- [著]貴志 祐介
- カテゴリ:
- 単行本 (573頁)
- ISBN:
- 4062143240
- 発売元:
- 講談社 (2008/01/24)
- 価格:
- ¥ 1,995 (税込)
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圧倒的世界観!
どうやらSFらしいという予備知識だけを元に読み始めました。
物語は、今から1000年先の日本。
たぶん核戦争後、人口は激減し、あちこちにコロニーを作って人々は生活をしている。
近代的機器を排除し、「呪力」と呼ばれる超能力を使って生活する。
未来の話でありながら、懐かしいようなかつての田園風景を思わせるような街。
「呪力」を身につけていく子供たち。
何やら訳のわからない世界が徐々に明らかになっていく不思議な感じにゾクゾクし、一気に引き込まれました。
この世界観を零から創り出す作業が出来る頭脳に感服です。
私は、後半のバケネズミの謀反による戦争部分よりも、前半の方が引き込まれるものがありました。
一気に引き込まれ、一気に読み上げましたが、読み終えてみると、何か違和感を感じます。
前半と後半では、ややテーマにズレを感じました。
あと、主人公・早季があまり魅力的では無かったのが、やや残念です。
生々しく迫力ある描写!!
もう少し下巻の中盤からの畳み掛けるような展開を期待していたんですが、全体通して意外とじっくり進んでいたように思います。東京に行ってからはもうちょっとスピーディーな展開を期待したかったかな。 あとなぜ悪鬼があれほど強大な力を持っているのかについての説明が最後までなかったのが残念でした。真理亜達のその後の下りを含め。 しかし全体としては極めて壮大な物語でありながら現実世界とも通ずる部分もあり、考えさせられました。またきめ細かい描写には話の中に吸い込まれそうな迫力があり、話の中にどっぷりと漬かることができます。1000ページという量を感じさせることは全くありませんでした。
夢にこの世界が出てくるほどのインパクト
SF的な要素を含む上下合わせて1000ページを超す大作。
普段、現実的な世界の話しか読まないボクには、SF的なこの世界観は苦手だと
思って読んでいましたが、上巻半ばあたりから一気にのめりこみ、すっかりこの
世界を堪能してしまいました。
貴志さんは恐怖の描き方が素晴らしい。
怖かった。
もはや人類とはいえない?
バケネズミの根元・正体は序盤から疑いながら読み進めていたので、かえって展開が中盤から後半までわかりやすかった。(初めからバケネズミの存在理由や物語の先が読めていた。)
呪力であらゆる生命に影響を与えながらもお互いビクビクしながら管理しあっている。呪力に頼りつつもしだいには無意識に漏れだす呪力を排除しなければならない。
舞台は日本でありながら、日本人にしては爆発したような縮れた髪、または真っ赤な髪の毛の同級生。早季達の詳しい「外見」の記述はないあたり、ワタシ達が想像する外見とは変化していると考えられる。幼年期からの同性愛を推奨しながらも近親交配を嫌悪し、瞳の光彩が左右4つもあったり、250年を生きるリーダーを受け入れる。そして「人間」が「人間」を攻撃できなくなった時点で「人間」的でないように感じさせられるこの矛盾。早季達「人類」ははたして「人間」といえるのか?
長編でなくていいからバケネズミ側の物語を読んでみたい。
人間の恐ろしさ
貴志先生の作品は全て読みました。この作品も一気に読み進めて
しまいました。いやあ、さすがの一言です。ハリーポッターと猿の
惑星、スタンドバイミーと漂流教室を足したような...それらの
魅力が渾然一体となりつつ、宗教観を絶妙に交える事で、チャチな
超能力モノには到達できない完璧な世界観を作り上げています。
普通の人間の恐ろしさというか、人はどこで一線を超えてしまう
のか。
ウィルス?遺伝子異常?薬物?...自分の信じる正義のため?
これで4000円なら安い買い物です。
生々しい実在感
作品とは、作家が書いているものだが、作家の意図や意識を超えて走り出すものがある。「新世界より」は、まさにそれだ。この不気味で不穏な世界は、貴志祐介によって作り出され確立されたときから、徐々にそれ自体で呼吸を始めたのだ。
読み終わって改めて上下巻を並べてみると…厚い!こんな世界をよくも作り出したものだ。並の作家なら、この世界を描き続けてライフワークとするくらいの、圧倒的な実在感である。いい作品に出会った喜びを、素直に作者に表して感謝したい。
すごい、の一言
ほんとに、この作家にはいつも驚かされます。
今まで私の中のベストは「天使の囀り」だったのですが、
それをはるかにしのぐ傑作だと思います。
現実離れした舞台設定や細かい描写のおかげで、決してスラスラ読み進める
物語ではないのですが、それでも上下巻一気に読んでしまいました。
奇妙だけどどこか懐かしいようなな不思議な世界にあれよあれよと引きずり込まれ、
自分もまさにその場にいるような臨場感で読み進み、最後には「な、なるほど〜!」
と膝を打つことでしょう。
2匹のバケネズミが物語の最後まで関わってきますが、好き嫌いはあるにせよ、
どちらもそれぞれに格好良かった。
大好きな作家なので、もっともっとたくさん書いて楽しませて欲しいです。
気持ち悪かった(笑)
本作はこれまでの作者の集大成と言っていい。
「ISOLA」の超自然、「黒い家」の狂気、「天使の囀り」のバイオ、「クリムゾンの迷宮」のサバイバル、「青の炎」の少年少女の交錯。
それに加えて若年層へのウケ狙いともとれる魔法力、異世界、同性愛などもちりばめている。
個人的に超能力といえば「アキラ」(大友克洋)なんだが、機械に人類の歴史を語らせたり東京の地下鉄を舞台にするあたりは「漂流教室」(楳図かずお)を彷彿させた。
異世界は主に架空の生物の執拗な描写によって不愉快さを伴いながら実感されるので、ここで好き嫌いが出そう。
しかし理論的に考え抜いて構築された世界観は、ご都合主義的な展開を補って余りある説得力を持つ。
考えさせるのは、過剰な力を持った人間のテンマツ。
全人口の1%にも満たない人々がサイコキネシス(PK)を発現させたことをキッカケに世界が呆気なく崩壊するくだりは、何だか嫌な説得力がある。
このPKは当然その時代時代の強力無比な威力を持つ兵器、例えば核兵器などに置き換えられよう。
そして絶対兵器を自ら都合良く抑制することによって墓穴を掘り(悪鬼)、歪みを取り繕うために生み出したもの(バケネズミ)に足元を掬われる、それらはこの「新世界」でない現在にも通じることである。
自らの想像力を超えるものを手にすることは、いつの時代も危険なのだ。
そのあたりのテーマを、先述した持てるだけの要素を注ぎ込んでストーリーとして整合させたのは見事と言うしかない。
それからやっぱり怖かった。
問答無用で狂気に走れば、平凡な青年が包丁一本で大量殺戮を犯してしまう世の中である。念じるだけで人を紙のようにバラバラにしてしまう能力が人格の優劣問わず振り撒かれたとしたら・・・
溢れるパワーの傑作
あっという間に、上下巻を読み終わりました。
読み手の既成概念を超えたワールドに圧倒され、まだ頭が痺れています。
正に空前の世界の物語をを最後まで、球速の衰えない(安易な妥協のない)パワーに敬服しました。
時には少々の暴投や、四球もありましたが、作者が全力投球した作品を真っ向から受け止める体験は、実に気持ちの良いものです。
そして、久々に読後の余韻にも浸っています。
本当は早季と覚が今後、周囲の目の制約の中で、どのような郷を創っていくのか。また彼らの子供たちの目から見た世界の移り変わりや冒険。
そして1000年後を舞台にした世界の展開。など、続編も読みたいのですが、この余韻を大切にしておくのが良いのでしょうね。
とにかく既存のスケールを超えた傑作です。読んで下さい。
私はどっちを応援すべきだったのしょう?
アマゾンの書評に誘われるように上巻だけを注文した。
憑かれたように二晩で読み終わる。
そして近所の書店で下巻を購入。
奇しくも 、アーサーCクラークの訃報が飛び込んだ。
「銀河帝国の崩壊」を読んだときの感想が30年のときを超えて湧き上がってきた。
『人間の存在の意味への疑問』です。
原爆の投下 ルワンダ、コソボの大量虐殺から管理された教育まで
私は「新世界より」のページをめくるたびに、私が生きている社会で起きている事ごとを連想しながら身悶えた。
最後の最後、囚われた反乱「ばけねずみ」のリーダーが裁判において発した言葉が頭を離れない『私は**だ。』伏せたほうが読む楽しみになるでしょう。
悲しいお話です。
