脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)

  • [著]V.S. ラマチャンドラン
  • [著]サンドラ ブレイクスリー
  • [原著]V.S. Ramachandran
  • [原著]Sandra Blakeslee
  • [翻訳]山下 篤子

カテゴリ:
単行本 (404頁)
ISBN:
4047913200
発売元:
角川書店 (1999/08)
定価:
¥ 2,100 (税込)
在庫状況:
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33,671 位
評価: 4.5
2008
10/22
Wed

不思議な脳の世界

[No.22] posted by G.B.

ラマチャンドランは、アメリカを代表する脳科学者です。この書には、幻肢や半側無視など、脳によって不思議な症状を見せる多くの患者が登場します。そして、彼らの症状は、まさに脳がどのようにふるまい、われわれの人間性を生み出しているのかを考察する手掛かりとなっているのです。

2008
02/26
Tue

不思議な患者を科学的に説明。苦労して読むだけの情報は十分。

83.3% (5 / 6)
[No.21] posted by MM

神経学者であるラマチャンドラン氏の著書を邦訳した書。同氏は、四肢を切断した後にも、その感覚が脳に知覚されるという幻肢のメカニズムについて、きわめて単純な方法で科学的に研究したことで知られている。本書では同氏の多くの研究論文に基づいて、精神疾患のような一見不可思議な症状を示す症例について、脳科学的な考察を述べている。また、他の研究者の多くの論文を総説として紹介している。自分の首を絞めようとする左手を、右手が押さえつけるという女性患者や、失った手で物をつかもうとする患者、笑い死にした患者などについて紹介している。個々の症例についての記載は理解できるが、解剖学的専門用語なども頻出するため、読破には数日は要する。

脳科学に画期的変化をもたらした機能的MRI(fMRI)による研究論文がほとんどなかった1999年に出版された書であり、紹介されている研究手法も古いものがほとんどである。しかし、論理的な思考で考案された実験方法は的を射たものが多く、本書の出版後に明らかになった事実とも整合性を保っている。紹介されている内容のうち、とくに鏡を使って失った四肢を復活させる錯覚をあたえる実験などは、単純ながらも読んでいて非常に面白く、単に脳科学の情報を得る以外にも、客観的思考の重要性が伝わってくる。背景となる不思議な症状をありのままに伝える各章の冒頭はは推理小説のようで、著者の文章力(と訳者の力量)が優れていることも本書が面白い理由と思われる。主張の根拠も巻末に明示されており、紹介されている論文をいくつか検証したところ、客観性十分でかつ面白いものばかりであった。

難点は、実験方法を図示していないため、文章だけでは理解しづらい部分もある点。ただし、同氏の論文には詳細な図や写真が掲載されている。上記問題点を差し引いても、一冊の書としての完成度は高く、非常に面白い。やや読破に時間を要するが、それに見合った情報は十分で、値段分以上の価値があると思う。星5つの評価。

2008
02/18
Mon

科学的見地から「意識」「自己」とは何かを鋭く掘り下げた力作

100.0% (3 / 3)
[No.20] posted by 増田裕昭

脳神経科学でありかつ臨床治療の経験も持つ著者が、科学的見地から「意識」「自己」とは何かを鋭く掘り下げ、非専門家にも分かりやすく書き下ろした力作です。

自らが携わった脳神経疾病患者の臨床治療の経験および、脳神経科学に関する深い洞察力に基づいて、その疾病の根本原因に切り込む当たりの態度は、やはり医者というよりは科学者の立場です。しかしながら、医者よりもより真摯に患者の個々の症状をしっかりと観察し、その患者に最適の対処法を見いだそうとする態度は立派です。

本書の題名にもなっている「幽霊」は、いわば「無意識の自己」とも言えるでしょうか。「視覚などの情報が脳で処理されること」と「見えていると認識すること」との違いをはっきりと読者に理解させてくれます。つまり、本人が見えていると認識していなくとも脳の中の無意識の自己は対象物を見ていると言うことです。

随所に心に残る言葉が見いだされますが、その中でも特に私が感銘を受けた言葉をここに紹介したいと思います。
『人間は他の哺乳動物とはちがって自分が死ぬ運命にあることをはっきりと自覚し、死をおそれている。しかし宇宙の研究は、時間を超越した感覚や、自分はより大きなものの一部であるという気持ちを与えてくれる。自分が進化する宇宙という永遠に展開するドラマの一部であることを知れば、みずからの命に限りがあるという事実のおそろしさが軽減される。(中略)シヴァ神の偉大な宇宙ダンスの一部であるとしたら、避けられない死も悲劇ではなく、宇宙との喜ばしい再結合とみなせるはずだ』
著者の洞察は凡百の哲学者のそれを超越していると言っても良いでしょう。

また、原註はそれだけをまとめても一冊の本になるくらい充実していますし、これだけの大著を読みやすい日本語に訳した翻訳も非常に好感が持てます。訳者の力量もたいした物です。

2007
07/16
Mon

人の心の不可思議さを実感

100.0% (3 / 3)
[No.19] posted by 佳少爺

 およそ人間の心というものは、我々が日常的に考えているよりも遥かに複雑で神秘めいたものがあるようです。すなわち、無くなったはずの腕に激痛がはしったり、麻痺して動かなったりする(!) 「幻肢」、自分の体も含めて左半分の世界を喪失する「半側無視」、特定の人に対する愛着を感じられなくなったが故にそれらの人々を偽者と思い込む「カプグラ・シンドローム」などなど、想像及ばぬような不思議な病理が、世の中には実際に存在するのだとか。
 本書は、これらのシンドロームを、心理学や精神病理の側からではなく、神経学の方向からアプローチすることにより、脳と心の一筋縄ではいかない関係に迫ろうとしています。そして更には、側頭葉てんかんと宗教感覚との関係や「クオリア」の問題を通じて、「意識とは何か」、「自己とは何か」という大問題に、西洋科学が取り組んでいく可能性を示唆しています。
 専門用語も少なからず登場するものの、全般的には平易で洒脱な語り口であり、楽しく読める本だと思います。人の心の不思議さに問題意識をお持ちの向きには、読んでみて損はない一冊だと思います。

2007
05/13
Sun

とにかく面白い脳の本

100.0% (5 / 5)
[No.18] posted by ワカシム

 何度も読み返してしまうほど面白い。著者は脳神経学者であり、幻肢治療のスペシャリストである。幻肢というのは切断した腕などが無いにもかかわらず、存在しているように感じる現象で、ひどい激痛を伴うこともあるが治療方法がなかったのだ。それを実に簡単な方法で治療した名医でもある。
 また、本書のキモは、脳の局所的障害によって生じる異常な事例の紹介である。半側無視という症状を示す患者は、知性は普通なのだが世界から左が消えてしまい、お化粧も顔半分しかしなかったりと凄いことになる。他にも興味深い症例はわんさと出てくる。
 似た内容の本では世界的にベストセラーになった『妻を帽子と間違えた男』があるが、私の所見ではこちらの方が5倍は面白い!
 これほど知的好奇心を刺激する本も珍しい。とにかくおすすめの一冊である。

2007
04/10
Tue

ラマチャンドランと言うインドっぽい名前も好き。

100.0% (3 / 3)
[No.17] posted by mayumi

オリバー・サックスからラマチャンドラン。ラマチャンドランからアマルジャンへと私の場合は続きました。脳の側頭葉にある「神の回路」については私の脳がショートするぐらいおもしろかったです。本当は難しいことなんだろうけど、文章も分かりやすいし、最後まで楽しく読めました。「脳のなかの幽霊、ふたたび」もあります。

2006
11/11
Sat

脳科学の将来性を強く感じる一冊

100.0% (5 / 5)
[No.16] posted by agasi

リハビリテーションにおける「認知運動療法」に関心をもっている私にとって、非常に示唆と、勇気を与えてくれる本でした。2回読みました。ニューラルネットワークに辟易していた私にとっては、ラマチャンドラン氏の現実的で、革新的な研究手法に教えられること大でした。そして感心するのは、臨床の現場で、柔軟かつ臨機応変に実験や、観察を行い、それが脳科学の知見に裏打ちされたものであるということです。今や脳科学の知見は膨大ですが、理論不在の中で、本書は今後、重要な役割を果たすのではないかと感じます。

2006
09/03
Sun

とにかく面白い

50.0% (7 / 14)
[No.15] posted by nonsense

文字通り面白かったです。
訳者も(私のキライな)養老孟司もみんな口を揃えて「とにかく面白い」と言ってる通りです。

ちなみに、著者は前書きで「カール・セーガン、スティーブン・ジェイ・グールドの著作を楽しんだ」と言ってますが、私も一緒ですね(^o^)
まあ、レベルは違いますが・・。

2006
09/01
Fri

自分とは何か

100.0% (6 / 6)
[No.14] posted by 赤々丸

この本を読み終えて思ったことは、科学を突き詰めると最後は「自分=存在」という哲学的な難題に迷い込まずにはいられないのだな、ということでした。

著者は、「自分(意識)」という人間にとって最も基本的な前提さえ、脳という物質の制限の中で展開する一連の様式の一局面に過ぎないのだということを、いろいろな実例を交えて語っています。そして、過程の一部に瑕疵が生ずれば自分(意識)というものはもろくも崩壊してしまう。

著者は、もろくも崩壊しうる自分(意識)とは決して特別のものではない、宇宙という全体の一部なのだ、それを知ることによりかえって安心が生じるのだという趣旨の事を云っています。正直をいって僕は著者のように達観はできませんが、自分というものについて考える上で、この一冊はとても良い本だと思いました。

ただ、最終章の「クオリア」についての記述は僕にはちょっと難解でした。

2006
08/18
Fri

脳の仕組みを知りたい方へ

25.0% (1 / 4)
[No.13] posted by jiateng4

脳の各部位がどの様な働きをしているのか、を脳障害や体躯障害の患者を使った臨床実験で明らかにしていくドキュメント。事故で片腕を失った患者が、無くなったはずの腕の痛みを感じる事例など、思わず「ほんまかいな?」と唸ってしまうものがたくさん紹介されています。さらにこれらの事例を元に、脳の働きをわかりやすく解説している点が秀逸です。


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