- [著]R. フィッシャー
- [著]D. シャピロ
- [翻訳]印南 一路
- カテゴリ:
- 単行本 (298頁)
- ISBN:
- 4062134411
- 発売元:
- 講談社 (2006/06/27)
- 価格:
- ¥ 1,995 (税込)
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よく分からない、つまらない
読んでいて、よく分からない、つまらないと感じるところが多々あった。
それは何故だろうかと考えてみるに・・・
一つには、翻訳がよくない。あるいは、翻訳というより、翻訳者の日本語は不適切だ。たとえば、第4章のタイトルは「つながりを築き、敵を仲間に変えよう」だが、これで何をいわんとしているか分かりますか。せめて「交渉相手との人間関係を築き、敵を仲間に変えよう」と訳してほしい。あるいは「つながり」と訳さず、英語のままにしてほしい。
もう一つは、日本人なら当たり前のことを、さも大事なことのように書いている。たとえば、「決める前につねに相談しよう」。根回しは、日本人にとっては社会人一年生でも知っている。日本人と違うのは、なんでも分析し、戦略的に使おうという姿勢ぐらいか。それにしてもハーバード流の陳腐さを笑うにはいいが、学ぼうという本ではないと思う。
交渉にもEQが大事
「ハーバード流交渉術」という題からは、相手の弱点を見つけ、それを有効に活用するスキルやテクニック的な内容を想起しがちである。即ち、交渉とは固定のパイを奪い合うゼロサムゲームという思い込みがある為である。しかし、本書の内容は全くそれとは異なっている。
本書に紹介されている「腕相撲ゲーム」の例が端的にそれを表している。どちらかが勝つ度に1ポイントを獲得するゲームで、ゲームの目的は出来るだけ多くのポイントを獲得することとし、相手が何ポイント獲得したかは関係ないという前提でどういう行動を取るか、という問題である。
交渉はゼロサムゲームではない。寧ろ「ウィンウィン」の結果を導く為に、お互いに如何に努力するか、知的なゲームと言える。感情的にならず、相手の価値観・考え方を理解しようと努め、それに対して敬意を示せば、お互いにとってメリットのある結論は導き出せる、という主旨であろうと思う。
おそらく有能なビジネスパーソンは、本書に記載しているような内容を経験的に蓄積し、実践しているのだろうと思うが、そのような方にも、体系的に理解する為に一読をお薦めしたい。
特に目新しい内容は無いが、国際紛争などは参考になる。
前作に比べると、テーマがはっきりしているので実務でも十分参考になる。
ただし、内容は特に”ハーバード流”にする必要はない。
(ブックカバーをせずに電車の中で読むには効果的かもしれないが)
どんな交渉ごとでも、すばらしい戦略を立てて望んでも、
ネガティブな感情のむき出しで決裂してしまうことはよくある。
本書は、感情のコントロールと価値理解、つながり、自律、
強いネガティブな感情に対する対処方を
ケーススタディを用いて解説している。
ただし、内容はすばらしいが翻訳があまりよくない。
もっとわかりやすく訳せるところを、わざわざ難しくしているため
実際では使われない用語が多々でてくる。
日本人の編者がまとめれば、もっと良い本になっていたと思う。
感想
まず、この本の題名を「新ハーバード流交渉術」とすることは言い過ぎであり、「感情の利便性-交渉において」とでもすれば適当であると感じた。
つぎに、内容においての感想だが、筆者は交渉において感情が何故重要なのかということがよく述べられていて、実務的なものになっている。相手のポジティブな感情をできるだけ引き出して、相手や自分の自立性を侵害しないように交渉においての選択肢を一緒に考えて探してみるという筆者の交渉においてのスタイルはとても優れた良い考えだと思う。
しかし、とても残念なことに、この本を翻訳した印南一路氏の訳は、英語を日本語に直訳したためか、日本語にはなっているものの日本語では無いところが多く見られた。そのため、非常に読みづらいところがところどころに見られる。あと、1〜や2〜や3〜の文字の配列の仕方が雑なところもあり、この本は出版する前に、2〜3人かの権威のある日本人の学者に読んでもらって修正してもらう必要があっただろう。
そうして、もっと読みやすい形にしたらもっと理解しやすい良い本として読める。それがダメなら電子辞書か辞書を片手に英語のものを買って読んだ方が断然理解しやすいだろう。
交渉における感情の重要性
著者は、ハーバードのロースクールで長年「交渉術」を講じているということで、丁々発止と交渉し相手をやり込める術が書いてあるかと思いきや実はさにあらず。そういうレベルでの勝ち負けにこだわるのでは、真に自分が欲する利益を実現することはできませんよ、という本なのです。
交渉相手を自他の共同利益を実現するパートナーに引き込むために、著者は自他の感情に大きな影響を与える次の5つの欲求に注目します。
1.価値理解
共同利益追求のためにまず相手の真に欲するところ、尊重して欲しいことを知りましょう。そして自分自身も面子や行きがかりに囚われずに真に欲するところを理解するなら、自然と相手 にそれを伝えられるようになるでしょう。
2.つながり
交渉相手を自分と全く異質な悪魔と同一視する愚を避けましょう。交渉の場を離れたら、相手には実は子を思う親・上司に気兼ねしなければならない部下など、自分と何らかの共通項が あるかもしれません。
3.自律性
意思決定に与える影響力を最大限保持しましょう。権限の有無と影響力の有無は異なります。そして相手もそのような影響力を持ちそれを行使する意思を持っているので無視してはいけ ません。
4.ステータス
どんな人間にも社会的地位に左右されない尊重されるべきステータスがあるものです。相手のステータスに気づき尊重し、また自分のステータスを相手に気づかせ尊重するように仕向け ましょう。
5.役割
役割とはただただ組織に与えられる職務分掌のようなものに留まりません。自分が本当に有意義と感じられる役割を発見し他者に発信してゆきましょう。また、他者の望む役割や他者が 自分に望む役割について鋭敏であれ。
事例も、夫婦間の週末の過ごし方をめぐるトラブルから国家元首同士の長年の紛争解決交渉まで様々なレベルを取り上げていますが、そのようなレベルの違いを意識させることなくいずれも最適なものがあげられており、全体的にこなれた印象を与えます。
争いではなく協調の大切さについては数理的に解説した本(ゲーム理論など)や、感情や記憶など心の働きについてはそれらが我々の経済活動にいかに影響およぼすかを書いた本(eg.友野典男「行動経済学」光文社2006年)などがよく売れています。本書は、それらの知見が隆盛になる以前に発刊された本を元にしていますので、今となっては古典的な趣もありますが、あわせ読むことで人間行動・心理の複雑さを理解できるかもしれません。
感情は何がそうさせているのか、五つの欲求に探りを入れるのが交渉の準備だ
ロジャー・フィッシャーの著作を読む順序としては、’Getting to Yes’が先なのだろうが、意思決定論、交渉論の印南一路先生の著作を読んでいたので、先生が訳された本著’Beyond Reason’を先に読んだ。
そもそもわが国には、著者のような企業紛争から国際対立まで交渉のプロフェッショナルが、実践面で活躍されておられるのか、素朴な疑問である。著者紹介には、アメリカ、イスラエル、南ア、エクアドル、ペルーそのほかの交渉実績が載っているが、公開していない事例も多くあるのだろう。どちらも、知りたいところだ。
何がハーバード流なのか。印南先生が、まえがきにぎっしりと詰まった解説を付けてくださったので、よく読めばあらまし分かる。交渉を、殴り合うボクサーのイメージから転換し、困難な問題に対して共同で解決に当たる意思決定の問題と捉えること(p.2)がハーバード流原則立脚型交渉術と呼ぶようだ。交渉に当たる人や立場という格闘から離れて、自他が交渉で何を実現することが利益になるのかという関心利益実現のために、「賢明な合意」を協働してつくるにはどうするのか、という方法論を指す。
何が、新なのか。関心利益型交渉の理論の説明不足を補った点である。困難な交渉をしているときに、どうやって感情や人間関係の問題に対処したらよいのか(p.16)という問題意識である。本論で議論する、ポジィティブな感情を生み出し、ネガティブな感情に対処する戦略を扱う。
感情が生じる核心的な欲求、それは五つある。覚えるにはちょっと多いが、そこはアメリカなので。1)価値理解、2)つながり、3)自律性、4)ステータス、5)役割の五つである。欲求という概念が感情を引き起こす点の論及こそ、本書の使命である。ほかに、交渉プロセスの7つの要素というのもあり。
目次、章節まで。索引なし。参考文献あり(英文文献のみ)。ひもあり。
