- [著]浅田 次郎
- カテゴリ:
- 文庫 (315頁)
- ISBN:
- 4043865015
- 発売元:
- 角川グループパブリッシング (2008/04/04)
- 価格:
- ¥ 580 (税込)
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続けて読むのは少し重い短編集
様々な個性的な人々の物語6編と、総括してしみじみと読ませる1編からなる連作集です。なんだかんだといいながら、例に寄って根が善良な人々にホロリとさせられますが,それぞれの短編の結末はハッピーとは言えません。続けて読むのは少し重いので一日1〜2話くらいがお勧めです。
そして最後の一編は、舞台の設定時間が少し戻ります。無理にでも読後感を高めようという感じもしないではありませんが、その仕掛けにはまりました。
どの話も可哀相すぎる
生きてゆくことは、生あるすべてのものにとって、決して楽なことではない。しかし、どうしてこんな悲しい話ばかり集めたのだろうか。浅田次郎さんの作品は、本編を含め今までに4冊読んだが、どの作品にも、人のために尽くすだけで自分はまったく酬われることなく、時によっては不幸を一身に背負って生き、或いは、自ら消滅したり、死ぬような人がいる。本人は泣き言を一切言わず、自分の当然の運命として受容する。「地下鉄に乗って」のみち子、「椿山課長」の佐伯知子、「天国までの百マイル」のマリ、そして、この作品では、眉子も四郎の姉も、カオルもがそうだ。霧笛荘の住人は、四郎のような一応の成功を得た人も含めすべて幸せではない。浅田さんはペシミストの作家なのだろうか、私は、解説者のように面白いと思って一息に読み終わることなど、とてもできなかった。可哀そうすぎるところは飛ばして読み、また、一時本を置いた。
禍福は糾える縄の如しというが、この世界には救いもあるのである。筆力と描写力は抜群であるが、世界や人間に対する洞察が浅いか片寄っている。人情味にあふれているというかもしれないが、人情にあふれた人が、どうして幸薄い「みち子」を消したり、「佐伯知子」の心情あふれる告白を聞きながら放置したり、眉子を自殺させたりするのか。 この点で、作家の才能は認めながらも、浅田ワールドなどといって全面的に陶酔することに違和感を感じている。
一気に読ませる素晴らしい作品だった
人生に迷った人間が最後に生きつく「霧笛荘」の住人の話が綴られている。
ここの住民は各人とも様々な過去を背負いながらも人間として失っていけない大事なものはきっちりと守りながら生きている様子にとても惹きつけられた。
特に(自称)やくざ者の鉄の生き様には感動した。
少々頭は悪いが、損と分かっていても引き受けてしまう男気にはとても共感した。
また、拝金主義が蔓延する世の中にあってここの住民達は多額の立ち退き料を積まれても大家のために立ち退かないなど、各処に感動。
浅田氏の作品はどれもとても面白いが五指に入る作品であると思う。
浅田節、全開!
浅田次郎を好きな人には、堪えられない一冊かもしれない。
叙情性+泣かせ+ペーソス……
ときどき浅田次郎は、短編に妙なうんちくを並べてしまうことがある。
これがやや鼻白むことがあるのだが、この短編集にはそれがない。
横浜の波止場の古アパート「霧笛荘」。
無一文で、わけありで、しかし愛すべき人が集まってくる。
管理人の老婆が、いい。
流れ流れてたどり着いた霧笛荘で、主人公たちはそれぞれ
人生の真実とか愛のようなものに目覚めていく――
という浅田節全開の短編集である。
いちばん良かったのは、登場人物に「悪人」がいないこと。
それがこの短編集の「優しさ」につながっている。
叙情、幻想、そしてノスタルジー
浅田次郎得意の叙情と幻想のたっぷりと盛り込まれた連作集。
舞台は横浜。
時代は現代。
ただ小道具に微妙にごまかされていて、
昭和の気配が強い。ノスタルジーを感じさせます。
そこも浅田タッチです。
登場人物は皆喪失感に苛まれながら暮らしている。
共通項は古いアパートの住人であること。
ホステス、やくざ、売れないミュージシャン、おなべなど。
一つ一つのエピソードはそれらの登場人物の過去だったり、
住人とのふれあいだったり。
ラストでは、霧笛荘には登場人物である住人はいない。
亡くなったり、引っ越したり。
この作品のもつ幻想的な佇まいが、
いっそう強まるのです。
やはりうまいなあ。
あるアパートに住む住人たちの不器用な生き方を描いた連作短編。話の中にその章の主人公の隣人が登場し、次のエピソードではその隣人が主人公、と言った感じで、見事につながっていく。個々の話は全体的に暗い話が多いが、浅田次郎得意の不器用だが優しく、愚直にしか生きられない人ばかりである。ただ、すべての章がよかったかというと、どうしても好きになれない話もあった。それでマイナス1の星四つ。しかし、やはりさすが浅田次郎、文章のうまさ、台詞の暖かさ、構成力の巧みさは超一級品である。そして、特に瑠璃色の部屋の章は素晴らしかった。ぼろぼろ涙が止まらなかった。あの章だけでも読む価値はあると思う。最終章のまとめ方も見事。やはりこの人の作品はいいなぁと、しみじみ思った。
