- [著]堺屋 太一
- カテゴリ:
- 単行本 (389頁)
- ISBN:
- 4062113791
- 発売元:
- 講談社 (2003/04/11)
- 価格:
- ¥ 1,680 (税込)
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未来を読むために、文明の変遷を振り返る
これから先の未来について考える時に、過去を改めて振り返ることは一つの大きなヒントとなると思う。
この本では、まず第1部で、文明の原因「人口」・「技術」・「資源」という観点から、人類がどのような歴史文化をたどってきたのかをわかりやすく語っている。
その後に、第二部では、知価社会をキーワードにこれから先に発展する産業、共同体等について、提言している。
〜第二部より〜
貢献面から考えると産業は、次の四つに分類できるという。
消費財のように物財を生産加工する「物財産業」、財の場所、時間を変える「位置産業」、個人的社会的に時間を楽しくする「時間産業」、個人社会的に知識、技能、情報を広める「知識産業」。
これからは時間産業、知識産業が発展するとのこと。
また共同体について、農業革命、産業革命などのターニングポイントでそれぞれ変化し、次のような変遷をたどっているとのこと。
「血縁社会」→「地縁社会」→「職縁社会」
そして、これからは、好みでつながった人のコミュニティである「好縁社会」ができるのではと。
歴史の因果関係の解釈について、必ずしも正しいとは言い切れないが、しっかり論理が取っており、納得できる。
ここで紹介したもの以外にも、おもしろい考察が多々あり、一読の価値ありである。
高度な内容をわかりやすく
大変ラクに読める文章だが、歴史の流れの原動力が見えてくる。
著者独自の歴史解釈は評価が分かれるだろうが、このくらい冒険をしなければわざわざ本を書く価値はない。
織田信長のパパが治水技術の革新によって富を蓄えたとか通り一遍の歴史書ではわからない話がいくつも出てきて面白い。
『私は世界で最初に×××をしました…』といった文章がいくつも出てきて鼻につくが、実際先駆的なことをしてきたのだからいだろう。
未来を読むものは歴史を読む
先行きの不透明な時代にあって、だれもが未来を読みたいと願っている。しかし断絶の時代に生きる私たちであっても、未来を読むことは歴史を学ぶことに他ならない。それは井の頭公園でボートをこくのに似ている。正しくまっすぐ進もうと思えば、背中に目がない私たちは、進行方向の後ろに見える風景のある一点を基準にして進んでいくものだ。この本は歴史に対する深く広い理解に裏打ちされた文明論で、これまで断片的に教えてこられた出来事の意味が、ひとつひとつ繋がっていく脳の快感がある。分かりやすく話すことにもかなりの力量が感じられる。逆に読むものの力量はあまり問われないので、多くの人に愛される本になると思う。東大の学生だけでは本当にもったいない。
近代の後にくる「知価社会」
今、堺屋さんが最も力をいれている「次の時代」についての東大講義録です。
第1部は文明がどのように移り変わっていったのかを、始代・古代・中世・近世・近代に分けて解説しています。ここでは文明の原因「人口」・「技術」・「資源」が、その時代の人々の主観(倫理観)をどのように変遷させ、それが文明にどのように影響したかを中心に解説していきます。
第2部は第1部を踏まえて、しからば今後の人々の主観(倫理観)はどのように変化し、その結果どのような文明が誕生するかを予測しています。
この本は第1部の「文明の移り変わり解説」だけでも充分読む価値があり、これを知ると現代の文明の見方が変わってきます。それに加えて第2部では、今後のどのように生きていくかの指針になるだけではなく、主観(倫理観)を見据えて書かれている為、「なにかこの社会はおかしい、しっくりこない」と思っている方への解答にもなります。
またこの論理を脚色する為に様々なエピソードが紹介されていますが、それもまた非常におもしろく、「銀行の三角マッチ」・「日本の警備はお金がかかる」などは一読の価値があります。
文句無しの星5つです。
社会はいまどのようになっているのか,そして将来は.
著者は歴史からこれまでの社会・文明の形態を冷静に分析しつつ,
現代を見ている.その現代の社会・経済はどういうものか,そして
将来はどのようなものかを予言している.
ここまでの分析と予測を官僚や政治家がやっているのだろうか?
この本の受け売りでも困るが,そのスタイルは彼らに学んでほしいと思う.
学生への講義スタイルで書かれており,非常に読みやすい本であった.
桶屋
風が吹けば桶屋が儲かるし、始代に農業が始まると21世紀は「知価社会」になる…。
そんなふうに、因果関係によってパタパタと歴史の発展を説明する様は、壮大なドミノ倒しを見ているような快感がある。
それは一種のフィクションというか、「切り口」の一つには過ぎないのだろうけれど、それが鮮やかなことは確かであり、一種の芸の域に達していると思う。
膨大な知識と、それを一つにまとめ上げる造形力にはただ感心する。
以前の著作で述べていることの繰り返しも多いのだが、より軽やかに論を展開していて、とにかく楽しめる。
壮大な堺屋知価文明論
堺屋太一のメインテーマ”近代工業社会の終焉と新しい時代、すなわち、多様な知恵の時代(知価社会)”への文明の移行について、有史の時代から説きおこして今日の知価社会への胎動までの文明の由来と未来を懇切丁寧に語りかけたのがこの本。
とにかく博学多識、時間空間を超えて縦横無尽にテーマや話題が飛び交い、主題がぼやけてしまうほどで、益々名調子の堺屋文明論は、さすがに面白くて、教えられることも多い。
新しい社会の到来は言っているが、その現象と原因・原理については何も語っていないとして、堺屋は、ダニエル・ベルの「脱工業化社会」やアルヴィン・トフラーの「第三の波」等の著作を一蹴している。しかし、何十年も前から、農業や工業等のモノ中心社会から知識・情報ソ㡊??ト重視の新しい情報産業化社会への移行を、これらの書物やドラッカーの「断絶の時代」等で学んだ者にとっては、この方が遙かに分かりやすくて、正直なところ、堺屋の「知価社会」の本当の姿、現象や原因・原理は分かっても、文明社会での位置づけ等を含めてその実像が、未だに掴みにくくて困っているのは私だけであろうか。
全く余談ながら、情報と言う切り口なら別だが、多様な知恵の値打ちと言うのなら、これまでの人類の歴史の中で、例えば、高等宗教誕生時やギリシャの黄金時代やルネサンス等々、今日より遙かに高くて豊かな知価を生んだ時代があり、単に、経済指標でその価値を評価出来なかっただけではなかったのか。
産業分類を、これまでの生産者・供給側からではなく、消費者・貢献面からアプローチする「貢献面産業分類」などユニークな提言があったり、それに、デフレ不況等今日の日本の文明・政治・経済社会を、知価革命論で、詳細に分析するなど、幅と内容の豊かな興味深い講義録となっている。
