狂食の時代

  • [著]ジョン ハンフリース
  • [著]John Humphrys
  • [著]永井 喜久子
  • [著]西尾 ゆう子

カテゴリ:
単行本 (289頁)
ISBN:
406211156X
発売元:
講談社 (2002/03)
定価:
¥ 1,995 (税込)
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評価: 4.5

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第2次大戦後、安い食品が十分に手に入るようにするために行われてきた食糧生産現場の実態に迫り、その結果、環境や食品の質にどんな変化が現われているか、そこに潜む計り知れない危険性に対し、本書はきわめて深刻な警告を発している。

著者は、イギリスで最も尊敬されているジャーナリストの1人であり、自らも農場を経営し、農業と深くかかわってきた。自分自身の体験をもとに、膨大な記録や専門家たちへの取材を通して書かれた本書は、出版と同時に大きな反響を呼び、世界各国で出版された。

現在の食品店の棚には、種類も量も実に豊富な食品が並んでいる。イギリスでの食糧増産は、戦時中の困窮の反動から、戦後50年にわたり一貫して追求された政策だった。増産は見事な成果を上げたが、一方では生産の方法を大きく変えた。農薬や化学肥料が大量に投入され、工業的に農産物を生産する集約農業が行われるようになった。そのうえ、その海域の生態系を破壊してしまう魚の養殖が始まり、成長を早めるために鶏や豚に抗生物質が投与されるようになった。

ミルクの出を良くし、経費を抑えるために、草食動物の牛に共食いまがいの肉骨粉を与えたため、BSE(いわゆる狂牛病)が発生したのは、手痛いしっぺ返しの序章に過ぎないのかもしれない。輝かしいバイオテクノロジーによる遺伝子組み換え作物については、著者は「最大の賭けが始まっている」とその危険性を指摘し、危惧する。

本書の「解説」で、ジャーナリストの筑紫哲也が書いているように、「あのイギリスでさえ、こうなのだから、私たちの国ではもっとひどいことが起きているのでは、と恐ろしい想像が働いてしまう」という感想をもつ読者は少なくないだろう。

著者は、「これは絶望の書ではない」と述べ、「同じ過ちを二度と繰り返してはならない」「信じてはならないことがある。人間は偉いのだから、好きなことだけやって後始末などしないでもよい、という考えだ。(中略)そんな時代はもう終わりにしようではないか」と訴えている。これはまさに、イギリスに限らず、全世界に向けてのメッセージである。(加藤亜沙)

2006
03/23
Thu

人類はいつ目覚めるのか

85.7% (12 / 14)
[No.5] posted by 空は空色水は水色

自分の癌、子供のアトピーや喘息、BOOKOFFの店長時代に200人以上の幼稚園から始まる子供の万引き犯から感じる異常性をこの本の内容から少しは理解できると思いました。人間の体は食物から出来ます。この重要なことを無視した現代の食生活や、利潤のみを追求する悪魔が経済や政治を握っていることを痛感します。わかりやすく記述してあり、たくさんの人に読んで頂たい本です。

2004
07/15
Thu

本当に読みやすい

94.7% (18 / 19)
[No.4] posted by casserole

「なぜ安全ではない食品が市場に出回るのか」、行政・農家・企業・消費者をめぐる「しくみ」を中心に説明される。安全ではない食品が市場に出回るのは、単なる偶然ではなく、出回るべくして出回っているということがよくわかる。原因と結果が紹介されるので理解が進み、固いテーマなのにも関わらず、おもしろいと感じることが出来る。頭が痛くなったり、むやみに暗い気持ちにさせるようなトーンではない。話術?もすばらしい。テレビを見ているような感覚で読める。文章に勢いがあり、また、テーマ別に話が展開されるので、飽きずに読み進められる。

2004
03/22
Mon

食産業界の虚構を暴く・・・

66.7% (12 / 18)
[No.3] posted by yhamee

ジョン・ハンフリーはイギリスの筑紫哲也である。どちらも英国と日本で現在最も尊敬されるジャーナリストの一人である。しかし、筑紫が早稲田の政経卒なのに対し、この本の著者は地元ウェールズの高校を卒業しただけである。ハンフリーは筑紫より8歳ほど若いが、新聞記者として経歴をスタートし放送に転じ、数々の国民的な賞を受けている。異なるのは筑紫が現在母校の教壇に立っているのに対し、ハンフリーが西ウェールズの農場を経営していることであろう。そしてなによりもハンフリーは筑紫よりも、本人の言葉を借りれば、robustである。ラディカル、あるいはインディペンデントであるといってもいいかもしれない。彼がどのような人物であるかは、彼がキャスターを勤めるBBCラジオ4のニュース報道番組『トゥデイ』のHP上にある彼の紹介ビデオを見れば一目瞭然である。彼のジャーナリスト魂はまさにイギリスの宝といっていい。最近イギリスに出かけた人は、サーモンがなぜあんなに安くなっているか不思議に思うだろう。スコットランド産のものでさえ、というよりスコットランド産だからこそ安いのである。また、かつては自給率が現在の日本ほどにしかなかったイギリスがどのように飛躍的に自給率を上げたか不思議に思っていた人もいるだろう。しかし今ではこういった消費者幻想に対して警鐘を鳴らさないジャーナリストは英国にはいない。その先頭を走るのがハンフリーである。狂牛病は言うに及ばず、食品添加物、殺虫剤、養殖汚染、食肉に潜む細菌、遺伝子組み換え食品など、彼の提起する問題はそのまま現在の日本の食卓の問題である。ジャーナリストたちの果たす役割は私たちの想像以上に重要なのだ。私たちの未来がかかっているといっても過言ではない。なぜならこの本の原題が指すように、食をめぐる巨大な(産業)ギャンブルの虚構と実態を暴けるのはもう彼らしかいないからである。

2002
11/23
Sat

慎重な書きぶりがよい。

85.7% (12 / 14)
[No.2] posted by えめふろ

「私たちがただひとつ確信をもてることは、私たちは確信を持てるほどにはわかっていないということだけだ。」...「買ってはいけない」のような、いわゆる「ホラー本(日垣隆氏による)」と決定的に異なるのは、「決め付け」的な態度を廃して、最後まで慎重な姿勢を崩していない点です。

2002
05/28
Tue

私たちの食とは…

73.7% (14 / 19)
[No.1]

今私たちが口にしている食材はいったいどのように作られているのか、不安を感じている人も多いはず。
スーパーに行けば旬に関係なく一年中安く手に入るものもあります。
どのような環境で大量生産の食材が作られているのかがよく分かります。
内容はイギリスのものですが、そのまま日本に当てはまるところも多いです。
話題の狂牛病に関する話も。


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