- [著]奥田 英朗
- カテゴリ:
- 単行本 (256頁)
- ISBN:
- 4062132893
- 発売元:
- 講談社 (2006/01/21)
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- ¥ 1,470 (税込)
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いつまでたっても女の子でいたい
ボクが気に入ったのは「ガール」と「一回り」である。ガールでは、30代で未婚というOLたちが仕事に精を出しながらも、心では常に女の子でいたいという願望を表現した話。主人公の由紀子はずっと「女の子」でいたいと思いながらも自分の年齢を意識し服装や言動に気をつかい始めるのだが、同じ職場のお光は30代後半にも関わらず、服装や言動など女の子っぷりをストレートに表現した生き方をしている。一方、取引先の安西は由紀子と同じ年齢ながらも堅物で女の子はとっくに卒業しているように思われるのだが、最後のファッションショーではやはり女の子であることを意識しており、その微妙な感情の描き方がとてもよかったと思う。また、一回りでは、OL容子が自分と一回り以上年齢が離れている新人の男性社員に対して恋をしてしまう話。一回りも年齢が離れているのにという理性と、抑えることができない恋心に揺れながら容子の成長していく姿を描くのだが、ガールと同じように、年齢が一回り以上離れていようが女の子だという気持ちが前面に出てきておもしろかった。
清涼飲料水
この人の書くものなので『サラリーマンNEO』的バカ話を期待してました。しかし、実体はギャグなし、下ネタなしの真面目な話です。ターゲットもOLというか、キャリアウーマンに絞られています。
彼女たちは基本的に仕事はできます。充実した会社生活を送っていると言っていいでしょう。もちろんコップの中の争い的なものはあって、決して能天気でもありません。しかし、争っても最終的には分かり合えるという明るい話になっています。考えてみたらそうです。誰も働くことの嫌な現実と向き合いたいとは思わないでしょう。働く女性たちが明るい気持ちで明日も会社に行くための本です。そのへんを分かって書かれた本だと思います。
もしこれが男性の視点で描かれていたとしたら、やはりどちらかが倒れるまで戦う話になるのでしょうね。そういう本は今はちょっと遠慮したいです。奥田さんならそれすら笑いでごまかすことは朝飯前でしょうが。
ガールの深層心理を読み解いた納得エッセイ。奥田氏の眼力に敬服!
まことにシンプルなタイトル。本書には表題作「ガール」を含む計5作品が所収されている。いずれも女性にとって主要な関心事を扱っている。女性が読めば、「そうそう、思わず納得!」という感想が出るだろうし、男性が読めば、「そうか、女性はこんなことを考えてるんだ!」とこれまた納得させられる。「共感度」こそ違えども、どちらが読んでも納得できる内容だと思う。女性の心理や価値観、生き方、行動様式などがよく分かり、「面白かった」というよりは「有益であった」というのが率直な読後感だ。奥田氏がここまで女性の深層心理を理解していることに驚嘆する。女性であってもここまで巧みに描けないのではないか。
出世欲がなく妻のほうが給料の高い夫婦の関係を主題とした「ヒロくん」、女性なら誰でも憧れる都心での一人暮らしを取り上げた「マンション」なども興味深いが、表題作「ガール」における、若さという「特典」を失った年齢に達した女性が「いつまでガールでいられるんだ」という切実な問いかけは痛々しいくらい胸に響いた。本書に登場する女性はすべて30代であり、本来であれば「レディ」という表現のほうが相応しいのかもしれない。しかし女性はいつまでも「ガール」でいたい、いやその気持ちを失うまいと必死で生きている。すべてのエッセイはそうした女性の(永遠の)願望を赤裸々に伝えているのである。
「ワーキング・マザー」という作品は、女性の社会進出の飛躍的上昇という時代風潮を反映したものだが、制度的条件を含め、これからの日本がもっと真剣に考えてゆくべき重要な問題を主題にしている。男性だからという理由は全く通じない。「本当の望みは、時間が止まってくれることなのだ」(244頁)という最後の「ひと回り」という作品にある文章は、すべての女性が「ガール」でいるための(無理な)前提条件なのだろう。「ガール」の定義は実に難しい。むしろ男性に読んでほしい一書だ。
30代の女性は必読な1冊。
課長になったり
マンション購入を決意したり
若い子と同じ服着るの、ぼちぼち卒業しなくちゃと思ったり
子持ちで、フルタイムの仕事復帰したり
超年下の新人君にときめいたり
なんか身に覚えがありすぎで怖いです。
特に、洋服のくだりはヤバいです。
明らかに20代、あるいは10代のコがターゲットのお店で服買ってるん自分。
本当に、ボチボチ、これ辞めたほうが良いんじゃないかと
相当、揺れ動いてるのです。
年相応に落ち着かなくては・・・と思っても
落ち着けない。
描写は、毎度ながらリアルで、ぎょっとするんだけど
30代の女性は必読な1冊に思えます。
これこそが、奥田英朗の一番の傑作ではないか。女性の描写力の凄さにも、脱帽!
この「ガール」は、本当に面白かった。私は、これこそが、奥田英朗の一番の傑作ではないかとまで思っているくらいなのである。この短編集では、社会の第一線で働くさまざまな女性たちの心の内が、実に生々しく描写されているだけでなく、「ヒロくん」、「ガール」、「ひと回り」を始めとした一話一話が、物語としても非常によくできているので、女性はもちろん、我々男性が読んでも、面白過ぎるくらい面白いのだ。
この「ガール」には、それぞれの立場で、仕事で、あるいは、女として、人生の岐路に立たされた5人の30代の女性の物語が綴られている。
「ヒロくん」では、課長に抜擢された女子総合職が、男のメンツをかけて反抗的な態度で歯向かってくる年上の係長と壮絶なバトルを演じ、「ワーキングマザー」では、子育ても山を越え、仕事にやりがいがほしくなり、閑職から古巣に復帰したシングルマザーが、周囲の過剰な気遣いにため息をつく。
未婚の3女性は、「マンション」購入の決意をすることによって、色々な現実と向き合うことになって思い悩み、あるショックな出来事を契機に、「ガール」でいることの潮時を感じてブルーになり、ある日突然、自分の目の前に現れた「ひと回り」も歳の離れたハンサムな新人に、心が千々に乱れるのだ。
それにしても、特筆すべきは、奥田英朗の女性の描写力の凄さだ。特に、登場人物の女性たちの心の奥底までもを覗いてきたかのような、微に入り、細にわたった心理描写は、たとえ、綿密な取材を行っていたとしても、取材に応じた女性たちが、ここまで素のままの自分の姿を男性にさらけ出すだろうかと思えるほどのレベルにまで達しているのだ。同じ男性として、作者の女性に対する観察力の並外れた鋭さと細かさには、素直に脱帽するしかない。ここまで描写されたら、女性たちも、自分たちの心の内まで見透かされているようで、こわいのではないだろうか。
面白い!
伊良部シリーズもばかばかしくて面白かったけど、この本は別の意味で面白い!
男の私から見ると、30代OLの目線で見事書かれていると思います。(女性の目からはどう思われるのかわかりませんが・・・)
都会で一人で生き抜くOLさんは大変ですね。
仕事、結婚、人生、住宅・・・様々なことについて一人で対処していかなければ行けませんからね。
しかし、如何せん私のような田舎住まいには、このようなOLさんは少なく思われます。
私の周りにも、こんなOLさんがいれば、職場の雰囲気も変わるでしょう。
たいへん読みやすいガールズ小説。
「そうか、慎太郎は、わたしの現実逃避なのか。静かな気持ちで思った。現実と向き合うのがいやだから、
一回りも年下の男に恋心を抱き、時間を忘れたかったのだ。要するに、モラトリアムだ。」
なるほどなあ〜と思った作中の文章です。
読んでください。上司のみなさん。
ガールというタイトルは、レトリック。本当は、今現在、一番WOMANな年齢の女性たちの物語。学校を卒業して10年が過ぎ、一回り年の違う新入社員が入社して来る頃、ガールとしてもてはやされてきた彼女たちは、どう生きようとしているのか?がよーくわかる一冊です。
作者は男性なのに、ほ、ほーーーっというくらい、登場人物の心がわかってる!一体これどうやってリサーチしたの?と不思議なほどです。特に小さな嫉妬やあせり、競争心など、とても男性には見抜けまい、とおもわれるところまで、事細かに描かれています。
別の意味で読んでほしいのは、彼女らの上司・同僚・後輩にあたるビジネスマンのみなさん(男性)です。会社っていうところは、たくさんのエライ人と、ごく少数の仕事のできる人と、女の子といわれる若い女子社員で構成されていて、彼女らは、あまり注目されていないけど。ほんと、この位のご理解がお願いできればとおもいます。これは、彼女たちの決意表明です
「こうだといいよね!」と素直に思える、気もちのいい話
5編。それぞれが30代の働く女性を主人公に、もう「ガール」ではいられない、微妙な年齢の女ごころを描く。
すごく読後感がいい。思わずにんまりしてしまう。あー、いい話だったな、と思って。
それは、「筋の読めてしまういかにも、な定型的いい話」ではなく、「こうくるか!うーん、いいね〜」といった良さ。気もちがいい。
会社や世間や周りの人間とうまく折り合いをつけていくのは、簡単なことではない。
うまくいきすぎる展開に「きれい事」「ありえない」と興ざめしてもいいんじゃないかと思う。
なのに「こうだといいよね」と素直に感興できるのは、登場人物たちの細やかな描写が、すごく現実に即しているからだろう。
共感できるところがいっぱいだから。
人ごとだと思えないくらいだから。
友だちのあのコに似ているから。
だから、「きれい事」とはならずに「理想型」だと思える。
男性作家なのに。すごいね。
現実逃避型の本
奥田英朗は、本当に文章のうまい作家だと思う。
それだけで読む価値がある、と思えてしまう。
「ガール」は30代の女性会社員を描いた短編集だけど、もうこれ完全に「マドンナ」と対をなしてますね。
「マドンナ」が40代男性会社員の本音を描いた短編集とするならば、「ガール」は30代女性会社員の夢を描いた短編集かな。
「マドンナ」が大傑作だと思っているので、対がこれかと思うと少し残念。
ここに出てくる人々の描写はとてもきめ細かく、実在感があるけど、お話の流れ自体はおとぎ話。
本当の会社が30代女性に対して、こんなに暖かいと思ったら大間違いですわよ。
出てくる女性は全員、出世できません。
最後に爽快感を残すのが、最近の奥田英朗の手法のようなので、読んだ後、気分はよくなります。
現実逃避型の本、だと思った。
