- [著]阿部 和重
- カテゴリ:
- 単行本 (200頁)
- ISBN:
- 4062127938
- 発売元:
- 講談社 (2005/02/01)
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- ¥ 1,470 (税込)
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芥川賞のありかた
芥川賞は作品におくられ直木賞は作家におくられるとか、芥川賞は可能性や才能におくられ直木賞は実績におくられるとか俗説は多くあるが、なぜ阿部和重の「グランドフィナーレ」が芥川賞だったのかと思う。芥川賞は短編もしくは中篇小説におくられ、直木賞はどんなジャンルの小説をも対象になると区分した黒井千次さんの見解が一番正しいことをこの小説が証明した。
余談はさておき、本小説の評価であるが、ラストのあり方には大いに疑問をもつ。もっと書いていただきたかった。あとは読者の解釈に任せるにはあまりにも横着過ぎやしないか。前半から中盤までのディティールの詰め方がうまいだけに残念に感じる。それが阿部氏の特徴なのかもしれないが、私は物足りなさを感じる。書ける能力がある作家だけに何故と思ってしまう。
もうちょっとなのだよジンジャーマン。
具体名はあげませんが、いくつか疑問が残る芥川受賞作があります。(ご想像ください。)
それらとは、一線を画する雰囲気は、出だしからあります。
多くの阿部和重ファンにとっては、今ひとつ物足らないこの作品も、
初めての私にとっては、「まぁ。悪くないんじゃないか。」程度にはよかったと思います。
主人公のぬいぐるみのジンジャーマンに話しかける情けないロリ男もよくかけていると思いました。
欲を言えばもう少し結末にインパクトがほしかったです。
この先、どちらにも転んでしまう結末です。(流れからはどちらかといえば善に転びそう?)
もう二行足して、読者をたたきつけるような結末だったら、
もっと強烈な読後感が味わえたと思うのですがいかがでしょうか?
ただ、この人の文章、とっても雰囲気があります。(悪い意味ではありません)
他にできのよい作品があるようなので、そちらを読んでみたくなりました。
他の作品も読んでみたくなる作家。ということで
おまけで4つです。
最低の人間
最低の人間とはこの程度のことを言うのだと思う。
例えばこれ以上に何かに固執している、
法律に引っかかるほどの派手な悪さをしているような人は、
程度は低いが最低ではないのだ。なぜなら最低という前に、変人、悪人、罪人だからだ。
ただ、最低の人も自分の子供にあいたくなる。
最低の人も変わろうという思いを持つようになる。
結果が全てだが、結果は分からない。この小説自体はその過程を描いている。
そこら辺にいそうな最低の人間が、最低から脱すべく行き続ける様。
それで十分だ。
人は他人と比較することで初めて自分の存在の位置を認識する。
そこで終わるか?
表題作は、「ここからが物語の肝だ!」というところで終わってしまいます。
起承転結でいうならば転で終わってます。
「続きは読者の想像にお任せする」というのであれば読者を舐めている
としか思えません。
そこからが作者の腕の見せ所だと思うのですが……。
これで芥川賞が取れるのかと思うと不思議で仕方がありません。
他の作品との関連性を利用しているようですが、僕はこの作品で
始めて作者の本を読んだので、それはわかりませんでした。
他の作品を読まないと価値が理解できないような作品を
単品で成立すべき芥川賞で受賞させるのは納得がいきません。
読んだ後で腹が立つ作品もまた珍しいですね。
芥川賞だから何かがあると思って我慢して読破しましたが、
結局何も得られませんでした。
書庫に並べておく気も起きません。
作家として素晴らしく、作品はスタイリッシュ
この作品の帯に「文学が、ようやく阿部和重に追いついた」といわれている。
しかし、もう文学という高尚な言葉で阿部和重を囲ってしまう必要はないように思う。
この作品は、小説という枠の中だけで面白い作品ではなく、すべての表現のなかでも通じるほどの作品だと思う。
この作品の話
グランドフィナーレという壮大な題から始まる物語は、ロリコンのちっぽけな話だ。
しかし、物語のラストは「グランドフィナーレ」に相応しい、希望に満ちた最後になっている。もともと、この作家は物語をうまく終わらすことよりも物語が進んでいく過程の圧倒的躍動感を主として書いていた。しかし、この作品で、過程の躍動感とラストのカタルシス(読み終えたときの後読感)を両立した作品である。
おそらく物語構成能力や自己追求欲望が高すぎてなかなか一般的な評価が低かったかもしれないが、阿部和重が一般性を持ちえて初めてこの作品ができたのではないかと思う。
面白い、面白い、まだ誰が読んでも面白い作品ではないかもしれないが、何度も読み直してみよう!!!
男性の性というもの
私は女なので、男性がこの作品を読んだ時の感想とは違うかもしれませんが、正直受け付けられませんでした。
中年エロオヤジの悲哀というものを描きたいのであれば、もっと心情の持っていきかたに
少なからず共感させる部分が必要だと思うし、
エロティシズムというものを表現したいのであれば、読んでいて恍惚とするようなシチュエーションなり
掛け合いであったり、行動ひとつにも登場人物の抑えがたい衝動や消失感が感じられなくてはならない。
そのどちらも無く、ただちょっと変わったものが書きたいというそれだけのものしか感じられなかった。
読み終わった時にマンジリともしない嫌な気持ちだけが残り、「時間をこの本に使ってしまった事がもったいなかった」と思ってしまったんです。
途中からはもう「読み始めたんだから、最後まで見届けてやる」という意地にも似た感覚がありました。
でも、考えてみればそんな感情を読み手におこさせているという点で、他の作品とは違った味があるのかもしれません。
この作品はエンターテイメントではない、読み取るべきような深さもあまり無い。
ただ、頭のいい人がこれを読んで、わけのわからなさを補うべく自分の中で勝手に「深い意味」を持たせてしまったんだと。
それが文学というなら私は文学を理解したいとは思わないです。
文学の名作と言われているような巷の作品は、読んでいて沁みてくるような美しさがあり
「ああ〜」とため息の出るような一文があったりするものです。
これはそういう心に残る一文というものさえ無くて、表層だけをたどったような雑多な感じがしてしまうんです。
キャッチコピー、誇大広告。
列車内部の文芸春秋の中刷り広告で、誇大に広告されていたのを覚えているが、「奈良県の少女誘拐殺人事件が事前の予感されていた云々」正直読後感、拍子抜け、何にもない、少女のエロスも描かれていないし、主人公と少女二人の絡みもあまりに表層的である。…もと「映画制作会社所属の主人公に二人の少女が学芸会の演技指導を求めに来る」という設定。…芸術の毒気が全くない。ロリコンと作者は敢えて連呼しているが、それが却って、空しい。ただの合法的範囲内の少女趣味にすぎないのだから。…芥川賞の作家を幾つか連続して敢えて読んでみたが、文学の萎糜を改めて感じさせられるばかりである。”美”=芸術に全く接していないのだ。あくまで相対的な世界の住人ばかり、雑知識の量を競っているかのよう。
この作品で「コッペリア」というエクリチュールが出てきて、それからの展開を期待したが、全く作中出てくることなく、しかも眼の色が違う=カラーコンタクトのせい、余りに簡単すぎる。…作家の端くれなら、意地でも「円かの宇宙の中に精神性が純化されて凝縮している」とでもいってもらいたいものだ。
いとことで言えば、この書は、安手の「読み物」=決して文学ではない。
タイトル作品はまずまず面白く読んだ
グランド・フィナーレ他、短編三作が収められている。タイトル作品だが、所謂ロリコン趣味の男を扱った作品。ふわふわとした今風の文章かと思うと、「すなわち」とか「~の如く」とか妙に古風な言い回しも出て来る。一人称で語られているが、どうもロリコン男の心理をさらっと人畜無害に表したような感じで、途中出て来るロシアのテロの話とかが、何のためにあるのかよく分からない。作者自身はロリコン傾向があるのだろうか。「て、いうか」日本の男はだいたい潜在的にロリコンだけどね。残りの、三作はより習作的な色合いが強いように思う。最後の、「20世紀」など、どこかで聞いたようなメディア理論が出てくるが、それ以上のものではない。思想の深まりを、今後いかに作品に反映できるか、それを見守りたい。
なんなんだ
この表題作「グランド・フィナーレ」は、著者の小説の中で果たしてどの程度の位置付けなのか。著者自身はどう思っているんだろう。
この作品は普通だ。
著者のテイストは染み出ていても、対して新しいことも、目を引く表現も偉大なプロットも感情もない。今までに登場し続けてきた土地、「神町」の名に頼っている感さえある。
著者の今までの作品群に比べて、これはどうなんだろう。確かに芸術に順位付けは無意味だが、それでもこの作品で受賞するというのは、どうなんだろう。
確かに著者は、アブノーマルな精神状態や嗜好を正面から掴んでこねくり返して描写するのが味のひとつだが、このまま著者の小説は、こんな陰気なだけのものになっていくのだろうか、と思うと元気がなくなる。
これは「受賞時作」だが、決して「代表作」だと言われてほしくない。
表題作以外の掌編には、何のおもしろみも感じなかった。
ものすごくうまい
玄人なんで、ようやく芥川賞もらえたって感じですね。今まで落ちてたいのが不思議なぐらいで。
中年ロリコン男が主人公。独特の言い回しと切れのある文章がまたいい。ロリコンなんて難しい題材を、無理なくしあげている。
鬱々として内へ閉じこもりながらも、とうとう破綻。死の重さの認識のさせかたも上手い。故郷に戻ってから現れる二人の女児。その関わり方も鮮やかで上手い。偏見を持たずに読むべし。
