村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

  • [著]梨木 香歩

カテゴリ:
文庫 (238頁)
ISBN:
4043853017
発売元:
角川書店 (2007/05)
価格:
¥ 500 (税込)
在庫状況:
通常24時間以内に発送
Amazon.co.jp で商品情報を見る

ユーズド商品:¥ 450 より

この商品をブログに貼り付ける

9,490 位
評価: 5.0
2008
08/17
Sun

後半のせつない感じがいい

[No.9] posted by かずろう

1899年、土耳古(トルコ)に留学中のエフェンディ(学者)・村田青年の滞在記録。
同じ下宿にいるドイツ人のオットー、ギリシャ人のディミトリス、英国人のディクソン夫人や、トルコ人のムハンマドと共に
過ごすトルコでの生活が随筆風にたんたんと記録されていきます。
同宿の友人たちと心温まる交流をしながら、時代の流れに巻き込まれそれぞればらばらになっていく。
読後感に青春の夢の後、といったそこはかとない無常感がただよう青春小説でした。

小説紹介の文章に「神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…」とあったので、もっとファンタジー色が強いのかと思いましたが
そういう感じではなく、生活の中で感じた不思議という感じで、作者の独特なセンスを感じました。
このセンスはまねできないなという感じで、とっても素敵な感じです。

ディミトリスのいう「−私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない…。」という言葉が心に残りました。

2008
01/16
Wed

見事な梨木香歩さんの世界

75.0% (3 / 4)
[No.8] posted by sumiko_misuke

これは、1899年にはるか土耳古(トルコ)に文化研究のため招聘された村田青年が、かの地で過ごした替えが得のない青春を回顧録のように語る形になっている。エフェンディとは、トルコ語で学問を究めた人に対する敬称のこと。いわば、村田先生トルコ滞在記といったところか。
ゆったりと流れるスタンブールの時間、町並みの色、そして、におい。村田青年が身を寄せた学者下宿屋の住人たち、、、ドイツ人の考古学者、ギリシャ人発掘調査研究家、世話役のトルコ人のおやじさん、その下宿屋敷の女主人であるイギリス人女性。そして極め付きは、絶妙のタイミングで合いの手をさけぶおうむ-----その下宿の住人たちの、ささやかで、ほほえましい日々が、哀愁と愛着をもって、つづられている。異国の地で、身を寄せ合うこの学者下宿屋敷の住人たちの友情にやがて、忍び寄る土耳古の革命の足音。日本に帰国した村田青年のもとに届く、革命の知らせ、そして、大戦が起こり、かの地でかけがえのない時間を共にすごした友人たちが、散っていく、、、、
国家とはなんであろう。民族とはなんであろう。異国の地に生きるということは、文化とは、、、異国の神とは、、、、そして、自分が生きてきた土着の文化とは、、、
これは見事な梨木香歩さんの世界です。
私は、この本がとても好きです。梨木香歩さんの、異国のものであろうと、母国のものであろうと、人や物に対する、鋭い洞察力と観察力、そしてそれを、優しく、つつむ視線がとても、とても、好きなのです。

2007
10/09
Tue

百年と少し前の土耳古の街のざわめきが聞こえる

92.9% (13 / 14)
[No.7] posted by 風

 1899年(明治32年)、専門の考古学研究のため、土耳古(トルコ)で生活した村田エフェンディ(註:エフェンディというのは、先生というくらいの意味)の滞在日記。語り手の私こと村田が、ディクソン夫人の下宿先で生活を共にした、国籍も色々の友人たちとの交友録を綴ったものです。
 それぞれの国の文化や風土が違うように、彼ら友人たち、独逸(ドイツ)人のオットー、希臘(ギリシア)人のディミトリス、土耳古人のムハンマドの思想や考え方も実に様々です。日本人である村田にしても、そう。十人十色。でも、国籍も様々な彼らが同じ住居で暮らし、同じ時を共有した思い出は、本当にかけがえのないもの。その、何にも増して代えがたく大切な思い出が、はるか異国からの呼び声のように村田の心に響いてくるラストは、感動的だったなあ。胸を揺さぶられました。
 英国人のディクソン夫人の家で飼われている鸚鵡(おうむ)が、いい味を出していました。時折、絶妙の言葉をしゃべるんですよね。あんまり絶妙なんで、あちこちでくすりとさせられました。
 綿貫征四郎が書き付けた『家守綺譚』と、話がつながるところもあります。本書か『家守綺譚』、どちらかお読みになった方は、もう一冊もぜひどうぞ。両方とも読んでいないという方は、できれば『家守綺譚』を読んだ後に本書に入ったほうが、読み心地が一層増すかなあと思います。

2007
08/05
Sun

とても深く、衝撃の走る物語

100.0% (19 / 19)
[No.6] posted by rieo

私は、登場人物の名前がカタカナの人がたくさん出てくるのが苦手。
19世紀に生きた主人公が使う難しい言葉達。漢字で書かれた国名。
どれもこれも、私が物語に入り込めない要素ばかりで、かなり困惑。
正直、半分読んで面白くなかったらそこでやめようと思いながら読んでいたのです。最初の4〜5章くらいまでは。
でも、いつのまにやら全然気にならなくなりました。
オットーが、ディミトリスが、ムハンマドが、今ここで生きているかのように感じられたのです。
それぞれの思想が、ひたむきさが、共存しあえたひととき。
そしてそれを引き裂く戦争。
本当に大切な事は何?
いろんな事が私自身の胸の中で爆発するようなラストでした。
鸚鵡でなくとも「もう十分だ!」と叫びたくなる。
そしてこの物語が、私たちに託す物の存在もしっかりと感じ、本を閉じました。
「家守綺譚」を読んだ後に読むと、隠された繋がりもあって面白いかも。

2007
07/15
Sun

すばらしかった

93.3% (14 / 15)
[No.5] posted by かっしー

本を読んでいる間、その世界にたっぷり身をゆだねていられる安心感がこの物語にはありました。
言葉の選び方、描写の仕方、すべてが鮮烈で、この青年の息づかいまで聞こえてくるようでした。
私は彼のいる世界の片隅に置かせてもらいながら、生命の根源に触れたような気がしました。
小説というものが持っている醍醐味や大きさを味わいました。
虚構の中に描かれる真実の鮮やかさを思いました。ただリアルなモノをそのまま写せばいいわけではない。
そんなことを痛感しました。

2007
07/14
Sat

大事な一言

92.9% (13 / 14)
[No.4] posted by 汲平

100年前、考古学の勉強のためトルコに渡った留学生の物語。
彼が下宿するのがギリシア人、ドイツ人、が住むイギリス人の女性が経営する下宿屋で、ムスリムの奴隷がいて、と、まさに民族混淆で、そこでの民族や立場を超えての友情(奴隷のムハンマドさえその一人だ)のさまは、同じ作者の『春になったら苺を摘みに』を思わせる。
ここに登場する鸚鵡が、実はこの物語の主役。だからこの物語は、ムハンマドが鸚鵡を拾うところから始まり、鸚鵡が日本に着いて終わる。この鸚鵡は実に見事なタイミングで、絶妙な一言を放って物語を回して行く。それはユーモラスで、含蓄に富んで、とても楽しい。
しかし、皆それぞれが革命や戦争に身を投じ、バラバラになって行く。死屍累々たる戦場で「It's enough!」(もう、たくさんだ!)と叫び、遠く日本の地で村田に向かって「友よ」と呼びかけるこの鳥は、民族対立の中で一番重要な言葉を知っているのかも知れない。

2007
06/27
Wed

我が友よ

100.0% (4 / 4)
[No.3] posted by 香桑

否応なく、時代も距離も隔たった、戦争の世紀の初頭、革命前夜のトルコに連れ去られる。これは、小説なのか。村田氏という実在した人の手記ではないのか、と錯覚する。
ローマやペルシャにビザンツ。トルコには帝国の歴史が幾重にも折り重なっている。道が集まり、物が集まり、人が集まる。だから、様々な神々も集まる。
その多様性は共存し得ないものなのか。時は流れ、人も変わる。貴重なものも、砂と埃に埋もれていく。時代の災厄が大きすぎて。やがて、西洋の合理主義という迷信が、世界を貪欲に飲み尽くす。
私は文化史が好きだ。名も残らぬ人々が生きていた。泣いたり笑ったり、腹を立てたり、平凡な日常を生きていた。その当たり前のはずの生活が、異文化で異時代の私にとっては目新しいことも多い。
しかも、小説には、不思議なことが不思議ではなく、当たり前のように日常に溶け込んでいる。儚くて鮮やかな尊い夢のような日々。その輝きが失われぬよう祈る気持ちを感じる素晴らしい本だった。

Disce gaudere.
友よ。楽しむことを学べ。我が友よ。歴史をただ繰り返さないために。

2007
06/01
Fri

つながることの尊さ

93.3% (14 / 15)
[No.2] posted by 田中ちひろ

梨木香歩さんの小説を読むのは初めてでした。ほんとうによかったです。これまで読んでいなかった時間が悔しいぐらいに。人が生きることの大切な意味、生まれ育った土地も、文化的な背景も、言葉もちがう人たちと、それでもつながることの尊さ。それをこんな物語にして提示した小説家の世界をもっともっと知りたいと思うようになりました。この本は確か数年前に高校生の読書感想文コンクールの課題書になっていたと思いますが、大人の方にも深い感動を呼ぶと思います。

2007
05/31
Thu

胸の奥に染み入っていく物語

88.9% (24 / 27)
[No.1] posted by ciffon

「家守綺譚」とのつながりに
「ニヤリ」と嬉しくなって
楽しい気持ちで読み進めていたら…
いつの間にか、しっとりやわらかな意識に包まれていました。
そして最後には涙が。

梨木さんの作品は根底でつながっている部分があり
何冊も読んでいくうちに
その(作家さん自身のものともいえる)テーマの理解が深まるかんじで、
とても心地いいですね。


CD・DVD・楽器 | インテリア・寝具・収納 | おもちゃ・ホビー・ゲーム | キッズ・ベビー・マタニティ | キッチン・日用品雑貨・文具 | ジュエリー・腕時計 | スポーツ・アウトドア | ダイエット・健康 | 水・ソフトドリンク | パソコン・周辺機器 | バッグ・小物・ブランド雑貨 | レディースファッション・靴 | 花・ガーデン・DIY | ペット・ペットグッズ | 家電・AV・カメラ | 車・バイク | 食品 | 美容・コスメ・香水 | 本・雑誌・コミック | 旅行・出張・チケット | 不動産・住まい | 学び・サービス・保険 | 百貨店・総合通販・ギフト | デジタルコンテンツ | 車用品・バイク用品 | インナー・下着・ナイトウエア | 日本酒・焼酎 | ビール・洋酒 | スイーツ | 医薬品・コンタクト・介護 | メンズファッション・靴