- [著]石田 衣良
- カテゴリ:
- 単行本 (244頁)
- ISBN:
- 4048735497
- 発売元:
- 角川書店 (2004/07/27)
- 価格:
- ¥ 1,470 (税込)
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傷ついた人がふっと立ち上がる瞬間。
石田衣良の短編集といえば、都会の若い人たちがおしゃれなやりとりをする、
一昔前のトレンディドラマ(懐!)風味のものをいくつか読んだことがありますが、
これは、人の心が理不尽な外的要因(突然の事故や犯罪など)によって傷ついて
それが誰かとの「約束」で再生していく…そういうお話ばかりを集めた短編集です。
作者が、池田小学校の殺傷事件をきっかけに時には涙を流しながら描いたと
いうだけあって、読んでいて「こんなことがあったら心が壊れそうになるよ」と、
それぞれ「友達が通り魔に目の前で襲われた」「家族が突然大病をした」などなど、
ありえるけどさほど頻繁に起こることはないし、あってほしくない設定の短編ばかり。
だけど、そんな経験が無い普通の生活をのんびり送っている鈍感な人がだらだら
読んでも、いつのまにか引きこまれる力がある小説ばかりで、一気に読みました。
運動も勉強も出来た親友を通り魔に刺されて「僕が死ねばよかったのに」という
小学生の男の子の言葉も、それを聞いた両親が「悪いと思うけど、私たちはあなたが
生き残って良かったと思ってる」と言う、言ってはいけないけど正直な答えも、
実際にその場で聞いているようなリアリティ。
傷ついた人がすっきり立ち直る話って、ドラマや俗っぽい小説だと大体
「それ、立ち直ってないけど妥協してそういうことにしただけだよね?」
(例えば「セ〇チュー」でいとしい少女が死んで10何年も引きずっていた
主人公が、映画やドラマだと、中途半端な恋愛をして「これでよかったんだ」と
なんかムリにまとめてるようだったり)みたいな、読んでいてウソっぽさを
感じるのが多かったのですが、この短編集は「絶望から1歩浮上する」という
その浮上する瞬間をさらっととらえたみたいで「あ、なんとかなりそう?
糸口、見えた?」と主人公たちが歩き出したことにほっとする。そんな感じです。
希望
人生を一度諦めた人が、再生していく七編の短編小説が収録されています。
石田衣良さんの本に「LAST」という本があります。「LAST」は、追いつめられた人間の最後の一閃を描き出した作品で、読んでいるこちらまで追いつめられているような、気の弱い人だと心身共に健康な状態でないと完読すら危ぶまれる(途中で挫折しました…)作品でした。
ところがこの本は、心に不安を持つ人に希望を与えてくれます。犯罪被害や不登校、病気などで明日を生きる希望を失いつつある人々に、生きることの素晴らしさを教えてくれます。もちろん、そのような苦しい状態にある方だけでなく、ただ漫然と生きている私のような人にも、希望を分け与えてくれます。
ちなみに、表題作「約束」は、池田小学校事件の被害者を思いつつ書かれた作品だそうで、被害者を思うあまり、涙しながら執筆したとのことです。このような事件は二度と起きて欲しくないものです。
軽やかな連作集
収められている多くの作品に、死の影がちらついているのにも関わらず、不思議と軽やかな読み心地の一冊です。
特に、交通事故で片足を失いわがまま放題の一人息子がダイビングに熱中し出す「青いエグジット」や、小学四年生の息子が心因性の難聴になる「天国のベル」など、<家族>がキータームになっている作品に<さりげなく輝く明日>のようなものを感じて、ほろりとしました。
どの作品も品がよく、著者のうまさは存分に伝わってくるのですが、あまりに滑らかに読めてしまう。もうちょっと引っ掛かりが欲しいと思い、星は3つにしました。
絶望からの再生
人にはそれぞれ、かけがえの無い人がいます。そのかけがえの無い人が亡くなったり、怪我をしたら・・・、希望を失った人達の再生を描いた短編集です。
「泣ける」を売りにされると、醒めてしまうのですが、泣かされてしまいました。石田さんは、自信があったんでしょうね。
考え方次第で、人はいくらでもやり直しができるんです。
うまいなぁと思った
誰もが、自分の身に起こるとは思っていないけれど、絶対に起こらないとは言い切れない出来事。
そんな出来事にぶつかった時、人はどう感じ、どう行動するのか。
読み始めるとあっという間に、石田ワールドに引き込まれていき、どんどんページが進みます。
ただ、どれも、きれいにまとまりすぎているというか、ストーリーが甘いような気が。。。
よく言えば、希望に満ちた結末ということかもしれませんが、私は「現実ってこんなに甘くないよな〜」と思いました。
そこが星1つ減点です。
でも、読みやすいし、読んで損はない一冊です。
何だかんだいって、私も「ハートストーン」で泣きました。
バックトゥライフのきっかけ
池田小学校の事件から作られた「約束」を始め、人生で大きなものを失った人々の立ち直りを描いた7つの短編集。まず、こうしたテーマそのものがとても意欲的で、作者が今脂が乗っている状態なんだな、と感じました。
愛するもの、大切なものを失ったあと、人はどうやってまた自分の人生と向き合っていくのか、この物語ではすべてそのきっかけになる事項があるのですが、実際には時が流れるのを待つしかないことが多いのでは、と思います。いずれにせよ、物語の最後には明るい未来が見えて、さわやかな読後感です。
私個人としては、「約束」と「ハートストーン」に泣かされました。やはり、子供が「死」に直面するというのはむごいことですよね。
作者本人をはじめ、帯のコピーでも、「絶対泣ける!」と「泣く」ことにばかり重きを置いた部分がちょっと鼻につきました。
「再生」・・・簡単な気が
石田氏の作品はこれを含めて2冊しか読んでいません.石田ファンになりそこなっている一人です.『今,旬の作家』と持ち上げられている割に,それに同調できない私.
「軽いなぁ~」というのが,率直な感想.インスタントな,「とりあえず泣いとけ」,みたいな押し付けを感じる.手軽に泣きたいと思ったら,読めば,まぁ泣けるかも.テーマは悪くないのに,勿体ない.
人生,本当にかけがえのないものをなくしてしまったとしたら,恐らくこれほど簡単には人生に帰れない.ひとは,もっと複雑に出来ている・・・と,こういう現実的なことを抜きにして,「泣きたい」ひとにはお勧めできます.
確かに泣けます
何も考えずに読んだら、ぼろぼろ泣けました。感動モノの小説はあまり読まないのですが、嫌みなく読めるモノが多くて後味は良いと思います。迷ってるなら読むべき!短編だからすぐ読めるところも良いです。
ファースト・ストーリー
理不尽な事件などで心を挫かれた人たちが、その悲しみから立ち直っていく姿を描いた癒しの物語を集めた短編集です。帯にあったとおり、泣ける話もあったので、人前で読まなくて良かったと、胸を撫で下ろしました。
どの話もきれいにまとまっていて、すごく読みやすく、さすが文章の名手だなあと、感心しました。きっと石田さんにかかると、まるで「ファーストフード」のように、世の中に散らばるさまざまな素材はあっという間にひとつのストーリーとして組みあがっていくのだろうなと思います。ただ、それだけに何というか「人工的」なものを感じました。苦悩や喜びの混ざった混沌とした世界が持つ魂のようなものはなく、きれいだけどなんとなくよそよそしいホテルや病院の清潔さのようなものと言ったらいいのでしょうか。感動するストーリーを読みながら、しきりに「泣け、泣け」とつぶやく声が聞こえてくるような気がして、ストーリーに今ひとつ没入できませんでした。
泣けた!
ほんの小さな約束が、人に生きる勇気を与えるときがある。自分ではどうしようもないときに、さしのべられる手が何よりも救いになるときがある。傷ついた心、悲しみに沈んだ心が癒されるのは、きっとそんなときなのだろう。読んでいて、泣きたくなるような話ばかりだけれど、切ない中にほっとするような結末も、ちゃんと用意されている。読んだ人は、だれでもやさしくなれるだろう。そんな作品だった。
