- [著]ジェームズ・スロウィッキー
- [著]小高 尚子
- カテゴリ:
- 単行本 (286頁)
- ISBN:
- 4047915068
- 発売元:
- 角川書店 (2006/01/31)
- 価格:
- ¥ 1,680 (税込)
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「みんなの意見」を活かす条件
本書の主張は一言で言うと:「集団は答えを知っている」(p11)である。
問題設定の側からみて、必ず明快な答えが存在する「認知の問題」だけでなく、他人の行動も加味する必要のある問題「調整の問題」や自己の利益だけ追求すると全体の利益を損なう恐れのある問題「協調の問題」のような複雑な問題についても、豊富な実例や実験を引用しながら「集団の知恵」について検討している。
その結果、すべての場合に無条件で、「集合知」の優位性が発揮される訳でなく、一定の要件を満たす必要があるという。
すなわち、意見の
1、 多様性
2、 独立性
3、 分散性
4、 集約性
という4つの要件を満たす集団は、正確な判断を下しやすい。(p28,p40)
さらに、先の四条件の加えて、
質問を提示する際、「一般的な利益に関わる意思決定を下す」ように要請すること。
つまり、あなたは個人がどうしたいかという私的利益についてではなく、公益につながるよい解決策を尋ねたときに良い答えが出てくるという。
こうした条件下で、集団の到達する結論が「一個人より常に知的に優れる」。(p14)
というのが本書の主な主張となっている。
過去の事例から「集合知」の有用性を単に再認識する意味合いだけでなく、その有用性を担保する四条件、特に「個々人の意見を集計して集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在」=集約性を明示したところに、本書の意義があると思われた。
パーソナライゼーション、ページランク・アルゴリズムの恩恵を、無意識的にも日常的に享受できる現代的状況にあって、意見集約・決定メカニズムの今後の方向性やそのリテラシーを考え直す、良いきっかけを与えてくれたからだ。
日本人こそ読むべき本
会社のプロジェクトチームに入っていると、そこで話されている「常識」と、チームの外で聞く話とが大きくずれていて「あれ?」と思うことがあります。本書はそんな心理状態を見事に解説してくれる、とてもありがたい本です。重要なのは、「集団が賢い判断をするためには、個々人ができるだけ独自に考えて、行動すること」が不可欠なんですね。われわれ日本人が弱いところなのでは?テレビのニュース番組の解説に「そうよねぇ」とうなずいてしまう人こそ読むべき本です。
万人寄れば偉大な集合知
集団や群集が到達する結論は賢明な一人の個人よりも常に知的に優る。
制約がどんなに多くても一つ一つの不完全な判断が正しい方向へ積み重ねられると
集団として優れた知力が発揮される。
「ビンの中にビーンズが何個入っているか推定する」「迷路の交点で人々が
とった選択肢」などは一個人よりも群集の方が正確だった事を本書は
指摘しています。
例えば私がこのレビューを書く前に本書のレビュー数は33、投票は531
されていて賛成票は346ありました。賛成率はおよそ6割4分です。
つまりレビューの上手下手はあるにしても、これだけの数のレビューがあり、
個人個人の情報を全体的に組み込まれているので、本書の情報としては
信頼性が高いと言えます。
また単に投票せずに閲覧された方々はこの10倍以上はいる事でしょう。
書評家の書いた書評よりも映画評論家の書いた映画評論よりも音楽評論家の
書いた音楽評論よりも集団のレビューの方が信頼性があります。
何故ならば様々な情報が組み込まれて私的バイアス(偏見、先入観)
が極端に減少するためです。
「万人寄れば偉大な集合知」は「三人寄れば文殊の知恵」よりも
役立つ事でしょう。
結局、何が言いたいの?
「集団の知恵」ということばの意味をあまりに広く捉えすぎていて、結局、この著者が何を
伝えようとしているのか、が分からない、というのが読後感。
意志決定においては、特定の専門家個人よりも、多様性、独立性、分散性、集約性を担保
された集団の意見の方がしばしばより正確なものである、ということなのか? 単に囚人の
ジレンマに陥る愚かさを説いているのか? ハイエクの「自生的秩序」の話がしたいのか?
トップダウンのディスアドヴァンテージに比して、ボトムアップのアドヴァンテージを強調したいのか?
例えば、情報カスケード状態と集団の知恵の差異についても筆者の議論からは極めて
主観的な印象を受けざるを得ない。極端に言えば、失敗すればそれはすべて前者で、成功を
収めればそれはすべて後者、とすら聞こえるほど。正直なところ、あまり説得的ではない。
具体例の説明も非常に冗長で散漫。
おそらく上手な書き手ならば、この本の厚みを4分の1にはできることだろう。逆に、同じ
厚みならば、より根拠に基づいた考察が付されるに違いない。
そしてもうひとつ。
ギュスターヴ・ル・ボンについても筆者にはひどい誤解があるようなので、コメントを
しておく。
ル・ボンが「群集心理」の名のもとに語っているのは、スロウィッキーの言うところの
「暴徒」の話であって、集団の知恵の可能性を一概に否定するものではない。
「みんなの意見」が、どうも納得できない人に
当たり前のことと言う人もいて、
この本のいいところが伝わらないかもしれないのだが、
「みんなが正しい」ということが、
専門家一人の判断より
確実に正しい判断を引き出していることが科学的に証明されていたり、
みんなの意見が正しくなくなるメカニズムを解明していたりと、
私には非常に興味深いことばかりかかれていて感心しました。
自称 玄人 の投資家の方はぜひ一読
ある程度、投資の世界に慣れると
一般大衆のことを小馬鹿にしきった態度を取るようになる投資家が現れる。
例えば空売りや、逆向かいで逆張りで対応するのを得意とするようになる。
愚かな大衆から掠め取ってやるんだという台詞を公言と吐くようになる。
それはそれで、構わないのだが、2003年の4月末からの日経225の急騰に逆向かった人や
穀物相場の高騰に逆向かいで売り向かった玄人など、
大衆に逆らったために相場に敗れてしまった人のほうが、実は、被害金額も多く
悲惨な結果に終わっているのですね。
玄人気取りの売り上がりナンピンで飛びかける癖が多い人は
ぜひ読んで頂きたいです。
一体いつから、大衆の意見=衆愚と決め付けるようになったのか。
序章から、1頭の牛の重さを当てる例、ジェリービーンズの数当ての例
など刺激に満ちた話が始まり、LTMCやバブルにも言及しています。
渋滞・囚人のジレンマに似たような税金のテーマ
(税金を払いたがらないアホトレーダーも多い)
などかなり盛りだくさんの内容であります。
お勧めいたします。
竹本淳一
読みやすい本はいい本だ。でも読み辛くても、良い本もある。
おそらくこの作者は民主主義に対して非常に高い理想を持っていて、驚くほどに幅広い好奇心と、知識を持った人なのだと思う。それらがたった1600円の本に詰め込まれてしまった、傑作でもあり迷作でもある。
この値段と、簡易なタイトル、及び親しみやすい表紙に期待して、「休日にちょっと難しい本を読みたい」といった向きの需要には全くそぐわない一冊でした。
テレビ番組の前振りから始まったかと思えば、畳み掛けるように引用が続き、エピソードはビジネスを中心としながらも政治から科学、経済、宇宙、スポーツと縦横に展開し、陳列され続ける。とにかく多すぎる。そして唐突に、頻繁に挟まれる(作者がそれを裏付けると関連付けた)各大学での実験の紹介。
困ったことに、それらが読み辛いけれども内容を持っていて、興味深く面白い。時に一文に止まり、何度も読み返して紙に主語と述語と彼の主張を区別してやっと意味が分かるといった文も多い。もっと一つひとつのエピソードを噛み砕いて、焦点をしぼり10冊くらいに分けて売ってくれ、と思うくらいのコンテンツボリューム。とにかく疲れた。
この本の一つだけ親切で人間的なところは、必ず確章の終わりの1センテンスで「こういうことがいいたかったのだ」という作者のまとめ、本音のようなものがあるところだろうか。例えば『第8章 科学 協力、競争、名声』のラストはこうだ。
『 科学の世界では、主張している人が誰であるかに関係なく、ほかのどんな理論よりもデータをうまく説明できるというそのアイディアに内在する価値ゆえに業績として認められる。
これは幻想にすぎないかもしれないが、とても大切な幻想だ。』
読み辛いから4つ星。コンテンツ的には10個くらい星があってもいいんじゃないかと思う。
たくさん集まればすばらしい知恵が出るのではない
内容は結構専門的で、題名から平易なものを期待するとその難渋さに平行してしまうのではないだろうか。
装丁や題名で読みやすさをアピールすることも大事だが、内容とのバランスも重要ではないのかとも感じた。
内容は集合知である。
一人の優れた人間が考えるより、並、もしくは並以下の人間が集まって考えた結果の方がより正確であったりするというものである。
そのような優れた結論を導くためには集団の多様性、成員各自の自立性が保証される必要がある。つまり、文字通りの群衆である必要があるということだ。イエスマンの集団でも集合知は生み出されないし、衆愚に陥っても集合知が形成されることもない。
集合知の生じる集団とは詰まるところ、理想的な民主主義の世界である。
とにかくみんなを集めて話をすれば優れた結論が出るというわけではない。誰かが集団をリードして結論を導けばよいというものではない。著者は種々の成功例・失敗例を挙げて論を進める。理想的な集合知を導く集団というものはなかなか存在しないことがわかる。
そこに現在注目されるのがウェブの世界である。ウェブに集うということ以外に共通点のない人々の間であれば種々のしがらみも利害もない。理想的な集合知の生じる環境ができるのである。ウェブが世界的につながるために成員が多いので集合知が生じるわけではないことに注意が必要である。
集合知のすばらしさは世間でも喧伝されている。しかし、集団の多様性と成員の自立性という要件についての理解がおろそかになれば、衆愚に陥る可能性はぬぐえない。集合知はすばらしいのは事実だが言葉が先行しすぎている嫌いがある。現在のウェブの世界の一部を見てもわかるとおり、暴徒と化してしまう事例が多々見受けられる。やはり、集合知の形成は難しいものなのだ。
読みにくい
論旨や内容以前の問題が多すぎ。
各章ごとのタイトルが簡単すぎて意味不明。タイトルを読んだだけで内容がわかるようにしてほしい。
「はじめに」が長すぎ。
文章が小難しくてわかりにくい。話があちこち飛んでいて言わんとすることが把握しにくい。
内容も、本のタイトルと装丁から想像するのとは違い、統計学や社会学の専門家でない一般人が電車の中などで気軽に読めるような本ではない。かなり難解だし、必死で読んでもあまり役に立たない。そう感じたので、図書館でせっかく借りたものの数ページも読まずに返却してしまった。
役にはたたないがおもしろい
集団の知恵は優秀な個人の判断を凌駕する(ことがある)、ということが書いてあります。そして、それが単なる「衆愚、烏合の衆」にならないための条件として「多様な考えを持つ人がそれぞれ自分の私的情報に基づいて独自に判断した場合」と説明されています。実際にはこの条件を満たすのは簡単ではないので、これを読んで個人が明日から何かができるわけではないのですが、読み物としては面白かったです。沈没した潜水艦の位置を特定するために、バラバラの大勢の専門家の「賭け」の合計がかなり正確だったという冒頭の逸話がとても新鮮でした。
