除けば全て感動出来る作品です。
日本ではアメリカの情報は溢れ出る程ありますが、
東欧の情報はあまりありません。
専門書では取っ付きにくく読みにくい、
ガイドブックやムックでは情報が浅すぎる。
初版からやや時間は経っていますが、
東欧情勢を知るに語るにこの本は最適ではないかと思います。
絶版にする事が早い事で定評のある角川文庫から出ていますが、
いつまでも版を重ねてほしいと切に祈りたい。
名作です。
必読! でも本書のタイトルはなぜ、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』なのか?
周知のように本書に描かれた米原と3人の元同級生の再会は、96年に放映されたTV番組『世界・わが心の旅』(NHK)によって可能となったものだ。米原が旧友たちの消息を気にかけていたのは事実だろうし、だからこそ番組の企画も成立したに違いないが、当然ながら3人の元同級生の所在が確認された上で撮影班は出発しており、米原による探索行は実際にはなかった。また本書での米原と3人の印象的な対話の傍らではテレビマンユニオンのカメラが回っていたはずだが、本書に撮影班は登場しない(通訳は登場する)。
教条的な共産主義的言辞を愛好していた「嘘つきアーニャ」はルーマニアに帰国後、「赤い貴族」である父の計らいで一般民衆には不可能な国際結婚を果たし、今は英国で編集者として活躍している。自分の現在が何を踏み台にして可能であったかに無頓着なまま、「今の私の90%はイギリス人だ、民族なんかに拘るのは愚かだ」と嘯くアーニャに、米原はやり切れぬ怒りを抱く。しかし…
プラハのソビエト学校が、現地の人々の目には特権階級の学校と映っていたことに米原がショックを受ける場面が本書にあるが、そんなことは当然ではないか。米原も含め、その生徒たちの全員が、多少なりとも「アーニャ」なのだ。「真っ赤な真実」とはきっと、「共産主義国式の真実」って意味だよ。現地支局による手配も怠り無く、恐らくはNHK名物の大名行列のような撮影班を引き連れ、豊かな資本主義国で国内的に消費される感傷的なストーリーを撮り上げるために戦火の迫るユーゴにまでホクサイの版画を抱えてやって来た米原を前に、ヤスミンカの絶望が深まったのでなければいいのだが…
混乱する東欧の側面史
’60〜64年、東欧へのソ連の締め付けがゆるみ始めた時代に、プラハのソビエト学校に在学した作者が、その時の同級生の生活や考え方を描き、その後のプラハの春、ベルリンの壁崩壊、旧ユーゴ内戦と続く中で、その後の彼女たちの生き方、考え方を捉えてゆくドキュメンタリーになっています。
この中に登場する3人の女性の個人史的な内容ではあるのですが、同時代に生きていた私たちにとって、ニュースでは知り得なかった東欧の現代史の側面を垣間見せてくれる貴重な資料です。
3編のエッセーは、それぞれ読み応えがある素晴らしい作品です。中でも、この本のタイトルになっている「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」では、旧社会主義国の内部矛盾(エリート階級の特権)をアーニャ自身が体現しています。
個人的に気に入ったのは「リッツァの夢見た青空」で、「ギリシャの青い空と白い波」への憧れは、一度訪れたギリシャの地を思い出させてくれました。
もう一作の「白い都のヤスミンカ」も、旧ユーゴ内戦の中の劇的な再会を描いており、これもなかなか魅力的な作品です。
嘘つきアーニャの真実が切ないですね。
題名の不思議さとある方から米原さんの本で一番の傑作と聞き買ってみました。傑作と言う以外無いほど一つ一つの話がドラマあり、涙あり、ドキドキしながら読み進めて行けてあっと言う間に読み終わってしまいました。ストリーは米原さんが在席されていた旧ソビエト下の東欧の学校でのはなしからブルガリアやユーゴスラビア等での内乱後に旧友を尋ねて行く話へと続いていきます。(混在はしていますけど)本当に会えるのか、生きているのか、ドキドキしながらストーリーは続いていきます。日本にいた私には新聞で読んだ事件等が所々に出てきます。そんな自分の知っていた事と現実のギャップにも驚かされます。また、中学生ぐらいの作者もそして同級生達も単なる学生ではなくまるで1国の代表に様に感じられてる部分があり、我々も日本を出たら日本の代表になってしまうのかな?と思わずにはいられませんでした。そんな我々が経験や見る事出来ないストーリを米原さんが素敵に語ってくれています。嘘つきアーニャの真実が分かった時なんとも言えない気分になりました。米原さんに敬意を評して星は5つにさせて頂きます。あなたの知らないもう一つの時間・空間を米原さんという素敵な方の案内で歩んでみるのも良いと思います。
女性達の感動の物語
故米原女史は言うまでもなくロシア語通訳の第1人者。そして、ユーモアの中に国籍・人種の違いによる価値観の違い等を鋭く指摘したエッセイの名手としても知られていた。そんな米原さんが子供の頃(旧ソ連在住)通っていた小学校時代の話、そして30年の時を経て当時の友人を東欧に訪ねた際の話を感動的に綴ったドキュメンタリー。
子供の頃の話も、旧ソ連の当時の様子が分かったり、少女時代の天真爛漫な楽しさが伝わって来て読ませるが、やはり本作の目玉は再会のドラマであろう。東欧を覆っていた"赤い壁"。生死すらハッキリしない旧友。国家体制の壁、国家に強制された思想の壁。そうした壁に邪魔されながらも、それを乗り越え再会を果たすかつての"少女"達。その中で明らかにされる過去の真実。過酷な運命の中で、それでも健気に逞しく生きる女性達。
他のエッセイで米原さんが触れている、国家間の価値観・生活環境の違いを実体験で表現したような作品で、それに加え女性の逞しさと友情の厚さを重ねて描いた感動の名作。
