- [著]佐野 真一
- カテゴリ:
- 単行本 (507頁)
- ISBN:
- 4062119064
- 発売元:
- 講談社 (2003/09)
- 定価:
¥ 1,995 (税込)- 在庫状況:
- 在庫なし
ユーズド商品:¥ 660 より
大衆の暗部(=排他性)をくすぐる男
最初の掛け声は勇ましいが、結果は尻すぼみに終わる。青嵐会結成以来、慎太郎が繰り返してきたいつもの行動パターンが、
我が国のキーワード=忘却 と結びつく時、押し出しの強さばかりに目が奪われることになり、都知事となりえてしまう。
我田引水と夜郎自大の習性が、随所ににじみでるぐらいの御仁でなければ位人臣を極められるものではないかも知れぬが、
三島由紀夫の名誉を貶めてまで自分の政界進出を合理化した件には、ほとほと困り果ててしまった。
〜 三島は市ヶ谷の防衛庁への乱入という形での「政治参加」ではなく、本当は実際に議席をもつ政治家になりたかった。
それを慎太郎が先に実現してしまったので、三島はずいぶんとむくれていたのだ 〜 と。
「思い返してみるといろいろ思い当たるものがある。簡単にいえば、どうやら私は三島氏が欲しがっていた玩具を奪ってしまったことになるようだ。
ならばこそ、私が議席を持った後の三島氏の私に対するいわれのない不興は、それ故の不機嫌のせい、
それ故のとばっちりということだったに違いない」(石原慎太郎著『三島由紀夫の日蝕』)
書いてるこちらが赤面してしまう底なしの厚顔無恥である。
大衆がメディアに対して不信感を持ちながら、それでもなおメディアに頼らざるを得ない弱さをもっていることを知り抜いているこうした男が、
伝法な発言をすることの底意に想いをきたさねばならない。
敵と味方をはっきりさせるための観測気球なのであり、慎太郎を嫌悪する層に向けて意識的に発せられた暴力なのである。
なにせ「中国」と言おうとして、急いで「シナ」と言い直すほど強迫的な確信犯なのだから・・・
ハリー・ボッテーですなこの本は。
結局、著者の石原に対するイメージがまずあって、それを補強するためだけにいろんなことを書き綴っているという手法ですね。
これが決定版とか石原を裸にして云々というのは、ちいとオツムが弱くないですか? 頁が厚く「掘り下げてるぞー!」といわんばかりのわりには、内容はたいしたことはなかった。親父の受ける影響も、むろんあるだろうが、それにこだわりすぎている著者の人間形成の方に自分は興味がある。アメリカへのコンプレックス? ある一定の年代、知識を蓄えた人間で、アメリカにコンプレックスをもってない者などい・ま・せ・ん!(それをどう呼ぶかは別として)。マジックって単純だね。
丸裸の慎太郎
著書「カリスマ」で中内功を丸裸にした著者が、石原慎太郎に挑みます。
マスコミで様々な虚像・偶像を作り上げてきた慎太郎も、著者の前では丸裸です。
まあ、言ってみれば石原都知事も、ちょっと癖のあるのオッサンの一人に過ぎないということが良く分かります。
著者の分析に掛かったら、どこまで剥がされてしまうのか、
不安にさせられるくらいです。
惜しむらくは、前半の父潔に関する部分が長く、幼少期の生活環境に拘りすぎなのでは、と思わせてしまうところです。
もっと、大人になってからの周辺環境も影響があると思うのですが・・・
そこが弱いんじゃないでしょうか。
慎太郎のすべて
以前、著者が中内功について書いた「カリスマ」を読んだ。「カリスマ」では、ほとんどが中内氏自身に関する記述であったのに対し、本書では父、石原潔の物語が約三分の一を占めている。裕次郎抜きに慎太郎を語ることはできないが、父親もまた、慎太郎を語るうえで欠かせない存在であるようだ。独特の物言い、風貌。その裏に隠された真実を、本書は見事に暴いてくれる。
「弟」の印象が鮮烈すぎて・・・
雑誌「現代」の連載記事をまとめたもの。慎太郎氏の父、潔氏の山下汽船勤務にはじまり、神戸、小樽、逗子それぞれの時代のエピソードから議員転進までの膨大な取材に基づき、サブタイトル通り慎太郎氏の全てが活写され、文字通りの決定版と思います。
毀誉褒貶が明快に分かれるひとだけにジャーナリストの客観的な目で描かれた本書は政治家慎太郎氏のよってたつところを知るには格好の書ですが個人的にはご本人の名著「弟」で受けた印象が強烈過ぎて、本書を読みながら「弟」の各場面が甦ってきて、同書をまた読み返してしまいました。まだお読みでない方は合わせて読むことをおすすめします。
