- [著]高田 崇史
- カテゴリ:
- 文庫 (511頁)
- ISBN:
- 4062736071
- 発売元:
- 講談社 (2002/10)
- 価格:
- ¥ 800 (税込)
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百人一首に興味をもたせるための本として悪くない。
百人一首のナゾについてはかつてかなり論争があったようですが
近年ではやはり、定家がこの百首に暗号を隠していることはまずないだろう
という見方に落ち着いたようです(かなり控えめに表現してます)。
ただ、百人一首に興味を持つ入り口としてはとても良いかと思います。
ひとつずつの歌に込められたストーリーは暗号などなくても十分に魅力的な秀歌選です。
さて、ただ殺人事件のほうはいかがなものか。
フェア、アンフェアなんてどーでもいいがあの結末を良しとするなら
とてもじゃないがミステリとはいえない。
作者の世界観が偏りすぎてて論理の展開も強引。読んでて清涼院流水を思い出した。
殺人事件は単なるおまけなので、不可能犯罪だの密室だのを期待してはいけない。
圧倒的な蘊蓄の嵐 次回作も期待
今年一番はじめの本紹介は今まで読んだことがなかった高田崇さんという人の「QED」シリーズの第一作です。けっこう人気シリーズで、森博嗣や浦賀和宏、殊能将之、舞城王太郎、新堂冬樹らと同じく講談社のメフィスト賞出身者ですが、その中でもかなり上に位置する方のようです。
さて、作品内容ですが、シリーズの基本的パターンしては、殺人事件とそこで提示される歴史的な謎を主人公たちがといていくというのが基本パターンのようで、主人公は今作の主人公であった、漢方医の桑原崇、その大学時代の後輩で別の病院で薬剤師をしている棚旗奈々のコンビが今後も活躍する模様です。シリーズ第一作ということでたぶんに顔見せ的な感じで本書では二人のキャラが紹介されていました。
後ろぐらいところもありつつも、株式投資で巨万の富を築いた真榊大陸(だいろく)。彼は年に一度正月にだけ家族が集まる自宅、通称カルタ屋敷で後頭部を殴られて死亡した。彼は死に際して、手近にあった五枚の百人一首カルタの中から一枚のカルタをダイイングメッセージとして握りしめて死んでいた。果たして、その一首が意味するものは何だったのか?
ということで、Q.E.Dのシリーズ第一作を読んでみましたが、蘊蓄の量が半端ではありませんでした。京極夏彦の京極堂シリーズに勝るとも劣らない圧倒的な知識量で高田氏は物語を作り上げていきます。しかも、本当の歴史的な謎として残されていた「百人一首はなぜ百人一首なのか」「そして、どうして歌の内容がこんなによくない駄作が含まれているのか」を奇麗に一つの論文として小説の中でまとめきっています。これには、圧等されるとともに脱帽してしまいました。自分がたまたまこちら方面に詳しくないだけかも知れませんが、百人一首に限らず全ての歌集というものの見方、読み方、組み立てにここまで深い意味や隠されたことがあったのかと目から鱗が落ちる思いでした。単に自分があまりに無学だという話かもしれませんが、本当に打ちのめされた気分とともに高揚感をもって読みました。
ただ、惜しむらくはそれくらい高いレベルの蘊蓄(余談ですが北村薫氏も解説でこれについては絶賛していました)を入れていっているだけに、逆にミステリ、殺人事件の部分がちょっとチープというか薄すぎる気がして、そのギャップ・落差が気がかりでした。ミステリ部分が今後強くなっていくのかどうかわかりませんが、もし弱くなっていくとしたら、ミステリは添え物として読む方向になっていくかも知れません。
ということで、今後の作品を読んでみてということで評価は5の3にしておきます。
堂々たる掟破りっぷり
呪とか安倍晴明とか言われると、どうも京極夏彦なんだが、今回たまたま平安・鎌倉あたりの史実を取り上げたから重なっただけなのかな。
わかんねぇや。似てるっちゃ似てるし。
しかしまぁ、京極夏彦よりも圧倒的にパズルだ。
なんつっても、歴史解説しながら事件解決なのかと思いきや、百人一首の謎解きに没頭して話が終わるんだから。
現実の事件として紹介される事件の現実味の薄いこと。扱いの軽いこと。
いいんかこれで。いいみたい。・・・・と納得するしかないくらいの堂々たる掟破りっぷりだ。
でも、百人一首曼荼羅だけ語られても味気ないし、奇病だらけ家族の殺人事件くらい挟んでてちょうどいいかもしれない。
それはいいかもしれないけどさー。それよりもさー。
登場人物の喜怒哀楽表現が、全部ヘン。
とにかく誰にも感情移入できない。
パズル楽しめればいいって言っても、こう前衛劇団の団員のような人物ばっかりだと疲れるよ。
歴史上の登場人物の方が、いきいきして人間臭く感じるのは、これも作者の戦略なのか
もうちょっとあの時代のことあの時代の人々も知りたかった
●初回は歴史探索というよりパズルの絵解きですね。なるほど札のほかにあんなものもいるなんて。●しかし定家と後鳥羽院の関係は分かりましたが定家と他の歌人、後鳥羽院と他の歌人そして京都と鎌倉の関係ももうちょっと知りたかった。●百人一首は非業の最期を遂げた人物がなぜか多く撰ばれているようですがその中であるキーになる人について理由は分かりました。がなぜキーを握る人以外にまでその種の人間が占める必要があったのでしょうか。●百人秀歌のパズルまでついでに解いてしまったのですが〜一首にはいない4人の歌人がこちらでは重要な役割を果たしています。しかしなぜその4人に白羽の矢が立ったのか、私にはとてもではないけれどあまりなじみのない人物なので凄く気になりました。●定家はなぜこんなことを企てたのか企ての意味は分かりましたが企ての動機がまだ闇の中です。続刊で定家が再び登場しますがやはりまだその謎には触れませんでした。●こういうことを考えたのは定家だけだったのか他にもそういう歌人や撰者というのはいたのではないか、特に勅が出ているような場合、タタルの考察をちょっと伺いたかったですね。●著者はシリーズを通じて井沢さんの本も結構参考にしておられるようですが言霊についてはまったく異なる見解のようです。即物的な解釈ですが呪についてある一定の効果を認めるような発言をタタルが述べています。
百人一首の組み合わせではオリジナル説に負けています
作者のデビュー作で、メフィスト賞受賞作。この賞の受賞作は出来不出来が激しく、また遠い将来性を買ってのものが多いので注意が必要だが、本作は平均点程度か。本作をキッカケにして「QEDシリーズ」というシリーズができた。選考委員の予見は正しかった訳だ。
ある屋敷で殺人事件が起きるのだが、これは添え物で、本筋は百人一首の並び替えにある。これは織田正吉氏が「絢爛たる暗号」という本で初めて発表した説で、百人一首にまつわる謎を分析した結果、百人一首は一首づつ単独で選ばれたものではなく、総合してある絵巻が出来上がるよう選ばれたという画期的な説である。百人一首は元々屏風絵用に選ばれたものなので、単独でも絵柄が美しく、それを組み合わせれば絢爛たる絵巻になるのだ。作者はこれに挑戦したのだろう。ただし、私の見たところ織田氏の説には遠く及ばないものだった。一番の基本である選者定家に関する考察が抜けていて、一人よがりなのだ。
本書を読んで、ミステリと歴史の謎の組み合わせに興味を持たれる方が増えれば、作者も本望であろう。
謎学としては面白いけど
推理小説として読むと肩透かし・・・かな。
百人一首についての謎学は、あまり興味はないけれどそれなりに楽しく読めました。
ただ、薀蓄が多くて読み飛ばしたくなる箇所もあり。もうちょっと流れるような文章だったらそれでも良かったのだろうと思いますが。
そのことと、キャラクターにいまひとつ面白味がないのとで、一気に読み進めることが出来ませんでした。それが残念。
ただ、シリーズ1作目なので、これからどう転がっていくかは楽しみです。
結局、百人一首曼荼羅だけの作品
読み終わって何が面白かったか振り返ってみると
正直言って、殺人事件の謎解き部分ではなかった。
したがって純粋なミステリ好きの方にはお勧めできない。
百人一首から曼荼羅ができあがっていくプロセスは
たしかにワクワクさせられた。
だが曼荼羅が完成してからは…
井沢元彦と京極夏彦を足して2で割ったような感じで
もうちょっとオリジナリティが欲しいところ。
これがデビュー作らしいので、これからどう変わっていくか
楽しみではある。
京極夏彦に似てるよね。
とにかく、文体と言うかなんと言うか京極臭がする。
「呪」の説明がとにかく京極堂とかぶるんですよ。そして、百人一首の分類分けなど曼荼羅を使ったあたりは感心するんですが、強引と言う感が否めない。
文学部だった私には「それは強引な解釈ですね」と思わずにはいられない後半の説明でした。
そして、やっぱり殺人はあんまり意味がないのではないかなぁと思うんです。メインが百人一首の謎解きなので、殺人事件の解明がおまけのように感じてしまいました。
謎学好きにお薦めします。
QEDシリーズは殺人事というスパイスを使って「百人一首の謎」のような「謎学ミステリー」を作者の視点で解明してゆきます。
殺人の凄惨さを競う作品が多い昨今、謎学好きにとっては上質な知的ミステリーと言えるでしょう。
百人一首の背景などを説明する手法として「作者が読者に説明する形」と「主人公が会話の中で説明する形」がありますが、
本書は後者をとっているため、主人公は怒濤の攻撃でウンチクを披露し続けます。
雑学や謎学好きはあまり気にならないと思いますが、殺人事件をメインに楽しみたい方には、あまりお薦めしません。
(殺人事件はカレーに付いている福神漬け的な存在です)
メインはあくまで「謎学ミステリーに対しての作者の謎解きの披露」なのです。
謎解きがが面白いと思えれば十分満足できるでしょう。
それについては、このシリーズが11作まで連作されている事を見ればQEDと言えると思います。
殺人事件はいらないと思う
百人一首ミステリーというジャンルがあるのを初めて知りました。
百人一首は、授業で習ったりと少しばかりは知ってるものの、造詣が深くないのであまりのめり込めなかったのが本音。
冒頭が殺人事件から始るのでテッキリそちらがメインだと思っていたが、どうやら勘違い。早く本筋に戻って欲しいとずっと思いながら、本の半分以上が延々と百人一首の謎に迫る説明を読まされることになる。その間、殺人事件は凍結状態。最後に、ドロンと一挙に纏められ「百人一首だけでいいのでは?殺人事件いらないでしょ?」と思った。
二つの謎を絡ませるという点では同系だと思われる美術ミステリー「写楽殺人事件」はすごく面白く読めたので、実は期待しながら読み進めたのですが、こっちは最後まで百人一首にも興味が沸かず、興味がなければ読むのが辛い。
また作者の薀蓄が多く、必要ないところにまで山ほど出てくる。京極夏彦のようなものを目指しているのだろうが、披露の仕方がいまいち。楽しむより「そんなに自分の知識を盛り込み披露したいのか」と、鬱陶しく感じられた。
桑原崇(タタルという渾名)が安楽イス探偵のように謎を解いて行くのだが(まったく動かない。部屋から出ない)、それにくっついて、所謂話の進行役をする女の子(ふとした事でこの事件に絡むという役割)が可愛くない。全般的にキャラクターを修飾するための描写が不一致で破綻気味。もっと統一性よく描写されてたら、それだけでも随分読み易かったと思う。
