- [著]城島 充
- カテゴリ:
- 単行本 (395頁)
- ISBN:
- 4062134659
- 発売元:
- 講談社 (2007/07/20)
- 価格:
- ¥ 1,890 (税込)
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出色の評伝
ノンフィクションという印象ではない。
評者は、彼を昭和39年に見ている。クロスのロングサーブからの第三球攻撃は、いまだに目に焼き付いている。
そして、世界選手権、その後の電光石火のピンポン外交、南北統一朝鮮選手団の結成などを見て、只者ではないなと感じていたものだ。
そうだったのか、だから出来たんだなと腑に落ちた。
中一で、通訳学校にかよい半年でマスターしたことたこと、低学年のときの十中で一桁の成績、納得がいった。
そして一切妥協しない強烈な個性、これははじめて聞いた話だった。(少々変わっているとの噂だった)
昭和30年代の日本卓球の黄金時代についても、多くの記載がある。
バークマン、シド、アンドレアディス,荘則棟などの名前が懐かしい。
他のいろいろについては、多くの評者と同じだから書かない。
優れたみんなに読んでもらいたい本だ。
一気読みして、人に会う度に勧める本など、そうあるものではない。これがそういう本だ。
悪いのは本の題名である。
誤った印象を植え付けられ、発行時には荻村の本が出ると聞いていたが買わなかった。
文春の今月号に、陸上の為末が“死ぬまでに読みたい本”と推薦していたから読んだような次第である。
この本を読むと、今の日本の体育界の重鎮の参考になるのではなかろうか。
中国に勝てないのも当然と思えてくる。 他の競技でも同じである。
著者はまだ42歳、綺麗な日本語だ。内容豊富、中身が濃く話題豊富しかも散漫でない。
今後の活躍を期待したい。
「拳の漂流」は今注文したところだ。
異端児ゆえのスケールの大きさ
内容は既に皆さんが書かれている通りです。
小さな卓球場からほぼ独学で世界の頂点に登り、
引退後は世界を股にかけて指導者として活躍した荻村氏の伝記です。
おそらく漫画「ピンポン」の登場人物の造形にも影響を
与えたかと思われます。
異能ゆえの行動力と発想力が度肝を抜きますが、
卓球場の小母さんとの交流は、心を暖めます。
戦後世代を象徴する巨人の一人だと思います。
しかしこの本を読むまで、存在を知りませんでした。
この本が書かれて良かったと心から思います。
作者の前作「拳の漂流」も読み応えがありましたが、
自己の心情がややうるさく感じました。
それに比べると、大変ストレートに、かつ読ませる内容です。
すばらしいノンフィクションの書き手が登場されたことを
喜ばしく感じています。
情熱の、孤高の人
家族皆が卓球好きなので、荻村伊智朗の名前は以前から知っていた。
また、テレビで放映されたので、彼の人生もそれなりに知っている
つもりだった。だが、こ本を読んで自分の認識不足を痛感した。彼の
卓球にかける情熱には、思っていた以上の凄まじさがある。卓球という
魔物に魅入られたのか?彼は命を削るようにして卓球に打ち込んだ。
けれど、その業績や功績とは裏腹に、彼の生き方に共感できる者は
少なかったのではないだろうか?まさに孤高の人だった。現役選手時代の
栄光、そして引退後の活躍。どれをとっても並みの人間にできるものでは
ない。小さなピンポン球で世界から国境をなくそうとした志には、頭が
下がる。ラケットと球があれば、言葉が通じなくても人はつながっていける。
この彼の信念が、ずっと受け継がれていくことを切に願う。卓球を知らない
知っているに関わらず、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。
偶然の重なりが必然に
はずかしながら、この人のことは知らなかった。このような人が日本にいたとは。私は、このように私とは正反対の人に憧れる。自らの信念を貫き、突っ走って倒れる。
ボリュームのある本だが、生き方の一つ一つ、また、細かな感情の変化までよく伝わってくる。著者に感謝したい。 一気に読める素晴らしい一冊。
また、表紙の何とも異様な写真、中で使用されている引退してからの写真、そして「おばさん」の写真。時の流れ、心の棘、人の優しさ。全てがバランスよくちりばめられている。
卓球、ただそれだけに一生を捧げた男「荻村」。しかし、彼は世界の「オギムラ」になっていく。
いくつもの偶然系の重なりがいつしか必然となっていく様子を感じていただきたい。
天才ゆえの不器用さと苦悩を見守った暖かな視線
壮絶な努力によって世界チャンピオンにまで登りつめ、更に国際卓球連盟の会長としても大きな業績を残した荻村伊智朗。そんな遠い存在に思える荻村を、ごく近くから暖かなまなざしで見守った伝記です。
何事にも光の面と影の面があります。荻村のまばゆいばかりの業績を光とすれば、それと表裏一体の影は人間関係の難しさと言えましょう。荻村は超人的な努力ができてしまい、また、それが当然という視点しか持たないため、仲間から疎まれ、あるいは滑稽な行動をとることさえあります。この本は、そんな荻村という一人の男が人付き合いに苦悩し、時折人間味をみせながら一生懸命に生きていた様を、一人の女性卓球道場主の暖かな視線から見事に描いた本です。
荻村氏が書いた本を2,3読んだことがありますが、あまりに自信たっぷりの記述に苦笑してしまうところが少なからずありました。しかし、この本は彼のそういう面を記述しつつも、別の面をうまく描写しています。そのため、読後感として残ったのは苦笑ではなく、悩み努力し一生懸命生きた一人の男に対する共感と、暖かなノスタルジーのような感覚でした。卓球に興味のある人はもちろん、興味のない人も十分楽しめる作品だと思います。
天才であり、奇人であり……秀逸な評伝!
私が卓球をやっていたのは、今から35年ほど前になる。荻村伊智朗は当時の卓球少年にとって「神様」のようなもので、
グリップを真似たり、フォームを真似たりしたことを覚えている。
当時(1960年代)の日本の卓球は強かった。そこに中国の前陣速攻型卓球が日本を脅かす。
そんな昔のことを懐かしく思うつもりで購入したのだが、
懐かしむよりも何よりも、荻村伊智朗とその周りの人の人生に圧倒された一冊だった。
何より、引退後には国際卓球連盟の会長まで務めた荻村伊智朗が、ここまで奇人だったとは思わなかった。
まさに天才と奇人は紙一重。
彼はその後、中国や朝鮮との「ピンポン外交」を進めたのだが、
若い頃の「奇人ぶり」を諭したりたしなめたりする、卓球場の経営者「上原さん」の目を通して、
この本は描かれる。この「おばちゃん」がいたから、荻村は奇人から天才になれたし、
「ピンポン外交」もできた――
そのことがよく伝わる好著である。
もし中高年で荻村、長谷川……といった名前を少しでも覚えている「元卓球少年」には
堪えられない一冊である。
しかし卓球の経験がなくとも面白く読める、まさに入魂の「一代記」である。
淡々とした書きっぷりも好感が持てた。
卓球を知らない読者だってきっと楽しめるはず!
1950年代に世界卓球選手権チャンピオンとなり、引退後には国際卓球連盟の会長まで務めた日本人・荻村伊智朗。これは彼の評伝ノンフィクションです。すこぶるつきの面白さです。
荻村伊智朗のことを、中国や朝鮮半島との民間ピンポン外交を推し進めた人物だと何となくは知っていましたが、彼が若かりし頃これほどまでに孤高の奇人であったとは知りませんでした。もし自分のそばにこんな偏屈な天才がいたら、それはそれはやりにくいだろうなというのが率直な感想です。
しかし本書を読みながら、荻村伊智朗に良く似た人物について読んだ記憶が蘇りました。その人物とは幕末の若者・島倉伊之助です。司馬遼太郎の小説「胡蝶の夢」に登場する伊之助は、驚異的ともいえる外国語習得力を見せた異能の人ですが、その天賦の才に比べて、周囲の人々との交際術がほとんどゼロといっても良い変人です。この伊之助のようにまさに伊智朗は、類いまれなる能力と信じがたいほどの非社交性とを兼ね備えた男です。
ですが伊之助には彼に深い理解を示した松本良順という男(幕府の海陸軍軍医総裁)がいたように、伊智朗にも良き理解者がいたのです。それは町の卓球場を経営していた上原久枝さんというおばちゃんです。貧しくやせっぽちの高校生・伊智朗が卓球場へ偶然やってきて以来、おばちゃんは彼の衣服の洗濯から食事の世話まで買って出るのです。全く持って奇縁としか言いようのないおばちゃんと伊智朗のつきあい。それは、以後伊智朗が62歳で世を去るまで続きます。
本書はこのおばちゃんの目を通して、不世出の男の生涯を描きます。周囲に迷惑をかけずきちんとあれと躾けられるのが当たり前の中で、伊智朗のような奇人が社会の中で一つの大きな役割を果たしていけたのも、こうした素敵な出会いと理解があった。昭和という時代にはそんなことがさほど珍しくなくあったのではないか、そんな思いを強く感じた好著です。
「ミスター卓球」、「ピンポン外交官」
戦後の日本卓球界を引っ張った荻村伊智朗は、よくいえば強烈な個性を持った意思の人であり、悪くいえば目的のためなら他人の思惑など考えない独断の人でもありました。
それゆえ、世界選手権のタイトルを12個も獲得したのでしょう。
現役を退いてからも、語学力と国際派人脈を使い、文化大革命以降、海外との交流を絶っていた中国卓球を国際舞台に復帰させるなど、卓球外交で活躍しました。
選手として、国際卓球連盟会長としてそれぞれの頂点を極め、94年12月4日没。
62年間の人生でした。
本書は、荻村伊智朗を少年時代から知る、卓球場を営む上原久枝さんの証言をまじえてまとめられたものです。
私は、卓球のラージボールの練習に励んでいますが、本書を読んでから、より真剣に練習に取り組むようになりました!
ラージボールの普及も荻村さんのおかげなのですね。
小さな身体から打ち込むスマッシュ、ドライブ、ショート・・・
荻村伊智朗の攻撃的なプレーを見てみたかったと、強く思いました。
吉祥寺の空
序章のタイトル『吉祥寺の空』の文字を目にただけで鳥肌が立った。なんという詩情、なんという映像的表現なのだろう。第二章『笑いを忘れた日』は荻村伊智朗の残した言葉だ。荻村伊智朗という孤高の天才がこの世に刻んだ記憶に城島充が共鳴した、これは凄烈な青春の物語だと思う。生きているうちにこんな本に出合えて本当によかった。
卓球に関係なく、すべての人にお勧めしたい感動物語である。
最高でした。
私の母が卓球をやってることもあり、大変興味がありました。
私自身、卓球のことは詳しくありませんでしたが、
卓球のことが全然分からなくても、凄く読みやすく、楽しめることができました。
気がつくと、泣いてました。
おばさんと、荻村少年の会話が、本当にリアルで、まるでその場にいるような臨場感がありました。
ドラマや、映画なんかにすると、とても面白いと思いました。
本当におすすめの本だと思います。
