- [著]小川 百合
- カテゴリ:
- 単行本 (314頁)
- ISBN:
- 4062122197
- 発売元:
- 講談社 (2004/01)
- 定価:
¥ 1,785 (税込)- 在庫状況:
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論説ではなく旅行記
オックスフォード大学の学問の全体像を知りたかった私にとっては、分野が偏っていて得るものがあまりありませんでした。文体はたしかに情景描写が多く、論説文的なものを期待していた人が読むと、違和感があるでしょう。
星は4つですが、知的好奇心を刺激してくれました。
「勘違い」から★5つの田中さんまでレビューを読ませてもらった上で・・・
ポスト団塊世代で(1952年生まれの著者)、海外転勤族の子女。教育のけっこうな部分を英語で受けた著者がはじめて出版した本。
英語の文構成が基本になっているとおもわれる文章と文体のおかげで、本文中に挿絵、写真のたぐいがいっさいないにもかかわらずその現場を明快に伝えてくれる。人物の描写も上手い。その意味ではすばらしいとおもいました。
残念なのは後半が緩慢で冗長で、単調でした(ですから段落のはじめ2-3行だけで、よみとばしました)
でも、スペインの画家「スルバラン」の絵を見てみようと画集をリクエストしましたし、単身であちこちに一年単位で「留学」されているという
著者の「寛大な夫」に興味を持ちました。子供がいなければわたしも?
多分それはないでしょう。
教授の説明だという「gothic」の意味の箇条書きが効果的だが意表をついていておもしろかったです。誰にでも薦められる本ではないが私は楽しめました。
勘違い
人生経験も乏しい(著者が引き合いに出す幼少・学生時代の話で、底の浅さがミエミエ)、世間知らずな帰国子女のお嬢様が、勘違いで奨学金を得て、勘違いでオックスフォード大学へ留学して、勘違いで本を出してしまいました、ただそれだけの話。
フワフワ(これが一番ムカツク原因)、見て聞いて感じたことを感覚的・観念的に書いているだけで、これからイギリスの大学に留学しようと考えている人間にとって参考となる実用的な部分は一切無く、かといって藤原正彦氏の本に書かれていた力強い日本人論のようなメッセージ性があるわけでもない。文章も冗漫で、お高くとまっていて、その文体のフワフワ加減も相俟ってイライラしてきて、熟読モードで読んでいた自分が、途中で速読法に変わっているのに気づいて驚きましたわ(笑)。
極端に言うと、この本に書かれていることは体験談ではなくて、資料を集めてきて著者の脳内妄想で書いた、架空の小説のようにもとれますね。それだけリアリティが感じられないってことです。
百聞は一見に如かず。「さあ、オックスフォードに来ました、書いてあることと全然違いますね」、それが現実だと思います。読んだ後で心に何も残らない。読むだけ時間の無駄。
桜井俊彰氏の「僕のロンドン」でも暴露されていたが、大学の教員が遊び半分で行くような、意味の無い留学制度は、もうやめた方がいいと思います。はっきり言って、税金の無駄使いです。本当に勉強したい、学位を取りたい、莫大な金額の私費で留学している人々の立場を考えて、そちらを優先してもらいたいものです。
しかし、遊びで一年間留学したくらいで本を出させてしまう、日本の出版界のレベルの低さも問題だけどね。イギリス、イギリスって、文明開化の頃から進歩していないんでしょうか(苦笑)。
地球の歩き方を持ってオックスフォード中を歩きました、とでもいうか
まず、著者にただただ嫉妬します。著者はご家庭もお持ちのようですが、文化庁の奨学金を得て、単身1年間、準客員研究員の身分でオックスフォードに滞在されています。羨ましい。
著者はカレッジのフェロー(教員)とディナーを同席できる身分で滞在されながら、一方でガイドブックを手に学内を回るほどの門外漢であって、このギャップがこの本の叙述を新鮮なものにしています。また、オックスフォードの1・2・3学期をミカルマス・ヒラリー・トリニティ・[ターム]と呼ぶとか、学生の正装をサブファックスといい、どんな格好だとか、こうした話題を砕いて書いてくれる本もなかなかありません。
一方で、ナイーブすぎるところが見られます。頻繁に子供時代の話題が出て来たり(でもそれと引き比べる相手はオックスフォードの授業なんですよ、)図書館を描く画家でありながらボルヘスを読むことがなかったと抜け抜けと書いてあるのもどうかと思うし、謙遜なのかもしれませんが叙述だけから察すれば講義の理解度のレベルの程も危惧されました。また「すべからく」を単に「全て」と書いておけばいいのにというような箇所もあり、文化庁の奨学金の使い道って太っ腹なんだなあという印象も受けました。
とはいえ、画家ゆえか感覚の確かな方で、場面場面の雰囲気をしっかり捉え、光とか空気の湿り気や埃臭さまでもが文章から伝わります。文章が屹立しているとまでは思いませんが、著者が1年間彼地を楽しんだことが読み手にきちんと伝わり、読後感は非常に良いです。読んでみる価値のある本だったと思っています。
アートを学んでいる人やOxfordに興味がある人に
素敵な本です!!作者はアートを学んでいる人で、内容も美術のことが結構多いですが、全然楽しめます。オックスフォード大学は狭き門ですが、教えを乞う者には寛大であることがよくわかります。学ぶことの真髄についても考えさせられます。また、装丁も素敵で、(作者が描いたものです)写真の様に見えるほどです。アートを学んでいる人やOxfordに興味がある人にオススメな一冊です。
イギリス好き+美術好きな人にはおすすめ!
「知的エリートではない」画家である作者がオックスフォードで過ごした一年を凝縮した本で、イギリスの古風な感じを楽しめる一冊です。ただ、美術の素養がないと面白くない部分があるかもしれません。注釈が沢山ついているものの、美術的にはエリート的説明が並んでいる章もあって、何の知識も持たない私には退屈でした。オックスフォードに留学したいと考えておられるかたなどでしたら、行く前に読んでおかれるガイドブック的役割は果たすかと思います。
オックスフォード大学への詩的で空腹的接近。
■画家であり、図書館を専門に描く著者のデビュー。しかし、まったくそうは思えない。とにかく文体が屹立している。クリアでかつ詩的な文体。この中でも引用されている、故須賀敦子さんとはまた少し違う。もっと「ざっくり」とした表現。自分を小さくみなし、自信なさげに書いているところは須賀さんと共通しているかもしれない。■オックスフォード大学へフェローの資格で文化庁から派遣された著者。当地の気候、教授や学生たちの行動や階級社会を丹念に描くことによって、オックスフォード大における学問とはどんなものか、学問をどのようにみなされているのかが、クリアに書かれている。■アメリカの大学のそれとは大きく違うオックスフォード。著者がハワイ大学を出ていることもその差異を気付かせるのに役立っているようだ。また著者の内面を隠さずに書くことで、著者への興味も湧く。■またオックスフォードを通じて、「英国文化」への根源への接近にもなってる。博識さがいやみなく披露される。著者がユーモアにあふれた人だからだろう。食事に関する記載がもっとも多い。■内容もさることながら、文体がここまで確立されているので、読むことそのものが愉しい。アイザイア・バーリンをイザイア・ベルリンと書くなど、何箇所か誤記があるがこれは編集者の責とすべきだろう。■オックスフォード大学関係の類書のなかでもひときわすぐれているのではないか。それは著者の独自の視点を徹底させているからだろう。なんらかの賞にふさわしい本。真にすぐれたエッセー。
