- [著]D. タメット
- [翻訳]古屋 美登里
- カテゴリ:
- 単行本 (270頁)
- ISBN:
- 4062139545
- 発売元:
- 講談社 (2007/06/13)
- 価格:
- ¥ 1,785 (税込)
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異常な天才の半生記
本書の評判も筆者のことも何にも知らずに、風変わりな題名と筆者自身による奇妙なイラストに惹かれて本書を手にしたが、読み始めると興味深く一気に読み終えた。
1979年英国生まれの筆者タロット君はサヴァン症候群(ある種の自閉症)で子供の頃は人間関係がとれずに苦労するが、数学と語学の天才である。後書きの精神科医の解説によるとサヴァン症候群では左脳に障害を持つが、それを補うべく右脳が著しく発達し天才性を発揮するらしい。加えてタロット君の場合は、「共感覚」といって、数字や言葉に色と形がついてまわる。このことで、掛け算、割り算はすべて暗算で行い、円周率の2万2千桁までを図形とともに暗誦し、スペイン語やアイスランド語を1週間で習得する。(一方、筆算の計算は苦手で、行間は読めず、2重否定の文章はどうも理解できない。)
凡人にはこのように天才脳の構造が垣間見えることも面白いが、評者は上質の教養小説、自己の精神成長史として本書を読んだ。それほど裕福でない家庭の9人兄弟の長男に生まれ、家系には精神障害者もいる。4歳の時に癲癇に罹り、中学校に入るまでは1人の友達もできずいじめにも会い、ご両親は育てるのに苦労したようだ。しかし中学卒業後に海外ボランティアで英語教師としてリストニアに赴任する頃から自立がはじまり、その後英国や米国のTVドキュメンタリー番組にも出演する。現在はネットで語学学習のプログラムの制作・運営をしており、家庭では男性パートナーと幸せな共同生活を営んでいる。
文章に奢りは無く実直に淡々と記された半生記を読んで、「人は誰も障害と才能を持つが、みんな素晴らしい」と思った。
彼の姿に勇気づけられる
テレビで知ってこの本を読みました。
サヴァン症候群でありアスペルガー症候群でもある、
ご本人の自叙伝です。
共感覚については、学術的な説明ではありませんが具体的な説明がされています。
数字の1は明るく輝く白で6は黒い点、8、9は暗い色なので189というひとつながりの数字は
他の数字より美しく感じられるなどです。
本全体を通しては、著者のいままでの人生が語られています。
困難にめげず生きていくことに挑戦していく彼の姿に勇気づけられます。
特にレインマンのモデルとなったサヴァン症候群のキム・ピークに会って、心が通いあう場面
は心打たれます。
DVDも出るんだって!
本書の内容についてはもうみなさん書いてらっしゃるので言うことナシです。
で、NHKでオンエアされたドキュメンタリーのDVD「ブレインマン」が8月に出るそうです! しかも放送時間の都合でカットされていた5分間分も復活だそうで、その中に、本の中のハイライトでもある、ラスベガスでブラックジャックをやるシーンも入ってるのだとか。見たいよ〜!
その人の世界
サヴァン症候群といわれる、
人と違う能力を持った人の手記である。
数字の理解の仕方が人と違う。
世界の仕組み。その捕らえ方の違いによる摩擦。
誰にとってもすみやすい世界は理想であるが、
それぞれの理想が違うのもまた叱りであろう。
本書を読むと、
一人一人の世界が違うことを強く意識させられる。
そういう一人一人の世界を大切にすることも、
また重要なのかもしれない。
ブレインマンの真実
ドキュメンター「ブレインマン」を観たのは2年ほど前。
円周率を2万桁暗唱したり、
2週間でアイスランド語を習得したりと
すごい天才ぶりを発揮していたダニエル・タメットの自伝。
ほんとうに自分のことを率直に語っていて、
(たとえば、ゲイであることの告白とか)
テレビでは、天才のすごさばかりを感じていたが、
実際の生活では
こんなにも内面に苦悩を秘めて成長してきたということが
この本を読んで分かった。
誰もが分かることが理解できない苦しみを
両親や周りの献身、そして自分自身によって
乗り越えられると彼自身の人生で証明したことに感動する。
彼は大きな障害を抱えていたが、
大なり小なり誰もがさまざまな障害を抱えており、
それが克服できるのだということに勇気づけられる。
人類にとってとても貴重な記録
本書は、サヴァン症候群の著者が、自らの半生を綴ったノンフィクションです。
通常、この病気の人は自らを客観視し、人に伝えると言う作業が困難で、それ故、彼らの内的世界でどのような事が起こっているのかを、外部の人間が理解出来なかったのですが、著者のダニエルは、普通の人とほとんど同じ(むしろ内的世界の描き方はより純粋な)レベルで、彼のこころの内側を詳述しています。
このような記録が残された事自身、奇跡のようなもので、本書中でカリフォルニア脳認知センターのシャイと言う研究者は、「きみは科学者にとって、一生に一度あるかないかのチャンスなんだ」と言ってますが、まさにその通りです。
ワクワクするような知的好奇心と、ハラハラするようなストーリーと言う期待をここまで満たしてくれる本はあまりありません。
ご両親に乾杯
人はみんな同じではなく、個人の特性があります。頭では分かっていてもどうしても相手を理解できない、と言うことは少なからずあるはずです。まして理屈ではなく本当に相手の気持ちが「わからない」とか「どうしても理解できない」となると話は複雑に。
筆者は今からさかのぼって自分を振り返り、過去に彼の頭の中ではどのようなことが起こっていたのかを、そして現在どのように感じているのかを私たちに教えてくれています。
赤ちゃんの頃の彼は扱いにくく、育てづらい子である。ただでさえ、幼い子は言葉で表現したり、気持ちを伝えることが拙いため、ぐずったり癇癪を起したりと手こずる事があると言うのに常に抱いていないとだめだったり、ゆすり続けなければならなかったご両親の苦労は並大抵ではなかったはず。第1子であれば子育てすら始めてだったかもしれないと思うとなおさらです。このように社会で活躍している姿を見てさぞかし喜び、ほっとされていることでしょう。
読んでいて感じたことは、いわゆる普通の人とは違う特徴があると言うことを、それは脳の機能が違うと言うことをきちんと認識したうえで接することが出来たら、それほど複雑は話ではないのではないか、と言うことです。もちろん筆者のように自立した生活を送れるのは例外かもしれない。でも少なくとも人ごみが苦手です、手順が変わると対応できない、などの知っておくべきことがあらかじめわかっていれば社会での受け入れ準備もできるような気がするのです。これだけたくさんの人が影響を与えあって暮らしている社会。彼の存在が新たな影響を与え、自閉症スペクトラムの特徴をもつ人たちも当たり前に暮らせる社会になればいい、と思います。
本人の好印象は残ったが、もっと違うことをもっと深く知りたかった
個人的には彼が備える「共感覚」と言うものに興味があったのだが、本書ではその学術的な分析は物足りなかった。以前、リチャード・E・シトーウィック「共感覚者の驚くべき日常」を読んだが、それでは感覚の主体的な表現が不足で、何か決定的な事実が書いていない不満を感じていた。そこで本書に大いに期待したのだが、今度は逆にあまりにも当人に日常的すぎて、外部の一般人には伝わってこないように思えた。本人の性格やライフスタイルに対する好感の印象だけが残った。
結局、本書の魅力は本人の言葉で言うところの「僕の能力は以前とまったく変わっていないの、子どもの頃や思春期にはその能力のせいで同級生たちから疎まれ、孤立を深めたが、大人になってからはその能力のおかげで人とのつながりや、新しい友人ができたのだ」が最大のポイントであり、読みどころは彼を支えた家族の偉大さだと思う。テレビのドキュメンタリーが評判になっただけはある。
天才
脳障害によって天才になった人。
実際にこのような人の自伝を読んだのは初めてだが、天才的な才能を自慢するでもなく、自分の才能として受け止めている。
また、悩みや同性愛についても書いてあり非常に面白い。
共感覚も
こちらはタメット氏の自伝。
サヴァン症候群で、アスペルガー症候群、そして共感覚の持ち主でもある。
数学だけでなく、語学に秀でている所がすごい。
淡々とした語り口が小気味よい。彼自身の独特の世界をかいまみせてくれる。
数学が好きな人って、皆素数が好きだねえ。
「夜中犬に起こった奇妙な事件」(こちらは小説だが)
と併せて読んだので、わかりやすかった。
