- [著]薬丸 岳
- カテゴリ:
- 単行本 (350頁)
- ISBN:
- 4062130556
- 発売元:
- 講談社 (2005/08)
- 価格:
- ¥ 1,680 (税込)
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止まらない衝動
久々に読み始めたら止まらない本に出会った。これだから小説は面白いと思わせる一冊だった。
「少年犯罪」という重いテーマにもかかわらず読んでいてとても心地よいいと思ったのは、「少年犯罪」の問題点を指摘しながら、そのどれも押しつけがましくなく、普通の人間が悩み苦しむというスタンスからから逸脱しない点だ。こういった小説の場合、作者がどちらか一方の意見に傾倒している点が見えてしまうと一気に興ざめする可能性があるが、あくまでそのどちらの意見をも斟酌しつつ、どうにか答えを見つけ出そうとしていく所が多くの人に受け入れやすい作品になっている理由だろう。一考では、それは作者の人間味が現れた部分だろうとも思える。
また、そういった葛藤を物語の中に落とし込み、一級品のエンターテイメントへと昇華させた技術も素晴らしいと思う。最後の方は少し物語を複雑化させすぎたきらいもあるが、そこは作者の人間の内面描写の妙が埋めて余りあるものになっていると思う。
一気に読めた、という満足感を持って書を置きたい人にはぜひお勧めの一冊だと思う。
白黒つけられない面白さ
事件という形では決着がついた、
課題は残ったけど…って終わり方かと思いきや!
とラストにもう一度驚かされる本でした。
どこまでが葉でどこからが花かわからない花のように、
重なり合い、白でも黒でもない状態がずっと続く感じ。
でも読後感はすっきり、でありながら、結論の出ない投げかけもある。すごいミステリーですです。
清々しい終わり方
おもしろかった。4年前の事件は犯行の動機の点から釈然としない点があると思っていたが、なるほど納得のできる動機であった。最後の弁護士の罪まではさすがに想像できないが、ストーリの展開が見事で一気に読んでしまった。最後の終わり方もハッピーエンドというわけではないが、清々しい終わり方だった。
後半の仕掛けはなかなかのもの
前半は、少年法や更生、少年犯罪の被害者の悲劇等、ちょっとありきたりの世界だったので、
正直期待はずれでしたが、後半の仕掛けはなかなかのものでした。
私は「因果応報主義」なので、殺したら殺されるってのが筋だよね?って思ってましたが、
どうなんでしょうねぇ。。。
過失致死ならとにかく、やる気でやった殺人、
しかも、自分勝手な都合というのは、やらせた奴が一番悪いにしても、
やはり、やったほうも、それなりの処分がなされるべきと思います。
変なたとえですが、飲酒運転が厳罰になって以来、確かに死亡事故は減ってます。
厳罰主義というのは、やはり必要なのではないでしょうか?
定価だとちょっと哀しいけど、中古の値段なら納得の1冊でした。
これがデビュー作は、スゴイ
少年犯罪ものですから、少年を罪に問えるか?犯罪被害者の心情、更生とは何か?加害者側の問題等をなかなか鋭く捉えて、しかも作者薬丸さんの中で咀嚼した結果を小説という形しかもエンターテイメントとして成立させて、なお重過ぎないところは素晴らしい感覚です。今現在の状況を上手く使いミステリとしてのカタルシスも見事だと思います。特に、恐らく(私の勝手な考えです)山口県光市母子殺害事件の本村さんの心情を鑑みて本書を書こうと思われたのではないか?と思いました。私個人もとても気になる(ただテレビのニュースで見かけるだけですが)方ですので。そのうえで様々な本をお読みになり、消化したうえでのミステリーです。社会派ミステリ(昔の松本清張みたいな)にも近いところがありますが、もっとエンターテイメント寄りです。
被害者のみならず、その周りの人々の感情をひとつひとつ積み重ねていく所にとくに好感が持てました、この手のものはスッキリさせるためのもの(ミステリでいえば、謎を解く!少年犯罪ものでいえば、厳罰!とか人権!とかつまり、偏った過激さの事です)が多いのですが、なかなかスッキリ簡単にさせないのに、スムーズに展開していく流れはスゴイです。いいトコ取り(社会派とエンターテイメントとミステリ)も上手くて良いです。
トリックと、細かい所で(携帯電話と盗聴器関係や、少年犯罪繋がりが繋がりすぎるところなど)気になる部分もあります。上手いだけにどうしても作り込み過ぎてミステリ好きな方なら読める展開でさえありますが、そうであったとしても、読んで良かったです。ミステリもの、または少年犯罪について少しでも興味がある方にオススメ致します。1番最後に参考文献が乗っていて、その著作リストを見てさらに納得しました。デビュー作でこれはスゴイ事だと思います。
すごい力作
少年法の真正面から取り組んだ小説。
読み応え十分。感心させられました。
ただ、最近軽いものばかり読んでいたので、疲れました。
だらか星4つ。
良くも悪くも乱歩賞的
おもしろいかったのですが
傾向としてはやはり近年の乱歩賞の枠内で、そこがどうも新鮮さがなくて残念
あくまで乱歩賞内のおもしろさであって、絶賛するまでには至らないというか。。。
残念。でもかるーく読んだら面白いかも。
デビュー作にも関わらずリーダビリティが高く、筋も良く練られています。一気読み必至。ワタクシは3時間ほどで読了しました。しかし最後のエピソードで興醒め。テーマに比して安易すぎ。そう思って全体を振り返ると、あまりに安易な殺人理由と都合良すぎるストーリー展開にイヤな気分になりました。やたらと贖罪というテーマが出てきますが、実は誰一人被害者に直接謝罪していません。少年Bを除く全ての加害者が不誠実。贖罪が憎悪の連鎖を解き放つきっかけという悲劇的な運命を嘆くレビューを読みましたが、この本のメイン・ストーリーのきっかけは犯罪(恐喝)です。更生しない犯罪者を登場させて、最終的に勧善懲悪エンディングはテーマに反してあまりに軽いように思います。
おもしろかった
このような感想は不謹慎かもしれませんが、おもしろかったです。素直にだまされて読まされてしまいました。最後までぐいぐいと引っ張られ、え? この人物も? え? この人も? え? え? え? で、最後まで。
少年犯罪とか遺族の気持ちとか、いろいろとよく調べて書かれてあるような気がしました。この本で、初めて知ったことも多かったです。楽しんで読めて、勉強にもなって、いろいろ考えさせられて、一冊でかなりオトクな本に思いました。
デビュー作としては
とても完成度の高いものだったとは思います。しかし、登場人物全てが「この小説の為だけに作られた」感があり、人物に奥行きを感じられませんでした。この小説に描かれてる「事件」に巻き込まれていなかった場合、これらの登場人物の「日常」が想像できないんですよね。
また、2人目の犯人(というとちょっと語弊があるでしょうか)の伏線がなさすぎて、主人公が2人目の正体に気がついたくだりが唐突すぎて、無理やり感がありましたか…
後は、出てくる人物が連鎖的に事件を起こしすぎて、明らかに「ノンフィクション」という印象でした。
