- [著]千足 伸行
- カテゴリ:
- 大型本 (133頁)
- ISBN:
- 4062547651
- 発売元:
- 講談社 (1996/11)
- 定価:
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アル中として有名なのにどうして、あんなに印象的な「白壁」の絵を描いたのだろう
父親は分からず、母親のヴァラドンは、絵画のモデルや画家として生計を維持しており、とても恋多き女性だったようで、祖母によって育てられました。
母の愛に飢えていたこともあり、精神的に不安定になった13歳頃からアルコール依存症のため精神病院へ送られ、入退院を繰り返す人生でした。
最初、絵を描くことは、治療のためだったようです。
また、路上でキャンバスをひろげて描く時、他人に暴力を振るう習癖があるため、(特に妊婦さんを蹴ったようで、女の人を嫌悪していたようですね)、町の人たちから、外で描くことを許されず、絵葉書を元にあの白い壁の一連の絵を描いたのでした。
生活圏であるパリのモンマルトル界隈ばかりを描いたわけですが、漆喰壁の白は、微妙にくすんだり灰色がかったりしていますし、空の色もどんより曇っています。単純な色彩ではないのが、またそのユトリロの個性を強調しています。精神的に病んでいたこともあり、「白」で塗り尽くすことで精神の安定を図っていたかのようです。
実際、パリの画商が愛したのは30歳前後の「白の時代」の作品で、絵は当時から高く買い取られたようです。
ユトリロの名声が上がるにつけ、母がユトリロを頼るようになります。傍にいることで精神的に安定したせいでしょうか、その頃の絵は、「色彩の時代」といって、屋根や壁の彩色も鮮やかに、空も青く描かれています。
彼の自宅近くのキャバレー「ラパン・アジル」を何枚も描いています。「白の時代」から「彩色の時代」まで、繰り返し描かれるわけですが、彼の精神の変化をその色調が物語っているようです。ただ、その後の結婚生活にもめぐまれなかったという悲しい人生を送りました。
