- [著]赤井 三尋
- カテゴリ:
- 単行本 (338頁)
- ISBN:
- 4062119897
- 発売元:
- 講談社 (2003/08)
- 定価:
¥ 1,680 (税込)- 在庫状況:
- 在庫なし
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面白かったが、竜頭蛇尾。
半分くらいまでは本当にすごかった。物語にぐいぐい引き込まれたし、人物描写もいいし。登場人物が魅力的なのがよい。
でも後半の犯人さがしからオチに至るエンディングが肩すかし。何と言うか、マスコミ業界の人の作品、という感じ。よくも悪くも軽い結末だった。
描写のリアリティに「あるかも??」
この物語は、描写のリアリティに尽きると思います。
(解説にありましたが)
淡々と積み上げられた描写によって、一歩退いて考えると
「(いくら最近、事実は小説より奇なりと言う事件が多くても)ありえねー」
というこの話が「あるかも??」と引き込まれてしまいました。
そして真相。
意外とは言っても登場人物以外から犯人を出すわけにはいけないという
ミステリーのある種の矛盾の中でも楽しめました。
最後の数ページは蛇足。でも乱歩賞ならありかな?、と。
タイトルの翳りゆく、は弱い。
旧題が違うことを知りましたがこちらの方がいいな、気取ってなくて。
緻密なプロット、確かな文章
で、進行していく物語は確かに面白い。しかし、主人公の捜査があっさり進んでいく過程には少し疑問が沸いた。
やはり上限枚数550枚という乱歩賞の性質では、書ききれない部分があるのは仕方が無いことなのかも知れない。
過去の事件の場面、容疑者の車をあっさり見逃してしまう部分は少々お粗末。
おもしろかった
傑作と呼べるかどうかは別として楽しめました。
最後のどんでん返し、ちょっと無理もあるかな?という感もしましたが、全体的によくまとまった作品でした。
ただ、難点としたら、人物描写でしょうか?個人的には誘拐犯の娘である朝倉緋呂子の淡白さが気になりました。新聞記者になる位だったらあんなに冷めているのはどうかと・・・
あとは、ラストに付け加えられたエピローグは蛇足だったと思います。それかもう少し現実的な方がよかったと感じます。このエピローグがこれまでのトーンを一新して、安手のドラマのようにしてしまったように感じられました。
殆どの人物描写がそれほど詳しくないのに、それほど必然性もないのに、目撃者である風俗嬢の生活、行動描写が詳しすぎたような気がします。やっぱり男性読者を意識してでしょうか?
いくつかの点は気になったものの、最近の新進作家のミステリーの中ではよく書けているし、構成の仕方などは上手いと思います。
丁寧な描写
「20年前の誘拐事件の犯人の娘が東西新聞記者に内定!」。雑誌のスクープに、東西新聞社主は、事件の再調査を命じる。白羽の矢が立ったのは梶。事件の担当をしていた記者で、現在は閑職に回されている男だった。
第49回江戸川乱歩賞受賞作。同時受賞に『マッチメイク』(不知火京介著)。
受賞の理由として、選考委員が述べているように丁寧な描写というのが第一印象。手堅い、とでもいうか。結構、多くの人物が出てきて、視点の切り替わりも多いのだけど、それほど混乱することなく読み勧められるし。ハードボイルドと帯には書かれているけれども、むしろ社会派ミステリー的な印象ではある。個人的には、同時受賞の『マッチメイク』よりも楽しめた。
ただ、細かく見ていくと文句の言いたくなる箇所もチラホラ。例えば、20年前の事件の場面。いくら何でも、あの警察の対応は杜撰過ぎる。また、なぜ社主がこの事件の再調査を狙ったのかも謎。また、事件の関係者の一人が風俗嬢である必然性も無い。そして、丁寧な描写であるが故に、乱歩賞作品でありがちな、終盤の大急ぎ感がこの作品にも残っている。1つ1つは細かいことなのだけど、これだけ重なってしまうとどうも気になるのである。
とはいえ、丁寧な描写力は確かだし、(2年経過しても出ていないようだが)枚数制限のとれた作品でもう1度読んでみたいと思う。
現代ミステリの病
文章は下手ではない。取材もしっかりしている。情景描写もべらぼうに巧いわけではないが年の功を感じさせる。
しかし、本音を言わせてもらえば「竜頭蛇尾」の一言に尽きる。
最後のオチがあっけないのだ。意外といえば意外なのだが、その意外性が本格ミステリのそれに近いのである。本作は社会派ミステリの気配が強く漂っているというのに・・・
決定的にミステリの核心にある動機、罪を犯してしまった者の心の葛藤がないというか、書かれていないというか、その点はかなり不満が残る。その部分の開示がミステリのクライマックスとなって、しかるべきであろう。横山秀夫先生の『半落ち』と比べるとその点は明らかだろう。社会派ミステリとは小説のためにご都合主義の犯罪をとってつけたようにしていたのではダメなのである。犯罪とは何かという問いかけ、ある意味、哲学的態度というようなものが要求されていると考えるべきではないか。
プロ作家からみて、同業者になってもそうそう危険はないなレベルの作家さんになると思う。47で受賞だべ? 47ってあの藤原伊織と同じ受賞年齢。毒にも害にもならない感じの人かな。
他の人が指摘しないから書くけど、P236からの風俗の記述納得いかないんだよね。この店いったい何? イメクラ? にしちゃー、60分三万円なんてありえねーだろ。 じゃソープ・・・ みたいだねバスタブもあるし。でもその接客する女の子に直接お金を渡すなんてありえねーだろ。それじゃ援交のやり方だよ。
大体、この華原優っての風俗嬢である必然性がない。おっさんがイマドキの若い女の子を書くとこういうボロが出るから気をつけたほうがいいかな、と個人的には思う次第。本当、朝倉比呂子にしてもそうだけど、オッサンの書いている女の子だってのがモロバレなんだよな・・・
年齢のせいにして逃げるのは簡単だけど、どうしても若い女の子をメインに据えたいのなら石田衣良先生の著作に目を通した方がいいかな。
まあ、でも乱歩賞のなかでは比較的ましなほうかも・・・
うむむむむむ。
まず受賞時の題名を変えたのはなぜなのかよくわかりませんでした。
二十年目の恩讐のほうが私は好きですし、内容にも合っている気がします。
書き方は丁寧ですね。横山秀夫氏の「半落ち」的な人物の掘り下げ方はさすがに年の功を感じさせます。ただ、この手法は外カバーで書いているようなハードボイルドのものではありません。やはり社会派ミステリーに分類されるものでしょう。
あと、落ちが最初の数十ページでわかってしまいました。ミステリー的なひねりが乏しいと感じました。この作者は、あまり犯人探し的な分野は得意ではないようです。
受賞にふさわしい作品。面白かったです。
誘拐犯とされた男の娘が新聞社に採用され、スキャンダルになる。それが発端となり、二十年前の事件が再び洗いなおされる。当時誘拐され、行方不明になったままの嬰児…もう、死んでいるに違いないと誰もが思っていた。が、物語の最後に事件の意外な真相が明らかになり、あっと言わせる。ぐんぐん読ませる面白さがある。あっといわせる結末のためにちょっと強引さを感じないでもないが、純粋に小説の楽しさを味あわせてくれた。今後の作者の活躍に期待します。
さすが江戸川乱歩賞受賞作
一人の女子学生の内定でストーリーは始まる、東西新芁に内定した朝倉比呂子が誘拐犯の娘である事が雑誌にすっぱ抜かれた、社長の杉野は編集資料室でくすぶる梶を使い20年前の誘拐事件を調べ直させる、梶の調査が始まる…
少し現実離れしているところもあるが、わかりやすく丁寧に書かれたミステリー、ラストの真実には驚かされる、さすが江戸川乱歩賞受賞作
丁寧ではあるが・・・
「内定者は誘拐犯の娘だ。」という週刊誌の報道をきっかけに
20年前の誘拐事件を再調査することになった大手新聞社の窓際社員。
証言をもとに丁寧な調査を進めていくと、
当時明らかにされなかった事実がぞくぞくと出てくる。
真相はいかに・・・という。
選考委員の各氏が評しているように丁寧に書かれており、
安心して読める作品であることは間違いない。
複線もうまく張られており、その結末には納得がいく。
しかしミステリー作品として読んだときに、
終盤にかけて「意外性」があまり感じられなかった。
納得感の代わりに、結末が限定された。
同じ江戸川乱歩賞では、
高野和明『13階段』のほうが面白かったように思う。
作者の次回作を期待しつつ、星3つ。
