- [著]加藤 仁
- カテゴリ:
- 単行本 (246頁)
- ISBN:
- 4062140667
- 発売元:
- 講談社 (2007/06/02)
- 価格:
- ¥ 1,680 (税込)
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人間の幸不幸の量はみんな同じ??
ラグビーの日本代表監督を務め、メガバンクの専務にまで昇進されたこの方のことを私はこの本で初めて知りました。
ラグビーファンは言うまでもなく、日本代表の監督はスポーツマンの憧れの座でしょうし、日本を代表する銀行で役員になることもサラリーマンの羨望の地位でしょう。
住友銀行入行時から当時の頭取に目をかけられ、大きな支店への配属からロンドン支店に派遣され、本部で長く勤務をしたのち、支店長部長役員になるという、銀行員として恵まれた経路のみ歩んだことからも、サラリーマンとして運の強さが付きまとっていたことは確かです。
その上、目をかけてくれた上司にはきちんと結果を出すことで応え、人間関係は信頼関係を築くことができたという、仕事上での才覚と人間関係上の如才なさを兼ね備えた、企業で上に立つことができる人間としての器を持って生まれた方だったことがこの本でわかります。
身長160センチそこそこという体格的ハンデを乗り越えてのラグビー界での活躍や銀行で与えられた期待につぶれることなく順調に昇進したこと、これらはご本人の絶えざる努力、創意工夫、熟慮の結果であったことは言うまでもないことでしょう。
それだけの際立った能力を持っていて、それが結実して成功したにもかかわらず、50代半ばという年齢で急逝したことはご本人にもラグビー界にも銀行にもご家族にも惜しまれて余りあることだったのでしょう。
ここでふと、美輪明宏さんが仰っておられる「正負の法則」を思い出しました。人間の幸せと不幸の量はみんな同じ、と美輪さんは書いておられます。
ラグビーと銀行という2つの世界で人もうらやむ成功を成し遂げた方、家庭も円満で人間関係も良好で、欠けるところのない満月のような人生を歩んできた、しかし、多くの人には与えられている円熟した老境の人生、息子が職業を持って自立して結婚し孫の成長を見て、幸せな老人として天寿を全うする人生はこの人には与えられなかったということです。
何をもって幸せと言うかは、その人ごとに考えがあり、一概に言うことは難しいですが、人間の人生で全ての幸せを掴むことはかなわないのかもしれません。
この本を手に取ったのは、銀行員として出世コースを駆け上がる人はどういう人なのだろうという興味からですが、その点でかなり面白く読めました。
また、一人のサラリーマン、スポーツマンとしての人生経路をたどった本としても上手に描けていると思います。
ただ、死後の評伝なので当然と言えば当然ですが、頭取になれたはずのように表現するなど、少し持ち上げすぎかなという気もするので、星4つにしてみました。
スーパースター宿沢
スコットランドに勝利したときの感動 思い出しました。
「だから勝つと言ったでしょう」
目標を達成するには何をやればよいのか?ラグビーに限らず、全てにおいて戦術・戦略を練り方法論を吟味し実行する。努力する・一生懸命やるなどの漠然とした行動ではなく、何をやれば目的を達成できるのかを常に考え行動してきたまさに強靭な精神力を持ったスーパースター宿沢広朗。
宿澤広朗 運を支配した男
私も同じ銀行員ですが、宿沢さんもラガーマンであると同時に一人の企業人であったことがリアルに描かれています。彼の考え方や生き方は、そのまま真似することはできませんが、「運を支配する」・・・つまり、運とは、その背景にある限りない努力の結果だということ・・・そのくだりは、初めて彼の言葉を耳にした私にはとても新鮮で、かつ心に刻まれるものでした。常に孤独で、一人の人間として本当に幸せだったかどうかはわかりません。しかし、彼の生き様は多くの人の心を揺さぶり、多くの人に語り継がれるものだと思います。今の人生がつまらない・無気力だ、という人にはお勧めです。あっという間に読めてしまうので、ぜひ一読をお薦めします。
幸せだったのかなぁ
ラグビーマンとして、早稲田大学のSHを努め、大学生として、史上初のラグビー日本一連覇。また、オールジャパンの監督として、ラグビー強国スコットランドを破り、ワールドカップでも唯一の勝利達成。一方、ビジネスマンとしては、メガバンクの敏腕ディーラーとして、空前の利益を稼ぐと共に、松下等の難案件を裁き、専務まで昇進。まさに、文武両道を地で行った男の物語であり、読んでいて面白い本です。
ただ、その一方で、止まったら死んでしまうとばかり、家族はもとより、友人にも弱みを見せず、突っ走る反面、人知れず、一日にタバコを3箱吸う日々日を繰り返し、山登り中の心筋梗塞で急死された主人公。若かりし頃の、か細い容姿と、亡くなる直前の、小太りされた姿を拝見し、レベルは天と地ほど違うとはいえ、同じビジネスマンとして、この人の一生は、果たして、幸せだったんだろうかと考えさせられた1冊でもあります。
最初にも、書いたとおり、もちろん、ヒーロー伝として、面白いだけに、よけい複雑に思ってしまいました。
ラグビーの話を期待すると……
7〜8割はビジネスマンとしての氏を扱っているので、ラグビーの話を期待して読むとガッカリするかもしれない。私はまぁビジネス書にも関心があるので面白く読めたが……。
「リーダーシップ」と「孤独」とは・・・、社会人に必読の書です
スクラムハーフのはしくれが我が家にもいる。そして、僕はラグビーに関して(勉強不足で)詳しくない。
しかし、昨年の宿澤氏逝去は今でも強く印象に残っており、書店で本書を見つけて、控えめな表情の表紙写真とタイトルに惹かれて買った。
「運を支配した男」というが、ページが進むにつれて、それは二面性を持つことがわかる。
徹底的な努力をし、考え抜き「勝つ」ことに執念を持ち続けたことと、
止まれば自分はどうなるかわからないという獏とした不安感に「負けない」という意識、本書は彼の生き方をこう解釈している。
人脈に恵まれたことを始めとして、強運の持ち主であったようではある。
しかしその生き様は壮絶であり、そして爽快でもある。これは、ノーサイドの精神の発露なのだろうか。
前半は“人間 宿澤広朗”に関する記述が多く、買ってすぐ電車の中で読みながら笑いを堪える場面も結構あった。とても、人間くさい方だったようだ。
後半、銀行幹部として見せる獅子奮迅の活躍と、ラグビー協会理事としての苦闘は対照的様相を見せる。
いずれも、秘守の面からどこまでが真実かはわかるはずもないし、人によって見方は全く変わるであろう。
しかし、どちらにおいても底流には、他人に計り知れない重圧、苦悩があったことは想像に難くない。
傍目には華やかさに包まれ続けた人生に見えるが、宿澤氏にとっては、
特にラグビーに関して自分が理想とすることをどこまで実現できたかという点で、無念があったのではと拝察する。
最後に、本書はビジネスリーダーの本質を平易に説く書としても優れている。
宿澤氏自身の、そして業務で関わった方達の言葉には、現場感覚を持った多くの含蓄があり、机上の空理空論は一切ない。
これもまた、本書に爽やかな読後感をもたらしている。
すごい男がいた…きっと忘れない
ラグビー日本代表監督とメガバンクの役員。どちらかひとつだけでもかなりの重責を感じる肩書きでありながら、この2つの仕事を見事にやってのけた男がいました。
宿澤広朗。その早すぎる死は本当に残念でなりません。
本書では、彼の幼少時代から、ラグビー選手時代、ロンドン支店勤務時代、ラグビー協会幹部時代、銀行での役員就任時代に至るまでの、彼の行動と業績を書き起こし、そのポジティブな考え方、創意工夫をこらす姿勢、とにかく負けないという哲学を持ち続けた人物像を描きます。
どのような業績を上げたか(その業績がいかにすごいことか)という点での説明はあまり多くなく、どちらかといえば、宿澤氏の人間性や考え方にスポットをあてた内容になっています。
使い古した言い方ですが、その早すぎる死は本人が一番無念だったろうと思います。
「もしも」はないのですが、彼がいたら、今後の日本ラグビー界、三井住友銀行はどのようになったのか見てみたかった、と強く思う一冊です。
理想の男
学生時代の理想の男はスポーツと勉強ができるヤツ。社会人になって理想の男は仕事ができて人望が厚いヤツ。
但し、なかなか理想どうりにいかないのが現実。
スポーツだけだったり勉強だけだったり、仕事はできても性格がねえ。。。といったところではないだろうか。
普通はそこがまあ安心できるところで、どうせあいつは勉強だけだからと言って自分を納得させてしまいがちです。
しかし宿澤広朗さんは勉強、スポーツ、仕事、人望とどれをとっても文句なし。
それも持って生まれた才能ではなく、地道な努力を積み重ねることの結果で。
簡単に低いところで自分を納得させてしまうのはとても残念なことだと思いました。
たゆまぬ努力を積み重ねることで運をも支配できる気分になりました。
ラグビーのことを全く知らなくとも十分刺激を受けることができます。
スポーツや仕事をがんばりたい人に一読をおすすめ。
運の良さと努力
個人的には宿澤氏を知らなかった。が、読んでいくうちに彼の努力、ラガーとしての
才能、銀行員としての苦労、社会人としての運。それらに、グイグイと引き込まれて
一気に読み切った。
彼には、とても強い運が付いていた。それに付いてゆく努力も出来た。それらが
相乗効果をあげ、彼の人生があったのだろう。
意志の強さ
宿澤さんは早く逝きすぎました。
本書を読んで、あらためてそう感じました。
本作は丁寧に多くの人にインタビューを重ねて、
宿澤広朗という傑出したリーダーを描いたドキュメンタリーです。
銀行での宿澤さんとラグビーでの宿澤さんで共通する資質というか、
本書で明らかにされる個性は、
「意思の強さ」なのかあと思いました。
本書の読みどころは、
その宿澤さんの意志の強さを傍証する証言の数々です。
宿澤さんは、
日本ラグビーに魂を込めて、頂点への筋道を描くことのできた、
希少にして、とことん尊敬に値する人物です。
