- [著]佐々木 毅
- カテゴリ:
- 単行本 (252頁)
- ISBN:
- 4062717115
- 発売元:
- 講談社 (2003/02)
- 定価:
¥ 1,995 (税込)- 在庫状況:
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とっつきやすい一冊
著者の専攻は近代思想であるが、「プラトンと政治」という著書が示すとおり、古代の政治思想にも関心を示している。
第1章 ソクラテス以前とソクラテス―人間にとっての政治(掟、ノモス、傲慢;ギリシア的な政治―ポリスと自由人 ほか)
第2章 プラトン―哲人王の意味するもの(イデアと人間;魂と政治)
第3章 アリストテレス―ポリスと人間の諸相(経験的分析の視座;実践の概念と学問分類 ほか)
第4章 ヘレニズム諸派の時代へ―大帝国の出現と脱ポリスの哲学(アリストテレスとギリシア的伝統;ヘレニズム世界と哲学の変容 ほか)
第5章 古代ローマの哲学と政治論―政治の意味と無意味(ローマのジレンマ;キケロ ほか)
その語り口は分かりやすい。思想を表現するものとして、分かりやすさはもっとも必要とされるものである。とくに、入門的なものは明快性は欠かせぬものである。
この一冊ですべてを尽くすことはできないが、きっかけを与えるものとしては最上の古代政治思想の入門書である。これには中世思想を述べた続編がある。
政治−すべてはここから
政治を学ぼうと思う人は、遠回りのようだが、古代思想から始めるのが王道であり、一番の近道である。この本は政治思想研究の大家である佐々木毅先生の著作であるが、非常に読みやすく、内容にも信頼が持てる。
正味な話、政治思想における現代に至るまで議論は、すべてこの古代思想が土台となっている。政治哲学はすべてプラトンの注釈といった人までいる人ぐらいである。難解な現代思想(構造主義や、ポスト構造主義)で時間を浪費している人は、まずは、この古代思想からはじめることで理解への一歩となるだろうし、正直、デリタを10回読むより、この本を1回読んだほうが価値がある。と思う。
カルチャーセンターでの講義レベルではない
思想・哲学とは、それぞれの思想家・哲学者が、まさに眼前で起こっている社会の変化に対応して思索を深めたものものの結晶であるということがよく分かる本。古代ギリシャにおける知的営みが観念論ではなく、ポリスを取り巻く情勢の変化に対応して人生の意義付けを行おうとするものであり、それがゆえに現代にも適用できる潜在力を持っているのだと思わず頷いてしまう分かりやすさである。これまで無味乾燥な知識として断片的に知っていた人名、概念が自分の中で生き生きと動き出す感じをもった。記述ぶりは軽快ながら、斜め読みではなく、込められた筆者の意図を味わいながら、立ち止まって自分の頭で考えながら読むことをお奨め。難解・不要な概念を削り込んだ大吟醸酒のようなできばえ。こんな本が手に取れて幸せだ。
最善の西洋政治思想史入門書
カルチャースクールの講義ということもあり、難しい内容を易しく述べている。しかも、本質的かつ面白い。これは、とかく難解か羅列かという思想史テキストにおいては稀有と言える。
古代思想からは逃げられない
本書は古代ギリシア・ローマの政治思想を取り扱ったものである。
西洋政治思想を考える上で、いや、政治と哲学を考える上で、この古代ギリシア・ローマは避けては通れない。それは、この時代は政治と哲学が密接に結びついていた、つまり、人は如何に生きるべきか、どのような生活を営むべきか、そして、生のあり方と秩序はどのような関係にあるのか、ということが率直に議論されたからである。我々がしばしばそのような古代ギリシア・ローマに立ち返ることは、そこから示唆を受け、刺戟を受け、それによって現代を再考する契機となる。
公開講座を基としているためであろう、余計な解釈論を扱っていないので非常に読みやすい。とは言え、「読みやすさ=内容の薄さ」を意味しないことは勿論言うまでもない。この本には種々の内容が盛り込まれており、絶えず思索の世界に導いてくれることは間違いない。
それ故に、「政治の意味は何か」を考えるために、読んで損は全くない一冊であろう。
