- [著]藤原 伊織
- カテゴリ:
- 文庫 (342頁)
- ISBN:
- 4062731762
- 発売元:
- 講談社 (2001/06)
- 価格:
- ¥ 620 (税込)
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オススメの一冊
「テロリストのパラソル」からのファンですが、この「雪が降る」は最も好きな作品です。
人間の感情や行動の底にあるものを読み易く、かつ無駄の無い文章で表現しており、
読んで損はないと思います。
読んだ後に貴方は何を感じ取るでしょうか。
勿論、他の作品も優秀作ですよ。
ハートフルな切なさ
なんと言っても表題作の「雪が降る」が秀逸だった。
忘れ得ぬ過去からの呼び声に似たメールによって明かされる、心の奥に残る傷の甘い痛み。
それを感傷に溺れることなく淡々と描き出し、最後には未来への希望をも感じさせる。
くたびれた中年男をこんなにも格好良く書ける作家は、藤原伊織をおいて他にはいないのでは
ないだろうか。
だからこそ、作者の早すぎる逝去が悔やまれてならない。
切なさに満ちていながら、心震える温もりをも感じさせる短編集である。
作者の独特の感性が光る
登場人物の息遣いや手のひらにかいているであろう汗まで、読み手は
感じることができる。会話の中での何気ない言葉、ちょっとしたしぐさ
などで、人間像は現実味を帯び、深みを増す。どの話も、心理描写が
抜群にうまいと思った。報われるか?報われないか?と尋ねられたら、
報われないと答える話ばかりだが、彼らは決して人生をあきらめたわけ
ではない。そのことが自然と行間から感じられる。どの話も面白かったが、
「男」を感じさせる「紅の樹」が一番印象に残る。作者の独特の感性が
感じられる作品だった。
宝石箱
藤原伊織の史上初だった江戸川乱歩賞・直木賞のダブル受賞後の短編集。
この作品をあえて比喩的に表現するならば、それは『宝石箱』となるかもしれない。
数々の美しくも儚い人生が詰まった箱なのである。
藤原伊織の作品はどれも文書がよく練られており、名文が多い。
しかも、その文によって彼独特の世界を作ってしまうところが凄い。
中に収められている作品はどれもすばらしいものばかりだが、個人的に一番好きなのは表題作『雪が降る』である。
少年から届いた短いメール。そして語られていく過去の物語。
あまりに美しく、涙が出るほどのストーリーにはもう絶賛するほかない。
秋が終わり、雪が降る季節になるとどうしてもこの作品を思い出してしまう。
また、名作『テロリストのパラソル』の主人公の逃亡生活時代の話も読むことができる『銀の塩』もよかった。
藤原伊織の短編集だからこそ見える世界があるのかもしれない。
この季節に読み返す本
今年は暖冬のようだが、そろそろ雪が降るだろうか。この季節になると読み返したくなる作品集である。
1通のメールにより、薄らいでいた過去の記憶との対峙を迫られる表題作。その過去とは、20年ぶりの再会でふたたびの恋が始まるかと思われたのも束の間、訪れた悲劇的な出来事だった・・・・・
仕事ができてバクチ好きな、藤原氏自身を思わせる主人公、同じく有能で温かくまっすぐな心根をもつ友、20年の歳月を経ても魅力が損なわれないかつての思い人、友と結婚したその女性との間に生まれた利発な少年・・・と役者を揃え、短編ならではの手際のよい展開で読者を魅了する。限られた枚数の中で人物像を鮮やかにあぶり出し、一人ひとりを強く印象に残す。鍵となる未送信のメールの文章は、暗記してしまうほどすてきだ。
再会した男女の振る舞いは、まるでおとぎ話のようではないかという感想をもつかたもいらっしゃるだろう。反論しないが、個人的には、つい先だってある作品に「おとぎの世界」とレビューを書いたばかりだけに少々きまりが悪い。しかしこうも言える。どんなに年齢を重ねようとも、女は、気に入ったおとぎ話なら何度でも繰り返し読みたいものなのだ。
新しい世界への模索?雑誌の要請?
彼の過去の作品の中で、「短編集」というジャンルでの挑戦に興味を持った。というのは、藤原氏は「テロリストのパラソル」で「燃え尽きてしまったのではないか」という印象を持っているので。
新しい世界への紹介を挑戦しながら、結局は、20〜30年前の「過去へのこだわり」というテーマを外せないという「愚直さ」が気になった。
「過去」のない話を書くことが出来ないのであろうか?
きみのお父さんを友人にもったことを、私は、誇りに思う。
長編にできそうなエピソードが
さらりと読めるように洗練され整理されて盛り込まれた短編集です。
それぞれ書かれているテーマは違っていますが、人と人のやさしい感情のやりとりを男性らしい視点で描いていて、気持ちがよいものばかりです。
涙がでました。
今更なのですが。。。入院した際に自宅から持ち込み夜な夜なじっくり
読み直しました。
前々からのお気に入りの一冊です。
台風 雪が降る 銀の塩 トマト 紅の樹 ダリアの夏 の6つの短編集。
全てに於いて味がある。三色アイスならず六色アイスのような本。
爽快な味もあればすっぱ味のものもあり。
でも、どれも心惹かれると思うの私だけでしょうか?
テロリストのパラソルを読んだ上での銀の塩は「やはり苦労しているんだ。。」と主人公 島崎の生活を垣間見れる。
雪が降る は志村の返信メール一行で涙が溢れました。
たったあのページ数で物語をここまで持ってくる展開の良さはやはり
広告代理店にいた結果なのでしょう。
本が苦手でもすんなり入れる素敵な一冊です。
テロリスト、ひまわり、そして雪が降ると読んできましたが
いつも泣かせるいい話だと思います。彼の中には「無法松の一生」が見え隠れするような気がします。男の忍ぶ恋、葉隠れの世界かもしれませんが。「トマト」を読んだときに、スナックのマスターが玉ネギを刻むシーンを思い出しました。それから吉田健一のほめた尾崎士郎の人生劇場の現代版のような面白さを感じます。
なかなか傑作揃いの作品
実は、藤原伊織の本を読むのは初めてで、どんなもんかと思っていたのですが、これがなかなか渋いロマンチストですね。
私はタイトルにもなっている「雪が降る」が一番好きです。
結婚しても忘れられない人、そんな人との再会で心の中に何かが戻ってくる中年男性。再会の約束は守られる事はありませんでした。
その人は交通事故で帰らぬ人に・・・
何年かたって息子が尋ねてくる。その子を前にした彼の対応は…
本当は一番好きな人と結婚出来るのが一番幸せ。
でも、どうにもならない思いを抱えて結婚する人もいるのかもしれない。
う~ん、男の想いも難しいもんですねぇ。
