- [著]東野 圭吾
- カテゴリ:
- 文庫 (382頁)
- ISBN:
- 4061856987
- 発売元:
- 講談社 (1994/06)
- 価格:
- ¥ 620 (税込)
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破壊
これを読んで
この作家は生まれるのが数十年早かったら確実に教科書に登場すると思いました。
東野圭吾にしては凡作
他の東野作品と同じく読みやすい。脳の移植について簡潔に流して、移植によってもたらされる主人公の苦悩に焦点を絞っていく所などはさすがと思うのだが、あっと驚くオチや意外な展開を期待して読んでいたために、そのままするすると終わってしまった時はがっかりしてしまった。
この本の楽しみ方を間違えていたといえばそれまでなのだが、特に脳のドナーについては、主人公の変化を見ていれば容易に想像のつく人物であり、正直もう一ひねりあるのかと思っていた。当初ドナーとされていた人物は、本来のドナーと別の性格というだけの事で本筋に全く絡んでこないし、ご丁寧に名前をつける必要があったのかとさえ言いたい。
東野作品は好きなので、余計に愚痴っぽくなってしまうが、こういう形の本とするならば、もっと主人公の内面と、人間の人格とは何なのかという本質の部分に深く切り込んで欲しかったし、その点でも中途半端に思う。移植前との変化に苦悩するのは、入り口部分に過ぎないのではないだろうか。
切なかった
気が弱く、けれど優しい成瀬純一は、ある事件に巻き込まれ、頭に銃弾を受けてしまう。
本来なら助かるはずのなかった彼だが、世界初となる脳移植を行うことにより、一命を取り留める。
だがそれ以来、穏やかだったはずの純一の性格が、徐々に変化して行って…
切ないお話でした。
自分のドナーを探すミステリーチックな部分もよかったのですが、個人的には、ジュンが変化していく自分を認めていく過程がやりきれず、引き込まれました。
自分の変化を必死に食い止めようとしながらも、もうどうにもならない、と諦観してしまうジュンの感情が痛かった。
ラストはたぶん、精一杯のハッピーエンドだったんだろうなあ、と思いました。
初めて読んだ東野作品(ネタバレあり)
おもしろかったです。思わせぶりな描写から展開は読めてしまいますが、それゆえ登場人物の内面に集中できた様な気がします。大学の成瀬の訴えへの対応の遅さは妙にリアルで良かったです。
結局最後は二重人格みたいになっちゃいましたけど、やっぱり本人は自分の中の抑圧された暴力性なんかには気がつかないんですね。途中で本当に関谷がドナーなんじゃないか、関谷のいいかげんさが成瀬の抑圧を解放してしまったんじゃないかとも思ってしまいました。心理学者の治療を受け続けて自分と京極の共通点を見つけて折り合いを付けて成瀬でも京極でもない人間として生きていく、というのがベストだったのかなぁ。
しかし政治家に脳移植ってのはいいかもしれないと思いました。どんどん移植してマイルドな脳みそになっていけば孔子さまみたいな人間ができあがるんじゃないでしょうか(笑)
初めての感覚
脳移植のお話。
テレビで脳移植した人が、ドナーの影響を受けるなんてゆー話を聞いたことがあるけど、そんなレベルじゃない。
読み終わったあとのこの感じ。
涙の出ない悲しさ。「泣く」なんてことを超越してる。
この焦燥感。
脱力感。
無力感。
喪失感。
読み終わったあと、ボーっとしてしまいました。
言葉だけで、ここまでの感情を読み手に伝える東野さんは、本当にすごいと改めて思いました。。。
そして結構古い本なのに、新鮮!!
東野さんの先見性?を感じました。。。
「人を信じちゃいけない。人が人を愛するなんてことが、あるはずがない。」
私は、恵にはなれないな。。。
ぞくぞくしました
ある日、不幸な事件に巻き込まれた好青年が世界初の脳移植手術を受け、それによって心身がむしばまれていく。まさに変身。彼を愛する彼女は、その変身をとめられるのか?支えてあげることは出来るのか?様々人物がうまく絡み合っていきます。
後半を一気に読み終えた後は、ちょっと後味悪かった。怖かったし。なかなか寝付けなかった。最後の堂元ノートがなんでこんなにあっさり終わるの?とか思いました。最初も堂元ノートから始まったので最初と最後は統一されてますが、なんか納得できなかった。今更、いい人ぶるなよ!と怒りさえ感じてしまいました。
前半はどうなるんだろう?とわくわくしながら好青年が変身していく様を読んでいましたが、だんだんと切なく、こっちまで苦しくなりました。
なんか、こっちまでまともにいられなくなりました。正常とそうではない境がはっきりしていそうでそうではないのかもしれないと思い怖くなりました。
でも、必死になる彼女の姿が痛々しかった。でも愛を感じました。彼も彼女を心から愛していたのです。
脳を移植されたら、いったい誰?
このSF的物語は、微妙な人間的機微を語る。
もし、脳移植なんて事が行われると、誰もが疑問に感じる事が、そのまま物語になっている。
つまり、他人の脳を移植されたら、移植された方の人間は、いったい誰なのか?
こんな疑問が、緻密な物語に仕立てられていて、大変興味深い。
著者が、ここで構築した物語は、医学や科学が万能ではない事を前提にしている。
そして、博士が語る、この研究の目的に関しては、少しだけ共感は出来るが、やはり、狂っていると感じた。
絵ではなく、音楽に興味を示す主人公の姿に、強く惹かれる。
そして、最後の一行は、強烈な魅力を放つ。
脳移植に関して、当たり前とも思える内容も、いくつも盛り込まれる。
しかし、主人公の内面に、深く共感出来る。
「私」とは何か
「私」とは何か。この手は「私」の手であり、この心臓は「私」の心臓である。手も心臓も、「私」が所有しているモノのひとつである。では「私」とはいったい何なのか?
「私」があって、「私」の肉体がある。肉体が滅びようとも、私自身はなくならないと考えるのが「霊」の考え方なのかもしれない。実際、「私」と「私の肉体」は切っても切り離せない関係にあるのかもしれないし、別々でも働くのかもしれない。答えはわからないが、この本を読んだ私は、前者なのではないかと思った。
自分自身とは何なのか、自分自身が死ぬということはどういうことかを考えさせられた一冊。
悲しかった
脳移植をして人格が変わっていくところをリアルに表現してある辺りはさすがだなと思いました。
最初の方で、誰の脳を移植したのか察しがついてしまいましたが、それでも読むだけの価値はありました。
恋人がだんだん自分から気持ちが離れていくのを感じている辺りが悲しかった。
自分の足跡
すごくリアルに自分が自分でなくなっていく過程が描かれている。「生きているということは自分が足跡を残していくことだ」という一文には深く納得。アルツハイマー患者は自分が残した足跡が消えていく。でも主人公、純一は自分が残してきたはずの足跡がどんどん他人のもののように思えてくる。どちらも生きていくのが空しくなるだろう。でも愛する人を愛したい気持ちがなくなっていくのを止められない、しかもそれを自覚しているという点においては後者のほうがつらいだろうと思う。最後に純一があの絵を描き残してくれてよかった。
