- [著]奥田 英朗
- カテゴリ:
- 文庫 (656頁)
- ISBN:
- 4062735342
- 発売元:
- 講談社 (2002/09)
- 価格:
- ¥ 920 (税込)
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傑作人間ドラマ
なかなか分厚い頁量だったので、ゆっくり時間をかけて読もうと思っていたのですが、
どんどん加速度がついていき、気がつくとあっという間に読了してしまいました。
三人の主人公がそれぞれ徐々に人生の坂道を下っていくわけですが、まず何よりその
人物描写と心理描写の巧みさ。
特別肩肘張った語彙を乱発せず、的確にかつ軽快に彼等の生活や心理状態を描き出しており、
読み進めるほどに彼等の存在が具現化していく錯覚を覚えていきます。
最初はトゲが刺さったくらいの人生の道が、後半、怒濤のように急勾配の坂道を転げ落ちる様子。
特に三人が交錯してからのクライマックスは、気の毒を通り越して声を出して笑えるほどでした。
ありえないだろ!と思いつつも、いや、川谷さんならやりかねん、とか思いながら読んでいる自分がいました。
それまでの地味で暗い降下具合から一気にぶっ飛びます。
この緩急の付け方も絶妙。
終盤、ホロリとさせる場面もあったりと、どちらかというと人間ドラマに近い感じですね。
自分的にはとても楽しめましたが、殺人事件やミステリー、サスペンスなんかを期待して読んだ人は
もしかしたら物足りなさを感じるかもしれません。
背筋が寒くなる。
奥田英朗と言えばイン・ザ・プールや空中ブランコのイメージだったので、本著も同様に大いに笑わせてもらえると思っていたので、川谷、みどり、和也、それぞれの最悪の状況のシリアスな描写に最初は若干戸惑いました。
ただ、窮地に陥った時の3人それぞれの言動や考え方のハチャメチャ振りは伊良部先生のキャラクターに通じるところがあり、別の意味で笑わせて貰いました。
根っからの悪人ではない3人が、ヒョンな切欠で堕ちていく様子はやけにリアリティがあり背筋が寒くなるほど上手く描かれています。
奥田英朗の底深さを感じさせる作品です。
テンポがいい
結構分厚い作品だけど続きが気になってあっという間に読めた。川谷、みどり、和也の三人が銀行で交錯してからの奇妙な関係がおもしろかった。
人それぞれの最悪の定義
人にとって最悪の定義が全然違うところが見事に表現されていてとてもおもしろかった。川谷にとっては、近隣の住民からの訴え/銀行からの融資/日々の小さな仕事で得た信頼、それらがうまくいかないことが最悪なのだが、野村にとってはやくざに目を付けられたこと/窃盗をしたことが最悪なことであり、当然のことながら立場によって最悪の定義も違う。また、銀行員のみどりにとっては、上司のセクハラ/職場での風当たり/母と妹の心配ごとがうまくいかないことが最悪で、3人の最悪がぶつかったとき、奇妙な連帯感が生まれた。最後は結局みんな幸せになっていないのだがどこか爽やかに思えた。
坂道を転がり落ちる
他の多くのレビューにも書かれているように、非常にスピーディな展開で、余りの面白さに通勤電車で降りる駅をすごしてしまいそうになったこともありました。本書のストーリーを簡単に表現すると、零細企業ながら堅実に経営をしていた中年男、日々の生活にちょっとだけ疲れ憂鬱な毎日を過ごす銀行窓口勤務のOL、パチンコと恐喝で生計を立てながら将来の不安を感じている若者。これら3人がちょっとした事がきっかけで別々の坂道をどんどん転がってきて、谷底で合流し、ぶつかり合いながら、ちょっとだけ違う成分の石に生まれ変わるといった感じでしょうか?しかしその石ころの転がるスピードが半端ではありません。ぐんぐん転がっていきます。そのスピード感はジェットコースター並みです。読者が不安定な精神状態で本書を読むと、立直っていけないのではないこと思えるくらいのスピードで悪い方向に落ちていくのです。それでも読み終えたあとは、ジェットコースターの終わりのように「ああ面白かった」と思えるから不思議です。奥田英朗の作品は何冊か読みましたが、どれもスピード感があり、面白さでも群を抜いていると思います。本書はその中でも一番スピード感があり面白かったです。
偶然に買ったんですが
偶然本屋で何気なく買ったんですが、久し振りにおもしろい本に
出会えました。
なかなか早く先が読みたいという本には出会えないんですが。
非常におもしろかったです。
自分には厚すぎる本だと思った が!!
インザプールなどを読み、この最悪を読みました。どちら側(コメディみたな感じとシリアスな感じ)でも奥田さんの本は面白く、わたしにしては分厚い本で読みきれるか不安でしたが、あっという間に読めました。ただ、殴られる等の描写はちょっとグロい感じで、ザーッと読んでしまいました。
物語に引き込まれ一気に読める
まったく関連の無い三人の人物が、それぞれ事情を抱え、徐々に
追い詰められて行く。特に鉄工所社長の川谷が精神的に追い
詰められて行く描写は見事である。
彼らは節目の選択でかなりバカな事をしている。
しかし、それは冷静な第三者の目で見ているから判る事であり、
追い詰められている彼らに取っては最善の選択をしたつもり
なのだろう。
やがて無縁だった三人の人生が交わり、みどりの妹を加えた
四人で御殿場のバンガローで一夜を明かす。それぞれの事情を抱え、
エゴとエゴがぶつかり合う様子は読んでいてとても面白かった。
かなり厚い本だが、物語に引き込まれ一気に読める。
ただ、ラストは『最悪』と言うタイトルに相応しい内容を期待していたので、
少し物足りなかった。
最悪過ぎて、読むのが辛かった
登場人物の判断とその後の状況などが悪い方向に進んでいくのですが、
本当に悲惨で、非常にいたたまれないない気持ちになりました。
読むのが辛かったです。
テレビで痛々しい場面が出てきたときに、
手で目を隠ししながらも指の間から画面を
チラリとのぞくような心持ちといいますか。
そういうイタイ状況を表現することが意図の小説なので、
著者が目論んだことは成功しているといえます。
ただ、それを好んで読みたいか、どうか。
これは、また別の次元の話である気もしました。
完全に好みの問題ですが、私はあまり好きにはなれませんでした。
最悪というか最低ですね
3人の主人公が、普通ありえんだろ?っていう位の馬鹿な行動を態々とります。
妙なところで頭が切れるのに、分岐点では幼稚で利己的になります。
3人とも多重人格なのかと疑いました。
半分位読み進んだところで馬鹿馬鹿しくなり、最後の数ページだけを読んで、閉じました。
今までに読んだ小説の中で、1,2を争う程下らない小説でした。
