- [著]京極 夏彦
- カテゴリ:
- 文庫 (1359頁)
- ISBN:
- 4062732475
- 発売元:
- 講談社 (2001/09)
- 価格:
- ¥ 1,360 (税込)
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これが最高傑作かも
シリーズ第4弾。
今回は更に厚みがまして約1,400ページにも渡る大長編となっています。
今回のテーマは「禅」!
舞台は箱根の山奥、明慧寺。
登場人物はとにかく坊主が多いです。
坊主、坊主、坊主、坊主、坊主・・・・また坊主(笑)
しかし、ストーリーの構成は過去3作を含めても最高の出来ではないかと思います。
シリーズ4作目にして最もミステリーらしい作品になっています。
容疑者は皆坊主ですが、最後まで目まぐるしく状況が変化し、ラストに明かされる真実には驚愕させられます。
難解な漢字の専門用語が非常に多く登場しますが、相変わらず美しく読みやすい日本語のおかげで、1,400ページもの分量にも関わらず、すんなりと読み進めることが出来ます。
薀蓄も相変わらずいい味出しています。
難解な「禅」を京極堂がいつもの調子で説明してくれるので、「解説」にも書いてあるとおり、そこらの入門書よりも良質な禅の解説書にもなり得るほどです。
仏教・禅の専門用語が多いため、難解といえば難解かもしれませんが、丁寧に読んでいけば必ず付いていけます。
大学受験で日本史を選択していた人はやや有利かもしれません。
それにしても、毎度のことながら京極夏彦氏の博識ぶりには驚かされます。
禅という奥の深くて難解なものを題材にして、これだけ面白いミステリーを書けてしまうなんて凄いという他ないです。
禅寺という結界の中での連続殺人
百鬼夜行シリーズ第4弾は箱根山中の謎の寺院にまつわる殺人事件。次々に殺されていく禅僧。関係がありそうで、誰でも犯人になりそうな状況下、禅寺という世間常識の通用しない異界での事件に翻弄される警察。その結界の中の砂上の楼閣が京極堂によってあばかれ、がらがらと崩壊してゆくそのストリー展開には感心させられます、禅は知っているようで、全く未知の世界であったことが新鮮でした。今回は第1作とも関連があり、ファンにはおいしいところです。迷探偵榎木津も大活躍。楽しめた作品でした。
宗教と人間
今作の中枢には、常人の見解や知識では推し量れない程の禅や宗教の来歴がたっぷり盛り込まれています。
それが京極夏彦氏作品の魅力とは思いますが、まずその説明が相変わらず長く、宗教関連に興味が無いと厳しいかもしれません。
しかしその蘊蓄に躓き適当に読み進めてしまうと、結末が腑に落ちないものになる可能性は高いです。
勿論それ以外、辞書なみの厚さも苦にならない程に今回も、登場人物や情景の描写はとても素晴らしいです。
京極堂や関口等の主要人物はさらに奥深く作り込まれ、新たな仲間(?)益田刑事が加わり、久遠寺院長が再登場と、兎に角役者には事欠きません。
舞台設定も、雪に覆われた山奥にある謎の寺院に不信な僧達、そこに現れる不気味な少女等。
いくらでも話が広がりそうな骨組となっています。
なので、シリーズ通して読んでいる方には十分満足出来る内容ではないでしょうか?
網代笠に袈裟行李。絡子に緇衣。雲水がひとり、雪を踏みしめて山を下ってきたのである。
雪の温泉宿の庭に忽然とあらわれた僧の遺体。
それは、連続する不可解な殺人事件のはじまりでした。
舞台は、山の中にある「知られざる禅寺。」
取材にきた雑誌記者たちの前で、次々と僧達が殺されます。
警察も、修行僧達の独特な対応に捜査が混乱。
たまたま、古書の鑑定のために近くに来ていた京極堂や小説家の関口が事件にまきこまれていきます。
雪の寺の描写の巧みさや、禅についての中善寺の解説が面白く、とても楽しみました。
禅。
禅について、よく書かれています。ともすれば見失いがちな本文も、再三手を変え品を変え説明してくれます。そこがくどいと思われるところかもしれませんが、私には大変助かりました。読み終わった後は「禅でおなか一杯」そんな気分になります。
他の方も書かれていますが、僧侶の名前がたくさん出てきます。苗字であったり、なかったり。禅系統の説明のところでもそうですが、メモ用紙片手にまとめながら読み進めるとわかりやすいかと思います。(おお、これかぁ!と鳥肌が立つときもありました。)
登場人物一人ひとりがとても映えています。過去の作品の人物の意外な活躍ぶりに目を見張るものがあります。
前作に比べ、憑き物落しの部分が短いようですが、うまくまとめてくれます。京極堂に全てを任させていたら、もっと丸く収まっていたのかな、と思います。
決して読みやすい本ではないですが、シリーズ通して読んでいるともっと深く楽しめると思います。(人物のつながりや、過去の出来事など。)でも、知らなかったら知らなかったで、今川君の目線で楽しめます。
関君は、全く何やってるんだか…、は、読み終わった直後の正直な感想です。
京極版「薔薇の名前」?
作者の意図は解らないけど、純粋な推理小説が読みたい人は、京極作品は避けたほうが良いのでは?と思います。
京極さんは従来のミステリーの定説をわざと壊そうとしてるように感じます。(反則っぽいこともかなりアリだし)
主体がころころ変わって、それが誰だか不明だったり、登場人物が前触れなく前後不覚に陥ったり、読者をよく混乱させてくれます。(そのイライラでつい先を読みたくなるのですが)
本作は好きな作品でしたが、あまりに長いので(いつものことですが)走り読みしかしてませんでした。
改めて読み直してみて、やはりこれは京極さんが書いた「薔薇の名前」かな?という印象を強くしました。
エーコの「薔薇の名前」は昔に読んだものだから記憶が定かではありませんが、〈孤立した寺院・不可解な僧侶の連続殺人事件・宗教の歴史や確執・鍵になる本の存在・坊主を惑わす女性や衆道〉等々、登場するキーワードに類似点が多いように感じます。
「薔薇の名前」では坊主がなぞ解きをしますが、あえて禅の僧侶に畑違いの陰陽師である京極堂を相対させるところがなかなか面白い。破天荒な探偵も僧侶に負けてないところが気持ちいい。
禅の「さとり」というものを+αの知識として楽しむならもってこいかと思われます。(純粋なミステリーを好む人には、こういう予備知識的なものはかちょっとどいかも)
本作が好きなら「薔薇の名前」にも挑戦して欲しいですね。
ひきこまれる冒頭
私が京極道シリーズの中で一番引き込まれた冒頭が
この作品です。
実際、僧侶の人間関係とか動機は理解できない部分も
ありますが、それを読者に納得させるようにページを
たくさん使い丁寧に叙述されています。
日本仏教の薀蓄は、レビューに書かれている方も多いですが、
非常に分かりやすいです。
変にパターン化しないのが、このシリーズの良さだと思いますが、
この作品もあっと驚きます。
読めば「禅」の理解が確実に進む。
シリーズ第4弾である今作は仏教、それも禅宗がテーマである。
個人的にはシリーズ中、『魍魎の匣』に次ぐ面白さだと思うのだが、おそらくこの作品は京極堂シリーズが好きな人でも好みがわかれるだろう。
まず、見た目からすぐ判断できるように、とても長い。
そして単に長いだけならまだしも、扱う内容が上記の通り「禅」なので、
興味を持てない人は読んでてただしんどい部分がかなりあると思う(笑)
逆にそれが禅や宗教に興味がある人だと面白いことしか書いていない、と感じる程の出来。
禅だけでなく、寺院で生活している人の生活がリアルに描かれているので、本作を読んだ後、京都や高野山をまわると余計に風情が理解できるようになった、と感じたぐらいだ。
文庫版の解説は、禅を本格的に研究している方が書いているのだが、それによると
京極堂の(つまり京極夏彦氏の)禅の本質についての理解は、正にその本格的な禅の研究者と
同じぐらいのレベルまでに達しているらしい(笑)
確かに、つまらん禅の解説書を読むよりも、本作を読んだ方が絶対にわかりやすいと思う。
つまり、これだけ面白い上に読んだ後は禅の本質が理解できてしまうという、(人によっては)嬉しい副次的効果を本作は持っているということだ。
個人的にはもっとそこに焦点が当てられて、もっともっと本作が評価されても良いんじゃないかなあと思う。
何度でも何度でも読みたい。
お好きな方にはたまらんでしょうが
ミステリーが好きなだけの人にはイマイチだと思います。
というか、キャラがの魅力が完成されていなければとても読み続けられませんでした。
禅自体が難解であり、それにまつわる膨大な知識を膨大なページ数に詰め込んだ結果
娯楽作としてはギリギリのラインの話運びになってしまったようです。
このシリーズは1作目から順番に読んでいるのですが、
もともとミステリーとしてはわりと強引なところがあったので、さほどそこには
期待していませんでした。
それにしてもこの作品はしんどかったです。
キャラが完成された箱の中での冒険なのかもしれませんが、ちょっと長すぎました。
次の作品もこの調子でしたら、このシリーズからリタイアしようと思います。
壮大な暇つぶし
ほとんどの知識は、マンガとミステリ小説から学んだ。
それ以外に知識の吸収のしようがない、と思う。
薀蓄たっぷりの京極堂シリーズは、う〜〜ん、こりゃあミステリではなくマンガだろう。
しかもギャグマンガだ。
理屈を操るギャグ。
哲学の深遠はギャグマンガに通じるものがあるので、什麼生説破が理解できなくても、その感覚を味わえればいいと思う。
つーか、理解できるか!こんなもん!
全然、理論になってない。読んでて苦痛を感じるくらいでした。
・・・・でも、それが京極堂だから。
壮大なる暇つぶし。
それにしても、解決シーンの京極堂の登場を読むと常に、必殺のテーマが流れてしまう。
おもしろすぎる。
